先に結論:UIPとIPFの違い・HRCTの見方
- UIP(通常型間質性肺炎)は画像・病理のパターン名、IPF(特発性肺線維症)は原因がわからない場合の病名です。UIPパターンは膠原病や慢性過敏性肺炎でも見られるため、それらを除外してIPFと診断します
- HRCTのUIPパターン:両側の肺の下の方・胸膜の直下を中心に、網状影・牽引性気管支拡張と蜂巣肺(小さな嚢胞が層状に並ぶ)が見られます。蜂巣肺がなく他の特徴がそろうものがprobable UIPです
- IPFは高齢の男性・喫煙者に多く、ゆっくり進行します。抗線維化薬(ピルフェニドン・ニンテダニブ)が治療の中心で、急性増悪や肺がんの合併に注意が必要です
- 牽引性気管支拡張は、肺の線維化で周りから引っぱられて気管支が広がった状態です。線維化のサインで、範囲が広いほど予後が悪いと報告されています(下の解説)
通常型間質性肺炎(UIP/IPF)
UIP?IPF?なぜ2つもあるのでしょうか?
少しややこしいですが、
- UIP: usual interstitial pneumonia 通常型間質性肺炎
- IPF: Idiopathic Pulmonary Fibrosis 特発性肺線維症
であり、
- UIPは画像・病理診断
- IPFは臨床診断 です。
つまり、画像診断医はレポートにUIP patternです、と書く事はあっても、IPFですとは書かないわけです。そして、UIPの画像・病理所見を呈するのは、なにもIPFだけではなく、膠原病やCHP(慢性過敏性肺炎)など多彩です。これらを除外してはじめて特発性つまり、IPFと診断されます。
特発性肺線維症(IPF)の診断:
呼吸器内科医、放射線科医、病理医の合議によって決定する(multidisciplinary discussion)。
IPF(UIP)
- 原因不明の線維性間質性肺炎。
- 慢性経過か進行性。
- 男性に多い。
- 高齢者に多く、加齢もリスクファクターと言われる。病理で確定したUIPとNSIPを比べたメタ解析では、年齢の中央値はUIP 59.7歳、NSIP 54.8歳で、NSIPの方が若かった(Ebner 2020)。
- 主症状は乾性咳嗽、息切れ。
- 治療抵抗性で予後不良。
- IPFと他の間質性肺炎を鑑別する理由:病型によって治療の考え方が変わる。IPFには抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ)があり、急性増悪にはコルチコステロイドが使われることがある(Raghu 2022)。
▶特発性肺線維症(IPF)の診断:
- 呼吸器内科医、放射線科医、病理医の合議によって決定。
- HRCT上典型的なUIPパターンを示す症例は、外科的生検を必要としない。
- あとは内科的に、続発性を除外→特発性と診断。
IPFのHRCT診断4パターン
(2018年ガイドライン※でこのように分類された)
- UIP パターン
- Probable UIP パターン
- Indeterminate for UIP パターン
- alternative diagnosis
2018年版では1のみ画像・臨床所見からUIPと診断し、2〜4では気管支肺胞洗浄や外科的肺生検などを考慮するとされた(2022年改訂ではprobable UIPも1と同様に扱う。下記※参照)。
※Am J Respir Crit Care Med 198:e44-e68,2018
※2022年の改訂ガイドライン(Am J Respir Crit Care Med 205:e18-e47,2022)では、臨床的にIPFが疑われる状況ではprobable UIPパターンもUIPパターンと同様に扱い、外科的肺生検なしで診断できるとされた。同じ2022年のガイドラインでは、IPF以外の間質性肺疾患で、過去1年以内に「症状の悪化」「画像上の進行」「呼吸機能の悪化」の3つのうち2つ以上を満たし、ほかに説明がつかないものを進行性肺線維症(PPF)と定義した。また、経験のある施設では経気管支肺クライオ生検を外科的肺生検の代わりとして認める条件付き推奨が出された。
IPFのHRCT診断4パターンと画像所見
- UIPパターン:胸膜直下、下葉優位で蜂巣肺を伴う。
- Probable UIPパターン:蜂巣肺は伴わず、胸膜直下・肺底部優位の網状影と末梢の牽引性気管支拡張を認める。
- Indeterminate for UIPパターン:微細な網状影。特定の病因を示唆しない線維化。
- Alternative diagnosis:他疾患を示唆する陰影の分布。
IPFの診断手順
- 他の間質性肺炎を呈する疾患を除外する。
- HRCTでUIP patternの症例は外科的生検が不要。
- 他の診断のときは合議にて決定する。

実際の画像所見
蜂巣肺
- UIPの代表的所見で、UIP patternの診断に必須。
- 予後と相関あり。蜂巣肺が多いほど予後が悪い。
- 病理的には拡張した末梢気道と虚脱した肺胞腔。
▶CT所見:
- 集簇する嚢胞性陰影。
- 境界明瞭で薄い壁。
- 数mm程度の小さな嚢胞が多い(大きさはさまざま)。
- 胸膜直下。
- 隣り合う嚢胞と壁を共有する。
- 層状に(何列にも)連なる。
※注意点として、牽引性気管支拡張と間違えてはいけない。上下のスライスを見る事で牽引性気管支拡張かどうかチェックする。
(時相の不均一性を認める蜂巣肺の画像所見。時相の不均一性とは正常と線維化部位が隣り合う所見。)

小葉内網状影
- Intralobular reticular opacity。
- UIPの代表的所見。
- 肺胞壁の線維化像。
- 実際には規則正しい網目状の所見ではない。
- 不整な線状影や点状影の集合。

※すりガラス影と網状影の鑑別は?
- 両者しばしば合併する。
- 均一であればすりガラス影→NSIP
- 不均一であれば網状影→IPF
牽引性気管支拡張
- 伴走する動脈より拡張する気管支。
- 壁が不整で、気管支周囲に線維化を疑うすりガラス状陰影や均等影がある。
- UIPでは末梢の牽引性気管支拡張が主で、あまり目立たない事が多い。
- UIPでは下葉優位だが、進行すると上葉にも広く見られる。
牽引性気管支拡張とは?(見分け方と意味)
- 定義:肺の線維化によって周りの組織が縮み、気管支・細気管支が外から引っぱられて不整に広がった状態。細い末梢の気道では牽引性細気管支拡張(traction bronchiolectasis)とよぶ(Bankier 2024)。
- CTの特徴:線維化(網状影・すりガラス影)の中にあり、壁が不整で数珠状・曲がりくねった形になる。感染による気管支拡張と違い、周囲に線維化があるのがポイント。
- 蜂巣肺との見分け:輪切り1枚では嚢胞に見えることがあるが、上下のスライス(または冠状断・矢状断)で管としてつながっていれば牽引性気管支拡張、行き止まりの嚢胞が胸膜直下で層をなしていれば蜂巣肺と考える。
- UIP以外でも見られる:線維化NSIP、慢性過敏性肺炎、膠原病肺、サルコイドーシスなどでも出る。UIPかどうかは分布や蜂巣肺と合わせて決める。
- 予後との関係:あらゆる種類の線維化性間質性肺疾患1593例の前向き登録研究では、蜂巣肺の範囲(肺の10%増えるごとにハザード比1.20)と牽引性気管支拡張の範囲(10%増えるごとにハザード比1.18)が、それぞれ独立して移植なし生存の悪化と関連した(Marinescu 2025)。


病理とHRCTの対応:UIPパターンの「確からしさ」
2022年のガイドラインでは、HRCTを4つのパターンに分け、それぞれ病理でUIPである確からしさの目安を示しています(Raghu 2022)。
| HRCTパターン | UIP組織の確からしさ | 分布・CT所見 |
|---|---|---|
| UIP | 確信(90%超) | 胸膜直下・肺底部優位で、しばしば不均一。蜂巣肺(牽引性気管支拡張・細気管支拡張は伴ってもよい)、小葉間隔壁の不整な肥厚。軽いすりガラス影を伴うことがある |
| Probable UIP | 暫定的に高い(70〜89%) | 胸膜直下・肺底部優位で不均一。網状影と牽引性気管支拡張・細気管支拡張があり、蜂巣肺はない |
| Indeterminate for UIP | 暫定的に低い(51〜69%) | 胸膜直下優位でなくびまん性。線維化はあるが特定の病因を示唆しない |
| Alternative diagnosis | 低い〜非常に低い(50%以下) | 他疾患を示唆する所見(下の一覧) |
「別の病気を示唆する所見」の目安(Raghu 2022)
- 気管支血管束周囲優位で胸膜直下が保たれる(subpleural sparing):NSIPを考える
- リンパ路性の分布:サルコイドーシスを考える
- 上肺〜中肺優位:線維化性過敏性肺炎、膠原病に伴う間質性肺疾患、サルコイドーシスを考える
- 嚢胞:LAM、PLCH、LIP、DIPなどを考える
- モザイク吸収値(three-density sign):過敏性肺炎を考える
進行性肺線維症(PPF)の基準:画像では何を見る?
IPF以外の間質性肺疾患で線維化のある人が、過去1年以内に次の3つのうち2つ以上を満たし、ほかに説明がつかないとき、PPFと定義されます(Raghu 2022)。
- 呼吸器症状の悪化
- 呼吸機能の悪化:1年以内にFVCが予測値の5%以上低下、またはDLCO(ヘモグロビン補正)が予測値の10%以上低下
- 画像上の進行:牽引性気管支拡張・細気管支拡張の範囲の拡大または程度の増加/牽引性気管支拡張を伴う新たなすりガラス影/新たな微細網状影/網状影の範囲の拡大・粗大化/蜂巣肺の新出または増加/肺葉の容積減少の増加
画像診断では、前回のCTと比べて牽引性気管支拡張と蜂巣肺の範囲が増えていないかを、同じ条件(吸気の深さ・スライス厚)で見比べることが大切です。
肺底部のわずかな網状影、すりガラス影の鑑別は?
- 初期のIPF
- アーチファクト(吸気が不十分である。あるいは重力効果)
- 初期の喫煙関連の間質性肺炎:喫煙に関連した線維化を伴う気腔拡大(AEF:airspace enlargement with fibrosis)
- 初期の膠原病肺や慢性過敏性肺臓炎などの2次性の間質性肺炎
間質性肺炎の画像パターン:UIPとNSIPの違い
間質性肺炎のCTパターンで最も比べられるのがUIPとNSIPです。病理で確定した症例を集めたメタ解析(33論文2318例)では、次のような差がありました(Ebner 2020)。
| UIPパターン | NSIPパターン | |
|---|---|---|
| 年齢(中央値) | 59.7歳 | 54.8歳 |
| 男性の割合 | 73.6% | 52.8% |
| 喫煙者の割合 | 73.9% | 55.1% |
| 蜂巣肺 | 73.4% | 28.9% |
| 末梢(胸膜直下)優位 | 83.3% | 41.8% |
| 胸膜直下が抜ける(subpleural sparing) | 4.3% | 40.7% |
| 主な陰影 | 不均一な網状影・蜂巣肺 | 均一なすりガラス影・網状影 |
※せきや息切れが長く続く場合は、医療機関(呼吸器内科)を受診してください。
関連記事:軽微な間質性病変(肺間質の異常)であるILA(interstitial lung abnormality)とは?
参考:困ったときの胸部の画像診断 P202
UIP・IPFでよくある疑問(Q&A)
Q. probable UIPパターンでも生検は不要ですか?
A. 2022年のガイドラインでは、臨床的にIPFが疑われる状況ではprobable UIPパターンもUIPパターンと同様に扱い、外科的肺生検なしで診断できるとされています(Raghu 2022)。ただし、診断は呼吸器内科医・放射線科医・病理医の合議で決めます。
Q. 進行性肺線維症(PPF)とIPFの違いは?
A. IPFは原因不明のUIPパターンの病名、PPFはIPF以外の線維化を伴う間質性肺疾患が進行しているときの考え方です。PPFの定義は上の3項目のうち2つ以上を満たすことです(Raghu 2022)。
Q. 蜂巣肺と牽引性気管支拡張は、どちらが予後に影響しますか?
A. 線維化性間質性肺疾患1593例の検討では、蜂巣肺の範囲と牽引性気管支拡張の範囲は、それぞれ独立して移植なし生存の悪化と関連していました(Marinescu 2025)。
あわせて読みたい:subpleural line(胸膜直下線状影)とsubpleural curvilinear shadowとは?胸部CT所見と原因
参考文献
- Raghu G, Remy-Jardin M, Myers JL, et al. Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2018;198(5):e44-e68. PubMed
- Raghu G, Remy-Jardin M, Richeldi L, et al. Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205(9):e18-e47. PubMed
- Lynch DA, Sverzellati N, Travis WD, et al. Diagnostic criteria for idiopathic pulmonary fibrosis: a Fleischner Society White Paper. Lancet Respir Med. 2018;6(2):138-153. PubMed
- Hatabu H, Hunninghake GM, Richeldi L, et al. Interstitial lung abnormalities detected incidentally on CT: a Position Paper from the Fleischner Society. Lancet Respir Med. 2020;8(7):726-737. PubMed
- Lederer DJ, Martinez FJ. Idiopathic Pulmonary Fibrosis. N Engl J Med. 2018;378(19):1811-1823. PubMed
- Ebner L, Christodoulidis S, Stathopoulou T, et al. Meta-analysis of the radiological and clinical features of Usual Interstitial Pneumonia (UIP) and Nonspecific Interstitial Pneumonia (NSIP). PLoS One. 2020;15(1):e0226084. PubMed
- Marinescu DC, Hague CJ, Muller NL, et al. CT Honeycombing and Traction Bronchiectasis Extent Independently Predict Survival across Fibrotic Interstitial Lung Disease Subtypes. Radiology. 2025;314(2):e241001. PubMed
- Bankier AA, MacMahon H, Colby T, et al. Fleischner Society: Glossary of Terms for Thoracic Imaging. Radiology. 2024;310(2):e232558. PubMed
あわせて読みたい:肺疾患・胸部CTサインのシェーマ一覧
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いつもお世話になっております.質問があります. “Upper subpleural linear shadow” は米国胸部学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部学会(ALAT)の国際ガイドライン(2011年)にはないように思われます.引用元を示していただけないでしょうか.小生の勉強不足で不適切な指摘でしたらすみません.
ご指摘いただきありがとうございます。出典を探したのですがはっきりしないため勘違いかもしれません・・・。申し訳ありません。該当箇所を一旦削除しました。
いつもお世話になっております。
呼吸器内科として気になる点がありましたのでご報告いたします。
呼吸器の教科書的にはIIPs(特発性間質性肺炎)の分類の中に典型的なIPF(特発性肺線維症:UIPパターン)やNSIPが含まれるような記載がありますが、放射線科的にはどうなっておりますでしょうか。
御多忙中とは思いますがご教授いただけますでしょうか。
たか先生
返信遅くなり申し訳ありません。
放射線科的にも同様です。
よろしくお願いします。
いつもお世話になっております。最初のセクションですが、
UIP: usual interstitial pneumonia 通常型間質性肺炎
IPF: idiopathic interstitial pneumonia 特発性肺線維症
とありますが、IPF→idiopathic pulmonary fibrosisではないでしょうか。
idiopathic interstitial pneumonia(突発性間質性肺炎)に上記を含むということでよろしいでしょうか?
コメント&誤植指摘いただきありがとうございます。
修正しました。