Galaxy sign(ギャラクシーサイン)は、胸部CTにおいて肉芽腫性疾患、特にサルコイドーシスで認められる典型的な画像所見です。
中心に大きな結節陰影を認め、その周囲に多数の微小結節が集簇することで、まるで銀河のように見えるため「galaxy sign」と呼ばれています。
Galaxy Signの定義と特徴
- 中心に1つの比較的大きな結節または腫瘤陰影(mass lesion)
- 周囲に1~3mmの微小結節(小肉芽腫)が放射状に多数存在
- 全体として、星雲のような広がりを示す
この構造は、HRCTによってより明瞭に観察され、従来「単なる結節陰影」とされていたものの本体が、微細な粒状結節の集合体であることが示されています。
銀河は螺旋状の構造をもつ天体ですが、CT上のgalaxy signも中心密度の高い結節を囲むように多数の微小構造が集まり、まさに「天の川」を連想させる形を示します。Marchioriらの解説では「中心の星の密度が高い点で、銀河と非常に似ている」と述べられています。
代表的な疾患と鑑別
- サルコイドーシス(sarcoidosis):最も代表的な疾患
- 結核:特に乾酪壊死を伴わない症例で類似所見
- クリプトコックス症:小結節が集簇する真菌感染症
- 肉芽腫性リンパ増殖性疾患(GLPD)
症例 60歳代女性 サルコイドーシス
引用:radiopedia
多数の小結節陰影が集簇し塊状陰影を形成し、周囲のは小結節を認めます。
Galaxy signを疑う所見です。
症例 30歳代女性 サルコイドーシス
引用:radiopedia
多数の小結節陰影が集簇し塊状陰影を形成し、周囲のは小結節を認めます。
こちらもGalaxy signを疑う所見です。
類似用語である衛星病変との違い
衛星病変(satellite lesion)との違いとしては、galaxy signがmass lesionに対して放射状に広がるように見えるのに対し、衛星病変はよりランダムに小結節が点在している印象があります。
臨床的意義と読影のポイント
- Galaxy signはBHL(両側肺門リンパ節腫大)とともに出現することが多い
- 末梢優位よりも中葉・上葉に好発
- 時にgalaxy signが融合してmass lesion様に見えることもある
まとめ
- Galaxy signはサルコイドーシスの強い診断根拠となるCT所見
- 衛星病変やmiliary結節との鑑別が必要
- 中心結節と周囲の結節の集簇パターンが鍵
関連記事:【胸部CT読影】覚えておきたい代表的な画像|肺実質・血管・胸膜サインを体系的に整理
参考:
- Nakatsu M, et al. Large coalescent parenchymal nodules in pulmonary sarcoidosis: “sarcoid galaxy” sign. AJR Am J Roentgenol. 2002;178(6):1389–1393.
- Marchiori E, et al. Atypical distribution of small nodules on high-resolution CT studies. Respir Med. 2011;105:1263–1267.
ご案内
腹部画像診断を学べる無料コンテンツ
4日に1日朝6時に症例が配信され、画像を実際にスクロールして読影していただく講座です。現状無料公開しています。90症例以上あり、無料なのに1年以上続く講座です。10,000名以上の医師、医学生、放射線技師、看護師などが参加中。胸部レントゲンの正常解剖を学べる無料コンテンツ
1日3分全31日でこそっと胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学んでいただく参加型無料講座です。全日程で簡単な動画解説付きです。
画像診断LINE公式アカウント
画像診断cafeのLINE公式アカウントで新しい企画やモニター募集などの告知を行っています。 登録していただくと特典として、脳の血管支配域のミニ講座の無料でご参加いただけます。