広義リンパ路病変とは?
- CT所見では、広義間質(小葉間隔壁、気管支血管束、胸膜)の肥厚や広義間質に沿った結節病変が基本となる。
- 特に、結節病変が葉間胸膜に沿って存在する場合は胸膜に接しているか否かに注目。ただし、ランダム分布の結節や胸膜播種でもそう見えることがあるので注意。
- 病理学的には、広義間質やリンパ管への細胞浸潤・肉芽腫形成・浮腫などを反映している。
- 静脈のうっ血、リンパ管いずれかが拡張した状態。
広義リンパ路病変の鑑別診断
小葉間隔壁の肥厚、気管支血管束の肥厚などを手がかりに、以下の鑑別診断を考える。
- リンパ増殖性疾患(MALT lymphoma、多中心性Castleman diasease(LIPと画像は同じ)、LIPなど)
- 好酸球性肺炎
- 肺水腫
- 癌性リンパ管症
- 珪肺
- サルコイドーシス
- アミロイドーシス
- ウイルス(HTLV-1感染症)、kaposi肉腫
- COP(BVBに沿った分布より)
- RA、Sjogrenに伴う膠原病肺
- IgG4関連肺疾患
症例 50歳代女性 乳がん術後。
癌性リンパ管症の前後の同じレベルでのCT画像です。
小葉間隔壁・気管支血管束の肥厚を認めています。
癌性リンパ管症のCT画像所見です。
このCT画像を確認する。→癌性リンパ管症のCT画像所見
多発骨転移もあり。(非提示)
症例 40 歳代の女性。呼吸困難感の増強を主訴に来院した。乳癌の術後。
(2011年放射線科診断専門医試験問題25より引用)
小葉間隔壁の肥厚およびBVBの肥厚あり。広義リンパ路病変で、癌性リンパ管症を疑う所見。
症例 60 歳代の女性。呼吸困難
(2012年放射線科診断専門医試験問題26より引用)
小葉間隔壁の肥厚およびBVBの肥厚あり。広義リンパ路病変で、悪性リンパ腫や癌性リンパ管症を疑う所見。
症例 30歳代男性 3ヶ月の経過で呼吸困難が進行、HIV陽性、CD4 34/μl。
(2009年放射線科診断専門医試験問題28より引用)
CTにて両側中枢側優位に気管支血管束に沿ったコンソリデーションあり。小葉中心性の結節もあり。周囲にすりガラス影あり。いわゆる広義リンパ路病変であり、エピソードからもKaposi肉腫が疑われる。