胸部CTで縦隔を見るとき、どこから何を確認すればよいのでしょうか?縦隔には心臓・大血管・気管・食道・胸腺・リンパ節・神経が集まっていて、異常があっても「何となく太い」「影が重なる」だけに見えることがあります。

  • 腫瘤の場所(前・中・後縦隔の区画)
  • 腫瘤の中身(嚢胞・脂肪・石灰化・充実成分)
  • 胸腺(過形成・胸腺腫・胸腺嚢胞)
  • リンパ節の腫大・石灰化
  • 食道(壁肥厚・拡張・静脈瘤・穿孔)
  • 縦隔のガス(縦隔気腫)と脂肪織の濃度上昇(縦隔炎)

の有無をまず確認し、それぞれの鑑別と次に何を見るかを順に解説します。縦隔の正常解剖は胸部CTの縦隔の解剖(スライスの高さごとの血管・臓器)もあわせてご覧ください。

先に結論:胸部CTで縦隔を見るときの7つのチェックポイント

  1. 区画:腫瘤の中心が血管前(前縦隔)・内臓(中縦隔)・傍椎体(後縦隔)のどこにあるかで候補が大きく変わる
  2. 中身:嚢胞・脂肪・石灰化・充実成分と造影効果で絞る。嚢胞に見えても造影される壁の結節があれば腫瘍を疑う
  3. 前縦隔:若い人の胸腺、胸腺過形成、胸腺腫、リンパ腫、胚細胞腫瘍、甲状腺腫。迷うときは化学シフトMRI
  4. 後縦隔:神経原性腫瘍が代表。椎間孔との関係を見る
  5. リンパ節:短径と分布、石灰化・壊死の有無。肺癌・リンパ腫・サルコイドーシス・結核などを考える
  6. 食道:壁肥厚・拡張・静脈瘤・異物。急な胸痛では穿孔(食道周囲のガス・液体)を見逃さない
  7. ガスと脂肪織:縦隔気腫の広がりと原因、縦隔炎(脂肪織の濃度上昇・液体貯留・ガス)の有無

1. 区画(前縦隔・中縦隔・後縦隔)を決める

縦隔の区分 縦隔上部・前縦隔・中縦隔・後縦隔
従来の縦隔の区分(縦隔上部・前縦隔・中縦隔・後縦隔)をシェーマで示しています。前縦隔は胸骨の裏、中縦隔は心臓・気管の周り、後縦隔は椎体の脇にあたります。詳しくは縦隔とは?前縦隔・中縦隔・後縦隔・上縦隔の区分をCTでの記事をご覧ください。

CTでは、横断像で区画を決めるITMIG分類(血管前区画・内臓区画・傍椎体区画の3つ)が使われ、鑑別の絞り込みや生検・手術の計画に役立ちます(Carter 2017)。区画ごとのおもな鑑別は次のとおりです。

区画 おもな構造 よく考える病変
血管前区画(前縦隔) 胸腺・脂肪・リンパ節 胸腺過形成・胸腺腫・胸腺癌・リンパ腫・胚細胞腫瘍(奇形腫など)・縦隔内甲状腺腫・胸腺嚢胞
内臓区画(中縦隔) 心臓・大血管・気管・食道・リンパ節 リンパ節腫大・前腸嚢胞(気管支原性嚢胞・食道重複嚢胞)・心膜嚢胞・食道の病変・大動脈瘤
傍椎体区画(後縦隔) 交感神経幹・肋間神経・椎体の脇 神経原性腫瘍(神経鞘腫・神経線維腫・神経芽腫など)・椎体由来の病変・髄外造血

大きな腫瘤では中心がどの区画にあるか、周りの血管・気管・食道をどちらへ押しているかを冠状断・矢状断でも確かめます。区画図と鑑別は縦隔の区分とCT横断像の解剖区分図と鑑別疾患にまとめています。

2. 腫瘤の中身(嚢胞・脂肪・石灰化)で絞る

要点:縦隔腫瘤の内部構造による鑑別

  • 縦隔腫瘤は中身(嚢胞・脂肪・石灰化)を見ると候補が絞れます
  • 嚢胞なら胸腺嚢胞・心膜嚢胞・前腸嚢胞や嚢胞変性した腫瘍、脂肪なら奇形腫・胸腺脂肪腫・脂肪腫/脂肪肉腫、腫瘍でない心膜脂肪塊・大網ヘルニア、石灰化なら奇形腫・胸腺腫・甲状腺腫などを考えます
  • 嚢胞に見えても造影される壁や結節があれば腫瘍性を疑い、MRIで確認します。胸腺嚢胞はCT値が水より高く胸腺腫と紛らわしいことがあります
  • 縦隔内甲状腺腫は頸部の甲状腺と連続し、単純CTで高吸収、嚢胞・石灰化・強い造影を示します

内部構造による鑑別

嚢胞性
  • 胸腺嚢胞
  • 心膜嚢胞
  • 皮様嚢胞
  • 嚢胞性腫瘍(胸腺腫、胚細胞性腫瘍)
脂肪
  • 奇形腫
  • 皮様嚢腫
  • 脂肪腫
  • 脂肪肉腫
  • 胸腺脂肪腫
  • 心外膜脂肪塊(真の腫瘍ではない)
  • 大網ヘルニア(真の腫瘍ではない)
石灰化
  • 胸腺腫
  • 奇形腫
  • 甲状腺腫

縦隔腫瘤の内部構造による鑑別:嚢胞性(胸腺嚢胞・心膜嚢胞・皮様嚢胞・嚢胞性腫瘍)、脂肪(奇形腫・脂肪腫・脂肪肉腫・胸腺脂肪腫・心外膜脂肪塊・大網ヘルニア)、石灰化(胸腺腫・奇形腫・甲状腺腫)

部位(区画)と中身の両方で絞る

縦隔腫瘤の鑑別では、CTを基準にしたITMIG分類で区画を決めることが、鑑別診断の絞り込みや生検・手術の計画に役立ちます。そのうえでCT・MRIで内部の組織成分(液体・脂肪・石灰化・充実成分)と造影効果を評価します。悪性の可能性は症状と年齢にも左右されます。

嚢胞性に見えるとき

  • 水に近いCT値(0〜20HU)で、壁の造影効果や周囲への浸潤がないのが良性嚢胞の典型です。心膜嚢胞は右の心横隔膜角に見られることが多く、気管支原性嚢胞は気管分岐部付近(52%)に多いと報告されています。胸腺嚢胞では辺縁の石灰化を伴うことがあります。
  • 嚢胞でも石灰・蛋白・粘液・出血成分によりCT値が高くなることがあります。嚢胞はT2強調像で高信号を示し、MRIのほうがCTより嚢胞と充実性病変を正確に区別できます。
  • 嚢胞性胸腺腫では結節状の壁肥厚が見られ、先天性嚢胞には見られません。血管前区画の嚢胞性病変に軟部結節があれば悪性を示唆します。

脂肪を含むとき

  • 成熟奇形腫は軟部・液体・脂肪・石灰化の組み合わせ(4成分すべては39%)を示し、15%は非特異的な嚢胞として見えます。病変内の脂肪-液面形成はほぼ奇形腫に特異的です。石灰化は巣状・辺縁状、まれに歯や骨の形をとります。
  • 脂肪腫は主に血管前区画にみられ、約-100HUの均一な脂肪濃度です。脂肪肉腫は後縦隔に多く、症状を伴うことが多く、CT・MRIで不均一な内部構造を示す点で脂肪腫と区別します。
  • 胸腺脂肪腫は若年成人の心横隔膜角に多い被膜をもつ良性腫瘍で、脂肪が50〜85%を占め、少量の充実部と線維性隔壁を含みます。
  • 心膜脂肪塊は正常所見として扱います。心横隔膜角の脂肪腫・脂肪肉腫は、Morgagni孔ヘルニアと画像所見がよく似ます。

症例 10歳代女性 慢性の胸痛と軽度の呼吸困難

縦隔成熟奇形腫 造影CT 横断像
引用:Radiopaedia(Mature mediastinal teratoma)

前縦隔から患者さんの右側へ張り出す境界明瞭な大きな腫瘤があり、内部に粗大な石灰化(白い部分)、脂肪(黒っぽい低吸収域)、軟部組織が混在しています。脂肪と石灰化を同時に含むことが成熟奇形腫を考える手がかりで、手術で成熟奇形腫と診断されました。

石灰化を伴うとき

  • 胸腺腫の石灰化は被膜に沿うことも、腫瘤全体に散在することもあります。
  • 縦隔甲状腺腫は頸部の甲状腺腫が直接連続して伸びたもので、被膜をもつ分葉状の不均一な腫瘤として、嚢胞部・石灰化・強い造影効果を示します。

縦隔内甲状腺腫の画像所見

  • 多くは頸部の甲状腺腫が前縦隔・上縦隔へ直接連続して伸びたもので、頸部と連続しない異所性甲状腺腫はきわめてまれです。冠状断・矢状断で頸部とのつながりを確認します。
  • 単純CTで自然な高吸収を示し、嚢胞部・石灰化を含む不均一な腫瘤として強く造影されます。
  • 境界が不明瞭、周囲への浸潤、近くのリンパ節腫大があれば甲状腺癌を疑います(Juanpere 2013)。

胸腺嚢胞と胸腺腫の鑑別

項目 胸腺嚢胞 嚢胞性胸腺腫
形 先天性は単房性、後天性は多房性 嚢胞に充実部が混じる
壁 薄い、石灰化を伴うことあり 結節状の壁肥厚
MRI T2強調像で高信号、造影されない 造影される充実部がある

後天性の胸腺嚢胞は胸腺腫・リンパ腫・胚細胞腫瘍に伴うこともあります(Juanpere 2013)。切除された胸腺嚢胞17例のCTでは65%が20HU以上、35%に壁の石灰化があり、充実性の胸腺上皮性腫瘍と紛らわしく不要な胸腺摘出につながりうると報告されています(Villalba 2023)。迷うときはMRIで確認します。

鑑別の要点(表)

内部構造 疾患 見分けるポイント
嚢胞 心膜嚢胞 右心横隔膜角に多い、薄い壁、水濃度
嚢胞 気管支原性嚢胞 気管分岐部付近、蛋白などで高吸収のことあり
嚢胞 嚢胞性胸腺腫 結節状の壁肥厚
脂肪 成熟奇形腫 脂肪+液体+石灰化の混在、脂肪-液面形成
脂肪 胸腺脂肪腫 心横隔膜角、被膜あり、脂肪50〜85%
脂肪 脂肪肉腫 後縦隔に多い、不均一
石灰化 甲状腺腫 頸部甲状腺と連続、分葉状、強い造影

関連記事:縦隔嚢胞性疾患(気管支原性嚢胞・心膜嚢胞・胸腺嚢胞)、縦隔内甲状腺腫(胸郭内甲状腺腫)

3. 前縦隔(血管前区画):胸腺過形成・胸腺腫・リンパ腫・胚細胞腫瘍

胸腺腫 造影CT 横断像
引用:Radiopaedia(Thymoma)
上行大動脈の右前にある境界明瞭な楕円形の軟部腫瘤で、内部はやや不均一に造影されています。前縦隔のこうした腫瘤ではまず胸腺腫を考えます。詳しくは胸腺腫・胸腺癌のCT・MRI画像診断の記事をご覧ください。

  • 胸腺(正常・過形成):若い人では胸腺が目立つのが普通で、抗がん剤治療やストレスのあとに一時的に大きくなるリバウンドもあります。形が保たれ(三角形・両側に沿う)、脂肪が混じるのが手がかりです。迷うときは化学シフトMRIで、正常・過形成の胸腺は脂肪が混じるため逆位相で信号が下がります。成人92人の検討では、信号低下の指標(SII)8.92%を境に、過形成と腫瘍を感度・特異度とも100%で分けられました(Priola 2015)。→胸腺過形成の分類とMRI・CT画像
  • 胸腺腫・胸腺癌:中高年に多く、境界明瞭な円形〜分葉状の腫瘤。周りの脂肪への浸潤、胸膜播種、大血管への浸潤があれば浸潤性の腫瘍や胸腺癌を疑います。重症筋無力症の合併も確認します。→胸腺上皮性腫瘍の画像診断
  • リンパ腫:若い人で、複数のリンパ節が融合した大きな腫瘤として血管を包み込むように広がることがあります。頸部・腋窩など他のリンパ節も見ます。→縦隔悪性リンパ腫の画像診断
  • 胚細胞腫瘍:若い男性の前縦隔腫瘤では、成熟奇形腫(脂肪・石灰化)のほか、悪性胚細胞腫瘍を考えて腫瘍マーカー(AFP・hCG)を確認します。→縦隔腫瘍の鑑別のヒント:年齢・併存疾患・腫瘍マーカー

偶然見つかった小さな前縦隔の結節

肺がん検診のCTでは、受診者9263人のうち71人(0.77%)に縦隔の腫瘤があり、41個が胸腺、16個が甲状腺(すべて甲状腺腫)由来でした。3cm未満の胸腺の腫瘤の多くは1年後も大きさが変わらないか縮小し、保守的な対応がすすめられています(Henschke 2006)。別の検診研究でも前縦隔病変は0.7%にみられ、3cm未満で毎年のCTで経過を見た54人のうち74.1%は2年間変化がなく、増大した人だけを精査に回す方法で問題はありませんでした(Bhamani 2026)。偶発的な縦隔・心血管の所見の扱いはACRの偶発所見委員会がwhite paperにまとめています(Munden 2018)。

4. 後縦隔(傍椎体区画):神経原性腫瘍

椎体の脇にある境界明瞭な円形〜紡錘形の腫瘤は、まず神経原性腫瘍を考えます。成人では神経鞘腫・神経線維腫、子どもでは神経芽腫などの交感神経節由来の腫瘍が鑑別にあがります。

5. 縦隔リンパ節

珪肺 縦隔・肺門リンパ節の卵殻状石灰化 CT
引用:Radiopaedia
気管分岐部の下や両側の肺門のリンパ節に、縁取るような石灰化(卵殻状石灰化)が見えます。珪肺でみられる所見です。詳しくは縦隔リンパ節腫大の原因・鑑別診断の記事をご覧ください。

正常な縦隔リンパ節をCTで測った研究では、横断像での短径1.0cmが正常の上限の目安とされ、気管分岐部の下と右の気管気管支領域のリンパ節が最も大きい傾向でした(Glazer 1985)。ただし大きさだけでは転移の有無は決まらず、正常大でも転移があること、炎症で腫れることがあります。

  • 主な原因:肺癌・食道癌などの転移、リンパ腫、サルコイドーシス(両側肺門と縦隔が対称性に腫れる)、結核・真菌感染、心不全、珪肺
  • 次に見ること:分布(片側か両側か、原発巣の流れに沿うか)、内部の壊死(低吸収)、石灰化、肺野の病変
  • どの検査へ:悪性を疑えばFDG-PET/CTや超音波気管支鏡下の生検などを検討します
  • 番号と部位:肺癌の縦隔リンパ節の番号(#1〜#14)をCT画像で確認

6. 食道:壁肥厚・拡張・静脈瘤・穿孔

食道は空気が少ないと壁が厚く見えやすく、つぶれた食道と壁肥厚の区別がつきにくい臓器です。

  • 壁肥厚:食道癌、食道炎、静脈瘤、放射線治療後などを考えます。CTで上部消化管の壁肥厚を指摘され内視鏡を受けた126人では40%に悪性があり、食道では67人中21人(31%)でした。壁の厚さ20mmを超える肥厚は悪性と強く関連していました(Ashmore 2022)。CTで壁肥厚を見たら内視鏡につなげるのが基本です。→食道癌のCT画像診断
  • 拡張:食道全体の拡張と内容物の貯留があれば食道アカラシアを考え、下端の急な狭まり(bird beak sign)や、壁肥厚・腫瘤による偽性アカラシアがないかを見ます。→食道アカラシアとbird beak sign
  • 静脈瘤:肝硬変などの門脈圧亢進で、食道壁と周りに造影される蛇行した血管が見えます。→食道静脈瘤のCT所見
  • 穿孔:嘔吐のあとの強い胸痛(Boerhaave症候群)、内視鏡処置後、異物などで起こり、食道の周りのガス・液体、胸水として見えます。食道穿孔が疑われた成人を集めたメタ解析では、CT食道造影の感度81.8%・特異度86.7%、透視での食道造影は感度69.2%・特異度98.4%で、CTで拾い、透視で確かめる補い合う使い方が提案されています(da Nobrega Oliveira 2026)。

7. 縦隔気腫・縦隔炎・縦隔線維症

縦隔と後腹膜のつながり 食道裂孔・下大静脈孔・大動脈裂孔
縦隔と後腹膜は食道裂孔・下大静脈孔・大動脈裂孔でつながっていて、ガスや液体が行き来します。詳しくは縦隔気腫(気縦隔)とは?原因とレントゲン・CT画像所見の記事をご覧ください。

  • 縦隔気腫:若い人が咳・嘔吐・運動などのあとに胸痛を訴える特発性縦隔気腫が多く、肺胞が破れたガスが気管支・血管に沿って縦隔へ広がるMacklin効果がCTで見えることがあります。40人の検討では38人にMacklin効果がみられました(Tang 2026)。特発性と考えられた63人の比較では、透視の食道造影で治療方針が変わった人はいませんでした(He 2026)。一方で、嘔吐後の発症、発熱、胸水、食道周囲に偏ったガスがあれば食道穿孔を疑います。
  • 縦隔炎:縦隔の脂肪織の濃度上昇、液体貯留、ガスが手がかりです。歯や咽頭の感染が頸部から下へ広がる下行性壊死性縦隔炎は重い感染症で、頸部から胸部までの造影CTが診断の中心です(Chaulk 2025)。→頸部膿瘍のCT画像診断と縦隔への進展
  • 縦隔線維症:縦隔に石灰化を伴う軟部組織が広がり、上大静脈・肺静脈・気管支を狭くします。

縦隔線維症 造影CT 冠状断像 上大静脈の狭窄と石灰化
冠状断で、縦隔に広がる軟部組織と石灰化により上大静脈が狭くなっている部分(矢印)が見えます。詳しくは縦隔線維症(線維性縦隔炎)のCTの記事をご覧ください。

縦隔で見落としやすい場所と確認のしかた

  • 大動脈弓の下(大動脈肺動脈窓)と気管分岐部の下:リンパ節が血管と重なって見落とされやすい場所です。血管の外側の軟部影を一つずつ確認します
  • 甲状腺の下極と胸郭入口:縦隔内甲状腺腫は頸部とのつながりを冠状断で確認します
  • 心横隔膜角:心膜脂肪塊・心膜嚢胞・リンパ節・ヘルニアが集まる場所。脂肪か水か軟部かをCT値で確かめます
  • 食道:つぶれていると壁肥厚や小さな腫瘤が目立ちません。上から下まで1本の管として追います
  • 椎体の脇:肺野条件だけでは小さな神経原性腫瘍を見落とすことがあり、縦隔条件で左右差を見ます

縦隔条件と肺野条件の両方で見る手順は胸部CTの読影・見方の基本にまとめています。

縦隔の読影でよくある疑問(Q&A)

Q. 健診のCTで「前縦隔に小さな結節」と言われました。すぐ手術が必要ですか?
A. 小さな前縦隔の結節は胸腺の名残や嚢胞のことも多く、3cm未満の多くは経過のCTで変化しないと報告されています(Henschke 2006・Bhamani 2026)。以前の画像との比較、MRIでの性状確認、経過観察での増大の有無で方針を決めます。

Q. 縦隔のリンパ節が腫れていると言われました。がんですか?
A. 短径1cmを超えるリンパ節は腫大と判断されますが(Glazer 1985)、サルコイドーシス・感染・心不全など、がん以外の原因も多くあります。分布や肺の所見、必要に応じてPET/CTや生検で原因を確かめます。

Q. 縦隔気腫は危ない病気ですか?
A. 若い人の特発性縦隔気腫の多くは安静で改善しますが(Tang 2026)、嘔吐後の強い胸痛や発熱を伴う場合は食道穿孔などの重い病気が隠れていることがあります。胸の痛みや息苦しさ、飲み込みにくさなど気になる症状があれば、早めに医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Juanpere S, Cañete N, Ortuño P, et al. A diagnostic approach to the mediastinal masses. Insights Imaging. 2013;4(1):29-52. PubMed
  2. Carter BW, Benveniste MF, Madan R, et al. ITMIG Classification of Mediastinal Compartments and Multidisciplinary Approach to Mediastinal Masses. Radiographics. 2017;37(2):413-436. PubMed
  3. Villalba JA, Haramati A, Garlin M, et al. Intralesional microbleeding in resected thymic cysts indeterminate on imaging. Mediastinum. 2023;7:13. PubMed
  4. Munden RF, Carter BW, Chiles C, et al. Managing Incidental Findings on Thoracic CT: Mediastinal and Cardiovascular Findings. A White Paper of the ACR Incidental Findings Committee. J Am Coll Radiol. 2018;15(8):1087-1096. PubMed
  5. Henschke CI, Lee IJ, Wu N, et al. CT screening for lung cancer: prevalence and incidence of mediastinal masses. Radiology. 2006;239(2):586-90. PubMed
  6. Bhamani A, Khaw CR, Prendecki R, et al. Conservative management of < 3cm anterior mediastinal lesions in lung cancer screening is safe. Eur Radiol. 2026;36(11):8225-8235. PubMed
  7. Priola AM, Priola SM, Ciccone G, et al. Differentiation of rebound and lymphoid thymic hyperplasia from anterior mediastinal tumors with dual-echo chemical-shift MR imaging in adulthood: reliability of the chemical-shift ratio and signal intensity index. Radiology. 2015;274(1):238-49. PubMed
  8. Glazer GM, Gross BH, Quint LE, et al. Normal mediastinal lymph nodes: number and size according to American Thoracic Society mapping. AJR Am J Roentgenol. 1985;144(2):261-5. PubMed
  9. Ashmore C, Hunter D, Kenningham R, et al. Significance of thickening of the upper gastrointestinal tract on cross sectional imaging: Endoscopic correlation. Eur J Surg Oncol. 2022;48(10):2127-2131. PubMed
  10. da Nobrega Oliveira REN, Delgado LM, Gonçalves LB, et al. CT for Detection, Fluoroscopy for Confirmation: A Meta-Analysis of Imaging in Suspected Esophageal Perforation. Am Surg. 2026:31348261472868. PubMed
  11. Tang H, Wang J, Qi Z, et al. Clinical characteristics of 40 patients with spontaneous pneumomediastinum: a retrospective study and literature review. J Cardiothorac Surg. 2026;21(1). PubMed
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  13. Chaulk RC, Sahai D, Raj L, et al. Etiology, diagnosis, and management of descending necrotizing mediastinitis: a narrative review. Mediastinum. 2025;9:9. PubMed

臓器・部位ごとの読影ポイント(シリーズ)

同じ形で、臓器・部位ごとに「何が起こりうるか、どう読むか」をまとめています。

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