目次
肺胞蛋白症(PAP:pulmonary alveolar proteinosis)
- サーファクタント(リン脂質)過剰産生や吸収障害が原因。
- このリン脂質が肺胞にたまり、これがPAS染色で陽性となる。
- 原発性(自己免疫性)、2次性(感染症や免疫不全に関連)、先天性に分けられる。
- 自己免疫疾患の場合、GM-CSFに対する免疫グロブリンGアイソタイプの中和抗体が出現していることが示唆れている。
- 30-50歳の喫煙男性に多く男女比3:1。
- 100万人に3.7人程度のまれな疾患。
- 粗なアミアミ。3割は無症状で健診で発見される。進行すると乾性咳嗽、呼吸困難、微熱、体重減少を来す。
- 赤血球増多症、高γグロブリン血症、LDH上昇がしばしば見られる。
- BALにて米のとぎ汁様の回収液が特異的。
- 20−30%が自然寛解。
- 治療は全肺胞洗浄が最も標準的。
肺胞蛋白症の画像所見
- 古典的なX線像はバタフライ状の対称性浸潤影。
- 小葉間隔壁肥厚+すりガラス影のcrazy paving appearance。胸膜直下にくることもある。この所見=肺胞蛋白症というわけではないので注意。関連)crazy-paving pattern/appearanceとは?画像診断、鑑別診断
- 辺縁は比較的明瞭で小葉間隔壁で境界される。
症例 70 歳代の男性。半年前からの労作時の軽度呼吸困難を主訴に来院した。
2016年放射線科診断専門医27より引用
いわゆるcrazy paving appearance。肺胞蛋白症(PAP)を疑う所見。
症例 10 歳代後半の女子。学校健診の胸部 X 線撮影にて異常陰影を指摘。症状は特になし。
2014年放射線科診断専門医試験問題28より引用。
両側下葉優位に胸膜直下および中枢側にcrazy paving appearanceを呈するすりガラス影あり。肺胞蛋白症を疑う所見。
症例 40 歳代の男性。労作時の息切れ。
(放射線科診断専門医試験2012年32番より引用。)
両側肺野にcrazy paving appearanceあり。肺胞たんぱく症を疑う所見。
症例 71 歳の男性。以前より喀痰,呼吸困難があり,増悪するため来院。
2006年放射線科診断専門医試験問題25番より引用。
両側の肺野にびまん性に斑状のすりガラス濃度を示す陰影が見られる。CTではcrazy pavement appearanceあり。派手な陰影の割に症状は軽く肺胞蛋白症と考えられる。
症例 56 歳の女性。軽度の呼吸困難。
2005年放射線科診断専門医試験問題31より引用。
crazy pavement appearanceあり。
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