過敏性肺臓炎とは?(Hypersensitivity Pneumonitis:HP)
- 抗原を経気道的に繰り返し吸引→感作が成立→抗原に対して免疫が過剰反応を示す結果生じるアレルギー性肺炎。
- 夏型過敏性肺臓炎が3/4を占める。居住環境に増殖するトリコスポロン(Trichosporon asahii)を吸入抗原とする
- その他には、細菌や抗酸菌といった微生物、動物などの異種蛋白、イソシアネートなどの化学化合物が抗原となる。
- 原因としては、農夫肺、塗装工肺、きのこ栽培者肺、さとうきび肺、温室栽培者肺といった職業肺や、ペットによる鳥飼病、最多である夏型過敏性肺炎、空調肺、加湿器肺、羽毛布団肺など住まいの環境によるものまである。
- 経気道的に吸入された抗原に対する細気管支~肺胞レベルでのアレルギー反応。Ⅲ型およびⅣ型アレルギーが関与。病理では細気管支からその周辺の肉芽腫性病変。
- 急性(4-6時間)、亜急性、慢性型があるが、通常遭遇するのは亜急性型。
- 急性型は比較的大量な抗原に曝露された場合に4−6時間で発症、亜急性型は数週〜数ヶ月で発症する。
- 慢性型は特発性間質性肺炎と鑑別が難しいものもある。慢性型は鳥抗原にする者が多い。
- 入院にて症状が改善するのが特徴。
- 高温多湿、4-10月、関東~西日本に多い。
- 抗体測定、チャレンジテスト。
過敏性肺臓炎(HP)のCT画像所見
①急性型:
- 浸潤影が主体。
- 斑状・びまん性GGO+小葉中心性結節、浸潤影
- Mosaic attenuation
(∵吸入抗原の分布で不規則になると部分的にspareされる場所が出てくる、小葉単位で病変の強弱あり)
(臨床所見では、
- 強い呼吸困難
- 聴診でのfine crackles
- 血清KL-6値の上昇
- 血清CRP上昇
などが手がかりとなる)
②亜急性期:
- びまん性小葉中心性の結節状すりガラス影+air trappingによる小葉性モザイクパターン。(air trappingがある点が薬剤性や溶接工肺との鑑別点)
③慢性型:
- 線維化が目立つようになる。上肺優位の線維化+小葉中心性粒状影が典型的だがバリエーションあり。
- 蜂巣肺や牽引性気管支拡張も高頻度に見られる。線維化が進行すると特発性肺線維症(IPF)や非特異性間質性肺炎(NSIP)などとの鑑別が重要となる。
症例 20歳代男性 夏型過敏性肺臓炎(亜急性型)
両側肺野にびまん性に小葉中心性の淡い粒状影〜結節影を認めています。
右下葉にはair trappingあり。
トリコスポロン陽性であり、夏型過敏性肺臓炎と診断されました。
症例 70歳代男性 夏型過敏性肺臓炎(亜急性型)
小葉中心性の粒状影を認めています。
モザイクパターンあり。air trappingを疑う所見です。
亜急性型の過敏性肺臓炎と診断されました。
参考)
Patel RA,et al.JCAT 2000;24:065-970
画像診断 vol.38 No.10 2018 P1082-1084