先に結論:移植後・血液疾患の肺胞出血
- 肺胞出血は、血小板減少・造血幹細胞移植後・重い感染症などで、肺の中(肺胞)に出血が広がる状態で、命にかかわることが多い重い合併症です
- CTでは両肺に広がるすりガラス影・浸潤影で、網目状の影が重なる(crazy-paving)こともありますが、所見は特異的ではなく、喀血がない例も多いため、気管支肺胞洗浄などで診断します
肺胞出血とは?
- 原因:血小板減少症や感染症(特に真菌症)、造血幹細胞移植。
- 非感染性の肺合併症の中で最多。
- 急性白血病患者の剖検において54%に肺出血。
- 造血幹細胞移植後、多くは移植後数週以内に発症する。GVHD、移植前の強力な化学療法や全身照射による肺血管障害。死亡率は高く、従来は約80%と報告されていた(48例の検討では院内死亡率48%で、同種移植70%、自家移植28%)。
- 喀血はみられないことも多く(びまん性肺胞出血全体で最大3分の1)、生前診断が比較的困難。造血幹細胞移植後の肺胞出血48例の報告では、症状は呼吸困難92%、発熱67%、咳56%に対し喀血は15%のみで、28例は移植後1か月以内に発症していました。
肺胞出血のCT所見は?
- 非特異的。
- 広範なすりガラス影、浸潤影。内部に網状影(crazy-paving appearance)が認められる。
- 胸膜直下に病変が及ぶ事が少ない。診断は、気管支肺胞洗浄で回収液がだんだん血性になることと、徹底した微生物学的検査で病原体が検出されないことで、感染性の肺胞出血と区別する。
症例 30歳代男性 抗凝固療法中の腎機能障害、急に始まった呼吸困難と血痰

引用:Radiopaedia(Acute diffuse alveolar haemorrhage)
両肺に小葉単位で広がるすりガラス影を認め、背側では融合した浸潤影となっています。小葉間隔壁の肥厚は目立たず、急性期の肺胞出血と考えられた症例です(造血幹細胞移植後ではなく、抗凝固療法中の症例です)。
肺胞出血を疑うポイント
- 血小板減少や造血幹細胞移植後の患者で、短期間に広がる両側のすりガラス影とヘモグロビンの低下がみられたら肺胞出血を疑う。
- 喀血がなくても否定はできず、気管支肺胞洗浄で回収液がだんだん赤くなることや、ヘモジデリンを貪食したマクロファージの確認で診断する。
- 感染症(ウイルス・真菌・ニューモシスチス)や肺水腫、薬剤性肺障害などとの区別が必要で、臨床経過とあわせて判断する。
関連記事:びまん性肺胞出血(DAH)の原因とCT画像所見
関連記事:造血幹細胞移植後の肺障害まとめ|時期別の鑑別とIPS・LONIPC・肺GVHD(閉塞性細気管支炎)のCT
参考文献
- Lynch Y, Vande Vusse LK. Diffuse Alveolar Hemorrhage in Hematopoietic Cell Transplantation. J Intensive Care Med. 2024;39(11):1055-1070. PubMed
- Lara AR, Schwarz MI. Diffuse alveolar hemorrhage. Chest. 2010;137(5):1164-71. PubMed
- Afessa B, Tefferi A, Litzow MR, et al. Outcome of diffuse alveolar hemorrhage in hematopoietic stem cell transplant recipients. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(10):1364-8. PubMed
- Afessa B, Tefferi A, Litzow MR, et al. Diffuse alveolar hemorrhage in hematopoietic stem cell transplant recipients. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(5):641-5. PubMed
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