胸部CTでは、肺実質・気道・血管・胸膜において多彩な画像所見(=サイン)が観察され、病態の鑑別や診断に極めて有用です。

この記事では、胸部CT読影時に知っておきたい代表的なサインをまとめました。

1. halo sign(ハローサイン)

中心の結節や腫瘤の周囲にスリガラス影を伴う所見。侵襲性肺アスペルギルス症の初期所見として重要。

胸部CT画像で見られるCT halo signとは?鑑別診断は?

2. reversed halo sign(リバースハロー)

中心がすりガラス影、周囲がconsolidationで囲まれる像。COP、サルコイドーシス、一部の真菌感染で出現。

胸部CTにおけるReversed-halo signとは?鑑別疾患は?

3. air crescent sign(エアクレッセント)

腫瘤やconsolidationの中に半月状の空気像。アスペルギルス症の回復期に典型。

air crescent signとは?侵襲性アスペルギルス症で注目すべきCT所見

4. meniscus sign(メニスカスサイン)

球状病変内に三日月状の空気像。特にアスペルギローマで代表的。

meniscus signとは?アスペルギローマや肺真菌症で出現する重要な胸部CT所見

5. head cheese sign / three density pattern

正常肺、すりガラス影、air trappingが1枚のスライスに混在。COP慢性過敏性肺炎で有名。

胸部CTにおけるHead cheese sign / Three density patternとは?画像で見分ける“3つの密度の肺野”

6. crazy-paving appearance

すりガラス影と小葉間隔壁の肥厚が合わさった像。DADCOVID-19肺胞蛋白症などで出現。

crazy-paving pattern/appearanceとは?画像診断、鑑別診断

7. galaxy sign

中心の大きな結節とその周囲に散在する微小結節が銀河状に集簇。サルコイドーシスに特有。

Galaxy Signとは?サルコイドーシスの胸部CTでの重要所見

8. comet tail sign

円形無気肺に伴い、気管支や索状影が尾のように延びる所見。

胸部CTで円形無気肺で見られることがあるcomet tail signとは?

9. air bronchogram sign

肺実質の白い陰影の中に、空気の入った気管支が透けて見える像。肺炎腫瘍出血で出現。

air bronchogram(気管支透亮像)とは?CT画像で見逃さないための基本所見

10. signet ring sign/string of pearls sign

拡張した気管支が肺動脈より大きく見える像。気管支拡張症の代表所見。CTで気管支の連続した数珠状拡張像が、「string of pearls(真珠の首飾り状)」と表現されることもある。

胸部CTにおけるsignet ring signとは?気管支拡張症の重要所見

11. tram line sign

気管支壁肥厚によって、並行する2本の線として気管支が描出される像。

tram line signとは?気管支壁肥厚の基本所見と鑑別ポイント

12. tree-in-bud sign

末梢気管支に粘液などが充満し、小枝のような粒状影が見られる像。NTM肺結核で頻出。

胸部CT画像におけるtree-in-bud appearance/signとは?

13. CT angiogram sign

consolidation内部でも血管構造(特に肺動脈)が明瞭に見える像。肺MALTリンパ腫や浸潤性粘液性腺癌(IMA)で重要。

CT angiogram signとは?肺腫瘍やリンパ腫の鑑別に役立つ重要所見

14. feeding vessel sign

小結節に向かって血管が直接延びていく像。肺転移GPA化膿性塞栓など。

feeding vessel signとは?敗血症性肺塞栓症・肺転移・血管炎で見逃せないCT所見

15. split pleura sign

壁側胸膜と臓側胸膜が胸水などによって分離して描出される所見。膿胸で診断的意義あり。

Split Pleura Signとは?膿胸診断の要となるCT所見と鑑別戦略

16. Swiss cheese appearance(スイスチーズ様構造)

肺の一部がスリガラス状あるいはconsolidationに見え、その中に空気を含んだ複数の空洞を呈する像。 肺真菌症(特に慢性進行性アスペルギルス症)で特徴的。

Swiss cheese appearanceとは?COPD+肺炎で見られやすい胸部CT画像のサイン

17. hypodense sign(低吸収サイン)

造影CTで病変内部が低吸収領域(necrosisなど)として描出される所見。 肺膿瘍や壊死性腫瘍、非定型結核、真菌感染症などで出現。

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