神経原性腫瘍

  • 後縦隔には交感神経、肋間神経、交感神経節、脊髄神経節といった大きな神経が存在しており、神経原性腫瘍の9割が後縦隔から発生する。

末梢神経線維由来

  • 神経線維由来では、良性腫瘍としては、神経鞘腫(schwannoma)神経線維腫(neurofibroma)がある。
  • 悪性腫瘍としては悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST:malignant peripheral nerve sheath tumor)がある。
神経鞘腫(schwannoma)
  • 成人に発生。
  • 細胞密度が高く血流も豊富であり、柵状配列を呈するAntoni A型と、細胞密度が低く血管に乏しく、粘液腫状変性を伴うAntoni B型組織が肉眼的に混在するのが特徴。
  • 傍椎体後部に発生し、円形・卵円形、胸壁との立ち上がりはシャープ。
  • 椎間孔を介して、脊柱管内と外にダンベル型の形状を呈する。
  • 嚢胞変性の頻度が高い。
  • Antoni B型成分がT2WIでより高信号。
  • 辺縁部がAntoni B(T2WIで高信号)、中心部がAntoni A(T2WIで低信号)の場合、神経線維腫で知られているtarget signとほぼ同様の所見を呈することがある。
  • 造影でAntoni A型成分は造影されやすく、Antoni B型成分は造影されにくい
  • Antoni A型が遅延相でwash outされたときに、Antoni Bと同程度の造影効果を呈する。
  • 良性でもFDG集積が亢進するので注意。
神経線維腫(neurofibroma)
  • 神経線維腫症Ⅰ型に合併することが多い。
  • 均一で変性は少ない。schwann細胞と線維芽細胞の割合により内部に軽微な信号変化を認めるのみ。
  • 神経線維腫症Ⅰ型に合併した場合は、localized (限局性)、 plexiform (蔓状)およびdif- fuse(びまん性)に分けられ、蔓状神経線維腫はいわゆるbag of worms appearanceを呈する。
  • 辺縁部の粘液変性がT2WIでの辺縁の高信号変化(target sign)を形成する。
  • 造影早期相では中心部がより濃染する(central enhancement)  現象が神経線維腫の7割で見られる。

神経節由来

  • 神経節由来では神経芽細胞腫、神経節芽細胞腫、神経節細胞腫がある。
神経芽細胞腫(neuroblastoma)
  • 小児の固形腫瘍では、脳腫瘍に次いで頻度が高い。
  • 発見の中央値は22ヶ月。95%以上が10歳までに診断。
  • VMA、HVA、NSEが高値を示す。
  • これらの特異的な腫瘍マーカーを生後6ヶ月に尿を用いたスクリーニングが行なわれて来たが2004年に中止された。
  • CTで内部は不均一な充実性腫瘤。よく造影される。
  • 出血、壊死、石灰化を有することあり。
  • T1強調像で低信号、T2強調像では高信号を示す。脊柱管内進展の評価にはMRIは有用。
神経節細胞腫(ganglioneuroma)
  • 神経節から発生する良性の神経芽腫群腫瘍。
  • 後縦隔および後腹膜に同程度発生する。
  • 椎間孔へ進展して亜鈴状の形態を呈することあり。
  • 頭尾方向に長い境界明瞭な紡錘状の形態が特徴的。
  • 大きさは平均8cm
  • 小児では最多の後縦隔腫瘍。
  • 時折成人でも発見されることがある。やや女性に多い。
  • ほとんどは無症状で偶然発見される。
  • カテコラミンや血管作動性腸管ペプチドを産生することにより、高血圧や慢性下痢を来すことあり。
  • 水分含量に富みT2WIで比較的高信号を呈する。
  • 長期間の経過のうちに、内部が粘液腫状に変性あるいは脂肪変性を来す。
  • 内部に渦巻き状の線状構造(whorled apperance)を呈することあり。
  • 比較的均一で、造影効果は乏しい傾向にあり。
  • 造影効果が弱いため、CTでは評価困難なことがある。

傍神経節由来

  • 傍神経節からは、傍神経節腫(paraganglioma)が発生する。
傍神経節腫(paraganglioma)
  • 副腎髄質や交感神経節に存在するクロム親和性細胞が腫瘍化したもの。
  • 発生部位により副腎褐色細胞腫(副腎髄質由来)と副腎外褐色細胞腫(傍神経節由来、paraganglioma(傍神経節細胞腫))に分類される。
  • なので傍神経節腫は副腎外に発生したもの。
  • 頸部、後縦隔、傍大動脈領域、膀胱などに腫瘤を形成する。
  • 中でも大動脈小体からの発生が多い。この場合は無症状で40歳以降に発見される。
  • 大動脈交感神経傍神経節から発生した場合、後縦隔に発生するが、半数に症状(疼痛、咳嗽、呼吸苦、嚥下困難など)を認め、若年で発見される傾向にある。
  • 大部分の症例は良性であるが、約1割の症例では、肝、リンパ節、骨などに転移を来たし、悪性腫瘍としての経過を示すことがある。
  • 転移が存在するときのみ、悪性とされる。

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