前縦隔悪性腫瘍
- 前縦隔悪性腫瘍には大きく3つある。
- 胸腺上皮性腫瘍・悪性胚細胞性腫瘍・悪性リンパ腫の3つ。
- 治療法が異なるため、鑑別が重要。
胸腺上皮性腫瘍
胸腺腫
- 腫瘍化した胸腺上皮にリンパ球が混在。
- 膜内に留まるものは、非浸潤性胸腺腫と呼ばれ、予後良好。
- 被膜外・周囲へ浸潤すると浸潤性胸腺腫となる。
- 浸潤性は、胸腺静脈→腕頭静脈→上大静脈内へと浸潤したり、胸腔内播種を来す。
胸腺縦隔腫瘍、特に胸腺腫の臨床病期分類
Ⅰ期:完全に被包されている。
Ⅱ期:周囲の胸腺、縦隔の脂肪組織、縦隔胸膜への浸潤
Ⅲ期:心膜・肺・大血管などの周囲臓器に浸潤
Ⅳa期:心膜播種あるいは胸膜播種
Ⅳb期:リンパ行性または血行性転移
※浸潤は病理診断による。(縦隔腫瘍取扱い規約より。)
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胸腺癌
- リンパ球遊走能を喪失した癌化胸腺上皮からなる。
- 扁平上皮癌が多い。
- 胸腔内播種は浸潤性胸腺腫より少ない。しかし、遠隔転移はこちらが多い。
- 周囲への浸潤程度もより強い。
神経内分泌腫瘍
- 小細胞癌、大細胞神経内分泌腫瘍 (両者、低分化型)
- カルチノイド(定型型と非定型型、共に高分化型)
治療
- 胸骨縦切開による拡大胸腺摘出術を第一選択。浸潤所見に乏しかったり、低悪性度のものは、ファイバースコープ併用下での低侵襲手術も。
- 術前化学療法も併用される。術後放射線治療。
- 胸腺癌や胸腺カルチノイドでは、完全切除が予後因子として重要。
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