air bronchogram(気管支透亮像)とは?CT画像で見逃さないための基本所見
主に胸部CTの肺野条件で使われる用語の1つに「air bronchogram(エアブロンコグラム)」があります。
画像診断を学ぶ上で絶対に押さえておきたいこの所見について、画像の成り立ちをイラストや実際のCT画像を用いて解説します。
air bronchogram(エアブロンコグラム)の意味とメカニズム
air bronchogram(エアブロンコグラム) とは、空気を含んだ気管支が、周囲の実質(肺胞)が液体や腫瘍で満たされているために浮き出て見える現象です。
通常の肺(正常肺)では、「air in air」の状態であり、気管支と肺胞がどちらも空気で満たされているため、気管支の輪郭は見えません。しかし、病的状態では肺胞が水分や細胞で満たされ、「air in water」の状態になり、空気を含んだ気管支が浮かび上がるように可視化されます。
air bronchogram(エアブロンコグラム)図解:正常と異常の違い
- 正常肺: air in air → 気管支は見えない
- 異常肺: air in water → 気管支透亮像として見える
air bronchogram(エアブロンコグラム)がみられる代表的疾患
air bronchogram は、肺胞領域が病変によって空気を失ったことを意味します。代表的な疾患は以下のとおりです:
- 滲出性肺炎(bacterial pneumonia)
- 肺水腫(cardiogenic pulmonary edema)
- 肺胞出血(alveolar hemorrhage)
- 細気管支肺胞上皮癌(bronchioloalveolar carcinoma, 現在はlepidic predominant adenocarcinoma)
- 脂肪塞栓症(リポイド肺炎)
- 誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)
- 溺水肺(drowning)
症例 70歳代女性 インフルエンザウイルス肺炎
右下葉にすりガラス影〜一部コンソリデーションを認め、周囲が高吸収になることで気管支透亮像が相対的に低吸収に浮かび上がり目立つ様子が分かります。(※この症例のすりガラス影の部分は肺胞領域が完全に空気を失ったとは言えませんが)
air bronchogramを示唆する所見です。
文献からの補足情報
実際に、air bronchogram は肺胞内の液体または固形物によって形成されるconsolidationの指標として古くから知られています。Radiopaedia(Radiopaedia.org)では以下のように述べられています:
The air bronchogram sign refers to the phenomenon of air-filled bronchi being made visible by the opacification of surrounding alveoli. It is highly suggestive of an alveolar (air space) process.
また、2008年の論文(Yoshinaga et al. “Diagnostic value of air bronchogram sign in chest CT for consolidation”)では、air bronchogramの存在が細菌性肺炎における予後判定の一因となりうることが示唆されています。
注意点:見えない=正常ではない
air bronchogramが「見えない」からといって正常とは限りません。間質性肺炎など、肺胞構造が破壊されている場合には、気管支透亮像が出現しないこともあります。逆に腫瘍性病変でも気管支が保存されていれば、air bronchogramが現れることがあります。
まとめ:air bronchogramの読影ポイント
- air in water の状態を示す重要所見
- 肺胞性病変(alveolar process)の存在を示唆
- 肺炎・肺水腫・出血・腫瘍など多彩な病因に共通
- 単純X線では不明瞭でも、CTでは明瞭に確認可能
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