二次結核(最多)とは?
- post primary tubeculosis
- 結核菌が吸入されると、末梢肺に初期感染巣が形成される。それと同時に肺門リンパ節にも病巣が形成される。この2つを初期変化群という。
- このとき一部の菌は静脈角から血行性に全身に運ばれるが、ほとんどは個体の免疫機構により発症しない。
- 歳月を経て、免疫能の低下が起こったときなどに、マクロファージ内や肉芽腫内に封じ込められていた結核菌の増殖により発病するのが二次結核。
- このように二次結核は既感染患者に発症するもの。
- 既感染は多くの場合発症しておらず、不顕性感染と言われる。
- 縦隔などリンパ節に石灰化しているものは既往を示すものであり、必ずしも発症したことを意味しない。
- 二次結核は、経気道散布による。
▶︎二次結核のリスクファクター
- 慢性腎不全
- ステロイド
- 糖尿病
- 珪肺
- 胃切除後
- 免疫抑制剤投与
- TNFα阻害薬
- 低栄養
- 慢性アルコール中毒
- HIV
※これらのリスクファクターを有する場合、結核菌を封じ込め殺菌するサイトカイン(マクロファージ、Tリンパ球、インターフェロンγ、TNFα)の機能低下や減少あり。
二次結核の画像所見
肺結核のCT画像を集めた記事はこちら→【保存版】肺結核のCT画像7選!特徴的な所見はこれ!
レントゲン
- 上葉の肺尖部(S1,S2,S1+2)や背側の区域(S6)に好発。
※肺尖部:肺の換気血流比は肺尖部で最も高く、増殖に酸素が必要な偏性好気性菌である結核菌が増殖しやすい環境である。
※肺尖、上肺背側:呼吸による肺の可動性が乏しく、リンパによるドレナージから免れやすい。
- 上葉の前区域や肺底部に陰影があるときは、基本的に上葉肺尖部、後区域にも必ず陰影がある。
- 浸潤影や線状結節影を呈する。混在していることが多い。
- 空洞形成は肺結核の特徴的所見の1つであるが、およそ半数程度に認められる。
- 胸水はしばしば合併(18%と報告あり)
- リンパ節腫脹はまれ。
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CT所見:結核の病期・重症度により多少異なる。
- 早期の肺結核では、小葉中心性結節ないしは分岐状構造物(tree-in-bud appearance)が最もよく認められる所見であり、活動型の肺結核の特徴的所見。
- 他の小葉中心性病変である細気管支炎よりも末梢まで陰影を認め、粒が濃いことが特徴。
- その他辺縁不明瞭な5~8mmほどの結節や小葉単位の consolidation、空洞性結節、小葉間隔壁の肥厚、気管支壁肥厚なども認められる。
- 重症例では早期病変に加えて、比較的辺縁明瞭なconsolidationで、空洞を伴った病変が多発・広範囲に認められる。
- これらの陰影は、上葉の肺尖部から背側の区域や下葉の上区域(S1,2,6)を中心にみられる。
- 糖尿病や免疫不全症例では、サイトカイン機能の低下により、乾酪壊死や肉芽腫形成ができず、典型的領域に陰影がみられず、下葉優位の分布や肺外結核を呈する傾向あり。
▶病理と画像の関係:
- 壊死性肉芽腫=細葉・小葉中心性の粒状影、結節影。
- 呼吸細気管支〜肺胞管に充満した乾酪壊死性物質=微細分枝状影、tree-in-bud appearance
- 乾酪壊死組織の崩壊、軟化融解による経気道的排泄=空洞形成。
動画で学ぶ活動性二次結核(60歳代男性)
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