二次小葉とは?
- 二次小葉とは胸部CTの陰影の分布を理解する上で重要な肺の末梢の構造のことで、小葉間隔壁に囲まれた領域。
- Miller、Reidによる定義がある。
- Miller∋Reidなので、Millerで理解する。
- 終末細気管支計2~32個で小葉は形成される。
- 終末細気管支から末梢を細葉という。
- 呼吸細気管支は平均3回分岐して肺胞管、肺胞嚢、肺胞に至る。
- 二次小葉には3~5個の細葉(一次小葉)を含む。
- 二次小葉同士は小葉間隔壁で隔てられている。
- 末梢気道と肺動脈が二次小葉の中心的構造。
1)を参考に作図
小葉から見た所見の分布
気道病変-実質病変
①小葉中心性
②汎小葉性
間質病変
③小葉辺縁性
④気管支血管束沿い
非小葉性
⑤非小葉性(ランダム)
①小葉中心性病変(Centrilobular distribution)
- 経気道性の病変が主体:経気道感染症、非感染性の気道炎症性病変、吸入性肺病変など
- 小葉辺縁の構造と病変が一定の距離を保つ!!
小様中心性病変を呈する鑑別疾患
- びまん性汎細気管支炎(DPB)
- びまん性誤嚥性細気管支炎
- 二次性結核(気道散布性)
- NTM(非定型(非結核性)抗酸菌症)
- 細菌による呼吸器感染症とマイコプラズマ肺炎
- (亜急性)過敏性肺臓炎
- アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
- 膠原病に伴う細気管支病変(関節リウマチやSjögren症候群など)
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA):細気管支に生じるアレルギー肉芽腫
- 珪肺/炭坑夫肺
- 溶接工肺
- 呼吸細気管支炎関連間質性肺炎(RB-ILD)
- IgG4関連肺疾患
- 異所性肺石灰化症
など。
小葉中心性の分布についてはこちらに詳しくまとめました。→【肺炎の画像診断】胸部CTにおける小葉中心性分布とは?
②汎小葉性病変(Panlobular distribution)
- 小葉全体に病変が広がる。
汎小葉性病変を呈する鑑別疾患
など
③小葉辺縁性病変(Perilobular distribution)
小葉辺縁性病変を呈する鑑別疾患
※ただし、下3つは他の病変分布が主体。
④気管支血管周囲性病変(Bronchovascular distribution)
- 気管支血管束の周囲に病変あり。
気管支血管周囲性病変の鑑別疾患
- サルコイドーシス
- 癌性リンパ管症
- Churg-Strauss症候群
- 肺結核
- マイコプラズマ肺炎
- その他(悪性リンパ腫、白血病の肺浸潤など)
③小葉辺縁性病変(Perilobular distribution)+④気管支血管周囲性病変(Bronchovascular distribution)
この③小葉辺縁性病変(Perilobular distribution)+④気管支血管周囲性病変(Bronchovascular distribution)を合わせたものを広義リンパ路と言います。
広義リンパ路病変にはこちらにまとめました。→広義リンパ路病変の鑑別診断
⑤非小葉性(ランダム)
- ランダムパターンは、粒状影が二次小葉の構造と関係しない分布を示し、血行性散布を呈する疾患で認められる。
ランダム病変の鑑別疾患
- 粟粒結核
- 悪性腫瘍の血行性転移
- リンパ球浸潤性・増殖性肺疾患
- 珪肺/炭坑夫肺
- 好酸球性肉芽腫症
1)胸部疾患のCT診断(最新医学社)P10図12