先に結論:びまん性汎細気管支炎(DPB)のCT

  • びまん性汎細気管支炎は、肺の奥の細い気管支(呼吸細気管支)に慢性の炎症が広がる病気で、日本・東アジアに多く、慢性副鼻腔炎を合併し(副鼻腔気管支症候群)、長く続く咳・たくさんの痰・息切れが特徴です
  • CTでは両側びまん性(特に下肺)の小葉中心性の粒状影と分岐状影(tree-in-bud)、進むと細気管支・気管支の拡張が見られます。閉塞性細気管支炎は粒状影ではなくモザイク状の濃淡が主体です
  • マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシンなど)の少量長期療法がよく効き、予後が大きく改善しました。非結核性抗酸菌症との区別(マクロライド単剤は耐性化の原因)が大切です

※痰の多い咳が長く続き、鼻づまりや副鼻腔炎もあるときは、呼吸器内科を受診してください。

びまん性汎細気管支炎とは?(DPB:diffuse panbronchiolitis)

  • 呼吸細気管支に病変の主座を置く慢性炎症。びまん性に存在し、強い呼吸障害をきたす。
  • 日本人、韓国人など東アジアに多い。
  • 遺伝的な素因が考えられ、日本人ではHLA-B54、韓国人ではHLA-A11との関連が報告されています(Keicho 2011)。
  • 副鼻腔炎を合併する(副鼻腔気管支症候群の代表疾患)
  • 慢性の閉塞性換気障害で、主症状は、慢性咳嗽・痰、労作時息切れ。喀痰からはインフルエンザ菌や緑膿菌がしばしば検出され、未治療では気管支拡張症・呼吸不全へ進行します。
  • エリスロマイシンの長期少量投与により治療。

びまん性汎細気管支炎(DPB)のCT画像所見は?

  • 小葉中心性結節…胸膜や小葉間隔壁など小葉辺縁構造から少し離れて分布する。
  • 小葉中心性分岐影:Tree-in-Bud
  • 小葉内気道拡張→病期の進行とともに細気管支拡張を認める。(但し、最近はエリスロマイシン長期投与により進行例が少なくなってきている。)HRCT所見は、気管支血管束末端周囲の小結節(I型)、分岐状影とつながる小葉中心性小結節(II型)、輪状・管状影を伴う結節(III型)、拡張した近位気管支を伴う大きな嚢胞状影(IV型)の4型に分類され、この分類は臨床病期や病理学的な進行を反映するとされる。また末梢の細気管支狭窄によるエアトラッピングで、胸膜下の肺野濃度が低下してみえることもある。

びまん性汎細気管支炎の胸部X線(レントゲン)所見

  • 胸部X線では、両肺に広がる小さな粒状影がみられるのが一般的です。小葉中心性の分布と気道の拡張を示すにはHRCTが最も適しています(Nishimura 1992)。

びまん性汎細気管支炎と閉塞性細気管支炎などの違い

細気管支炎のCTは、次の3つのパターン(またはその組み合わせ)で現れるとされます(Kang 2009)。

CTのパターン 代表的な病気
小葉中心性粒状影・分岐状影 びまん性汎細気管支炎、感染性細気管支炎
すりガラス影・浸潤影 増殖性細気管支炎(器質化肺炎)
低吸収域・モザイク状の濃淡(呼気CTでエアトラッピング) 閉塞性(収縮性)細気管支炎
動画で学ぶびまん性汎細気管支炎

▶キー画像DPB1 DPB2 DPB3

 

関連記事:小葉中心性分布とは?胸部CTの肺炎の画像診断に役立つ小葉・細葉の解剖とtree-in-bud

びまん性汎細気管支炎(DPB)の診断基準

日本の厚生省研究班の診断基準が使われています(Lee 2025)。持続する咳・痰と労作時の息切れ、慢性副鼻腔炎の合併または既往、胸部X線・CTでの両肺びまん性の粒状影が主な項目で、呼吸機能検査の閉塞性障害や血液検査(寒冷凝集素価)などを合わせて判断します。

気管・気管支・細気管支の病気を部位別に整理する

咳や痰が長く続く病気は、気道のどの太さに病変があるかで、CTの見え方が変わります。DPBは細気管支の病気ですが、太い気道の病気と見比べると位置づけがわかりやすくなります。

部位 代表的な病気 CTのポイント
気管・主気管支 気管気管支軟化症、過剰な動的気道虚脱 呼気CTで気道の内腔が吸気時より大きくつぶれる。診断基準は統一されておらず、呼気終末で気管や主気管支の内径が50%以上減る基準が最もよく使われる(Mitropoulos 2021)
気管支 気管支拡張症 気管支が伴走する肺動脈より太く、壁が厚く、末梢まで先細りしない。粘液栓や小葉中心性の粒状影を伴うことがある
細気管支(粒状影・tree-in-bud) DPB、感染性細気管支炎(結核、MAC、マイコプラズマなど) 小葉中心性の粒状影と分岐状影(tree-in-bud)。感染症が背景のことが多い(Devakonda 2010)
細気管支(すりガラス状の粒状影) 過敏性肺炎、呼吸細気管支炎 境界のはっきりしない小葉中心性のすりガラス状結節(Devakonda 2010)
細気管支(モザイク状の濃淡) 閉塞性(収縮性)細気管支炎 呼気CTでエアトラッピング(Devakonda 2010)

小葉中心性の所見が主体の553例の検討では、DPB(12例)ではtree-in-budがみられ、10/12例で気管支壁の肥厚を伴っていました。同じパターンは、HTLV-1保有者、マイコプラズマ肺炎、結核、MAC症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)などでも多くみられ、tree-in-budは感染症の可能性を示唆する所見として重要です(Okada 2007)。

間違えやすいポイント

  • tree-in-budがあるだけではDPBと決められません:非結核性抗酸菌症(MAC症など)、結核、マイコプラズマ肺炎、誤嚥でも同じ見え方になります(Okada 2007)。症状の経過、副鼻腔炎の有無、喀痰の検査を合わせて判断します。
  • 治療が変わるのでNTMとの区別が大切:DPBでは少量のマクロライド系抗菌薬を長期に使いますが、非結核性抗酸菌症にマクロライドだけを使うと耐性化の原因になります。疑わしいときは喀痰の培養が必要です。
  • 気管の「つぶれ」は吸気だけでは診断できません:気管・気管支の軟化症は呼気のCTでみます。健常者の17%(信頼区間0〜61%)でも50%以上の虚脱と判定される報告があり、症状と合わせて評価します(Mitropoulos 2021)。
  • モザイク状の濃淡は粒状影の病気とは別のパターン:閉塞性細気管支炎などで、呼気CTでエアトラッピングを確認します(Devakonda 2010)。

びまん性汎細気管支炎のCTでよくある疑問(Q&A)

Q. DPBと気管支拡張症は何が違いますか?
A. DPBは呼吸細気管支を中心とした病気で、初期は小葉中心性の粒状影が主体です。進むと細気管支や気管支が拡張し、気管支拡張症のような見え方になります。副鼻腔炎の合併や、痰の多い慢性の咳が手がかりです。

Q. 長く続く咳や痰があれば受診したほうがよいですか?
A. はい。痰の多い咳が長く続く、息切れがある、慢性の副鼻腔炎もあるといった症状があれば、呼吸器内科に相談してください。

参考文献

  1. Poletti V, Casoni G, Chilosi M, et al. Diffuse panbronchiolitis. Eur Respir J. 2006;28(4):862-71. PubMed
  2. Kudoh S, Keicho N. Diffuse panbronchiolitis. Clin Chest Med. 2012;33(2):297-305. PubMed
  3. Akira M, Kitatani F, Lee YS, et al. Diffuse panbronchiolitis: evaluation with high-resolution CT. Radiology. 1988;168(2):433-8. PubMed
  4. Nishimura K, Kitaichi M, Izumi T, et al. Diffuse panbronchiolitis: correlation of high-resolution CT and pathologic findings. Radiology. 1992;184(3):779-85. PubMed
  5. Keicho N, Hijikata M. Genetic predisposition to diffuse panbronchiolitis. Respirology. 2011;16(4):581-8. PubMed
  6. Kang EY, Woo OH, Shin BK, et al. Bronchiolitis: classification, computed tomographic and histopathologic features, and radiologic approach. J Comput Assist Tomogr. 2009;33(1):32-41. PubMed
  7. Lee HJ, Heo KJ, You YS, et al. A Novel Machine Learning Approach to Assist Early Diagnosis of Diffuse Panbronchiolitis. J Korean Med Sci. 2025;40(47):e311. PubMed
  8. Okada F, Ando Y, Yoshitake S, et al. Clinical/pathologic correlations in 553 patients with primary centrilobular findings on high-resolution CT scan of the thorax. Chest. 2007;132(6):1939-1948. PubMed
  9. Devakonda A, Raoof S, Sung A, et al. Bronchiolar disorders: a clinical-radiological diagnostic algorithm. Chest. 2010;137(4):938-951. PubMed
  10. Mitropoulos A, Song WJ, Almaghlouth F, et al. Detection and diagnosis of large airway collapse: a systematic review. ERJ Open Res. 2021;7(3). PubMed

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