胸部CTにおけるReversed CT halo signとは?
- 内部が淡いすりガラス影、辺縁が完全もしくは不完全な環状あるいは三日月状の濃厚な浸潤影で構成される円形〜半円形陰影。
- すりガラス影とコンソリデーションの関係がhalo signの逆になるためこのように呼ばれる。
- atoll signと呼ばれることがある。(atollは環礁で、サンゴ礁が環状に島を取り囲んでおり、中央にラグーン(礁湖)がある地形を指す。この形状が「アトールサイン」として、画像診断において中央が低信号で周囲が高信号の輪状構造を示す病変の形に似ていることから、その名が付けられている。)
- 中心部のすりガラス影→肺胞中隔の炎症や細胞を反映、末梢のコンソリデーション→肺胞内の器質化肺炎を示唆。
- COPのCT画像所見として当初は報告された。COP症例の20%程度に認められる。
- しかし実際はCOPだけではなく、真菌症(ヒストプラズマ症、パラコクシジオイデス症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ムコール症、ニューモシスチス肺炎)、結核、細菌性肺炎、原発性肺癌、転移性肺腫瘍(腎細胞癌など)、リンパ増殖性疾患(リンパ腫様肉芽腫症(LYG))、GPA、リポイド肺炎、サルコイドーシス、肺梗塞、肺水腫、COVID-19肺炎などでも認める。
症例 30歳代男性 血痰の再発と咳と発熱
引用:radiopedia
左上区にreversed halo signを呈する陰影があり、中葉には末梢にくさび形の、右下葉には結節状の浸潤影を認めています。
結節やくさび形の浸潤影に関連して、すりガラス状の変化(halo sign)を認めています。
C-ANCA(PR3)が344.1 IU/mlと著しく高値(正常値は6.0 IU/ml未満)であり、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)による陰影を示唆しています。
参考文献:
- 臨床放射線 Vol.66 No.2 2021 P138
- 画像診断 Vol.33 No.5 2013 P446
- 画像診断 Vol.33 No.12 2013 P1323-4