異所性肺石灰化(metastatic lung calcification)
- 高カルシウム血症、慢性腎不全(特に透析患者)、多発性骨髄腫、原発性あるいは二次性副甲状腺機能亢進症、ミルクアルカリ症状群、ビタミンD過剰症、悪性腫瘍の骨転移などに起こる。
- 正常組織に石灰化が沈着すること。
※栄養障害性石灰化(dystrophic calcification)は代謝異常はなく、腫瘍や壊死の病的組織に石灰沈着すること。例)結核、サルコイドーシス、水痘肺炎、寄生虫、塵肺、アミロイドーシス、肺高血圧、肺うっ血、ヘモジデローシス - 腎不全の場合、カルシウム代謝異常→二次性副甲状腺機能亢進症→骨吸収や異所性石灰化、アミロイド沈着などを起こす。
- 血清Ca×P>75、アルカローシスで発生しやすくなる。
- 無症状のことが多いが、進行すると拘束性障害、拡散障害、低酸素血症を来す。
- 石灰沈着は、肺、動脈、心筋、関節周囲、消化管、目の結膜などに生じる。
- 肺の場合、肺胞隔壁、小さな肺血管壁・気管支壁に石灰化沈着を来す。
異所性肺石灰化のCT所見
- 上葉優位に境界不明瞭な小葉中心性結節をきたし、胸壁の血管に石灰化を伴うことあり。
※上肺に多いのは、換気/血流が高く、結果高炭酸ガス血症になりpHがアルカリに傾いているから。 - 基本的に両側だが、片側の場合もあり。
- 感染や肺水腫の要素が加わると石灰化の沈着は増強する。
- 石灰化のパターンは、
- 肺全体、肺尖部、肺底部の多数の小石灰化
- びまん性のすりガラス影
- 肺炎のように肺葉内に広がるコンソリデーション
の3パターンあり。
- 骨シンチにて肺野に集積を認めるのが特徴で、他の疾患との鑑別に使える。
症例70歳代女性 透析患者
右中下葉を中心に小葉中心性の淡いすりガラス影を認めています。
また末梢には粗大な石灰化を認めています。
肺底部の石灰化の様子は縦隔条件で高吸収となり、より明瞭です。
これらの所見は6年前には認めていませんでした。
透析患者であり、異所性肺石灰化(転移性肺石灰化症)を疑う所見です。
参考:
- 困ったときの胸部の画像診断 P184-185
- 胸部のCT第4版 P701
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