非結核性抗酸菌症とは?
- NTM:non-tubeculous mycobacteriosis。
- 結核菌とらい菌以外の抗酸菌の総称。
- MAC症(Mycobacterium avium complex)が最多で8割強。1割弱はM.kansaiiによるもの。他の菌種は非常に稀。
※MAC症はMycobacterium aviumとintracellulareを併せた呼称。
- 近年増加傾向にある。
- 基本的に結核で見られる病理学的変化と同様。乾酪壊死を伴う肉芽腫や空洞形成が主体。
- 無症状〜咳嗽、喀痰などの呼吸器症状から、発熱や食欲不振など。
- 確定診断は喀痰などからの菌の同定であるが、喀痰は陰性で、気管支鏡検査や手術で診断される症例も稀ではない。
- 女性に多く「気管支型」「中葉舌区型」が増加。
- 治療の対象は、画像上病変が明らかで菌が同定され、喀血を繰り返す場合や、病変が進行性である場合に限られる。
- 治療効果は期待しにくいので、自然経過をみることも多い。治療の基本は抗結核薬であるが、M.kannsaii以外は薬剤感受性に乏しい。
MAC症とM.Kansaii症の特徴の違い
MAC症 | M.Kansaii症 | |
頻度 | 80% | 10% |
好発 | ・健常人中高年女性 ・高齢男性 |
・重症喫煙者 ・男性(9割以上) |
主な基礎疾患 | ・気管支拡張症 ・肺結核 ・AIDS |
なし |
治療 | ・肺葉切除 ・抗結核薬、クラリスロマイシン |
・抗結核薬、クラリスロマイシン |
備考 | ・抗結核薬が効きにくく、除菌できず難治化しやすい。 | ・抗結核薬に対する感受性が高く、予後は良好。 |
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NTMの画像所見
▶CT所見:
MAC症①気管支炎型・中葉舌区型(結節・気管支拡張を呈する)
- 中葉や舌区を主体とする小葉中心性結節、小葉中心性分岐影(Tree-in-Bud)、気管支拡張。(中葉舌区→S2,3,6,8へと拡大。結核に多いS1の頻度は少ない。)
- 結核同様に上葉や下葉S6の空洞や浸潤影を呈するMAC症においても中葉や舌区の気管支拡張や小結節を伴うことがあり、鑑別に有用。(MAC症は結核に比べて空洞壁が薄く、広範な浸潤影を呈することは稀。)
- 経時的に結節は消失することもあるが、気管支拡張、胸膜肥厚、肺の虚脱は非可逆的で進行性。
- 多くは次第に病変が拡大し、最終的に空洞形成する。
MAC症②結核類似型(線維空洞を呈する。)
- 女性のみでなく、陳旧性肺結核や肺気腫などの基礎疾患を有する男性にも見られるタイプ。
- 空洞の拡大、融合が進行性で難治性。
- 結核と類似しているが、空洞壁が薄いことと、周囲の娘病巣が乏しいこと、中葉や舌区に小結節や気管支拡張を認める点で鑑別可能。
- また空洞は、結核はS1、S1+2a,b、S6に好発するが、このタイプのMAC症の場合、右S2あるいは左S1+2cに多いとの報告あり。
- MAC症の場合、空洞に開口する軽度の壁肥厚を伴う拡張気管支が見られることあり。
M.kansaii症
- M.kansaii症は男性に多く、上葉(特にS1)に薄壁空洞を認める傾向あり。
動画で学ぶNTM①(40歳代女性)
動画で学ぶNTM②(70歳代女性)
▶キー画像
参考)画像診断 vol.34 No8 2014,P868-870