signet ring sign(シグネットリングサイン)は、胸部CTで代表的に見られる気管支拡張症の画像所見です。気管支の腔径が肺動脈よりも大きく見えるという特徴的な形から、印章付きの指輪(signet ring)に例えられています。

signet ring signの定義と語源

signet ringは、昔の印章付き指輪を意味します。胸部CTでは、肺動脈(印章部分)よりも気管支(指輪部分)が大きく見える状態をこの名で表現します(図参照)。

  • 正常:肺動脈と気管支の直径 ≒ 同等
  • 異常:気管支径 > 肺動脈径 → signet ring sign

signet ring signのCT画像所見

  • 両肺下葉に好発
  • しばしば tram line(トラムライン)air trapping なども併存
  • 1.5倍以上の気管支径が明確であればsignet ring signと判断

症例

引用:radiopedia

気管支拡張を認め、signet ring signを認めていることがわかります。

診断的意義:signet ring signは何を意味する?

この所見は、気管支拡張症(bronchiectasis)の存在を強く示唆します。

気管支拡張症の主な原因

CTで見られるsignet ring signは、非可逆性の気道拡張を意味します。臨床では慢性咳嗽や反復性肺炎の精査中に見つかることもあります。

他の所見との組み合わせ

気管支拡張症では、次のような所見も同時に認められることがあります。

  • Tram line(トラムライン): 肥厚した気管支が平行線状に見える所見
  • Air trapping: 呼気時にも残る過透亮域(小葉レベルで認識)
  • 粘液栓: 末梢気道内の粘液貯留(ABPAなど)

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)非結核性抗酸菌症(NTM)などでは、signet ring signとtram lineが同時に現れやすく、下葉の末梢優位に分布するのが特徴です。

まとめ:signet ring signの読影ポイント

項目 内容
所見名 signet ring sign(シグネットリングサイン)
意味 気管支拡張症の存在を示唆
特徴 気管支径 > 肺動脈径
好発部位 両側下葉
併存所見 tram line, air trapping, 粘液貯留など

 

参考文献

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