tram line(トラムライン)とは、気管支の壁が肥厚することで、胸部CTや胸部X線(胸部レントゲン)上で平行に走る2本の線状陰影として認められる画像所見です。
特に気管支拡張症の診断や、慢性気道炎の指標として広く使われる基本所見のひとつです。
先に結論:tram line(トラムライン)とは
- tram lineは、厚くなった気管支の壁が、胸部レントゲンやCTで路面電車の線路のような平行な2本線として見える所見です(輪切りの方向では、壁の厚いリングとして見えます)
- 代表的な原因は気管支拡張症・非結核性抗酸菌症(MAC症)・慢性気管支炎・喘息・副鼻腔気管支症候群などの慢性的な気道の炎症で、心不全で気管支の周りがむくんだとき(peribronchial cuffing)にも似た見え方になります
- 気管支が伴走する肺動脈より太い(signet ring sign)なら気管支拡張症を考えるなど、ほかの所見と合わせて判断します
tram lineの定義と意味

- 平行に走る2本の線状陰影として気管支壁が描出される所見
- 通常は気管支壁が薄いため線として見えないが、炎症や線維化により肥厚すると見えるようになる
- 気管支の長軸方向の断面で見えるのがtram line、輪切り方向では壁の厚いリング状の影として見える。健常者の薄層CTでも、気管支内径と伴走肺動脈径の比(B/A比)は海面レベルで平均0.6程度、高地居住者では平均0.76程度と報告されており、居住環境によって正常値が変わる。また気管支壁肥厚は喘息でも高頻度にみられ、気道閉塞が高度なほど多い。壁肥厚やB/A比だけで気管支拡張症と決めつけず、末梢での先細りの消失など他の所見とあわせて判断する。
tram lineの画像的特徴(CT・X線)
- 高分解能CT(HRCT)では、横断面上に平行な2本線として出現
- 単純X線写真でも、肺野にtram lineが認められることがある
- 小葉中心性粒状影(tree-in-bud)や粘液栓を伴うこともあり
症例 20歳代女性 左下葉に気管支拡張症

引用:Radiopaedia
左下葉に気管支壁が肥厚しtram lineを形成している様子がわかります。
関連疾患と出現しやすい病態
tram lineは多くの慢性気道疾患で出現し得ますが、特に以下の疾患では代表的所見です:
- 気管支拡張症(bronchiectasis):
- signet ring sign(気管支が伴走する肺動脈より太い)などと併存することが多い
- 非結核性抗酸菌症(MAC症):
- 気管支拡張像と小葉中心性粒状影(tree-in-bud)を伴い、tram lineとして見えることがある。非結核性抗酸菌症27例のHRCTでは、気管支拡張を92.5%、小葉中心性粒状影を88.8%に認め、病変は中葉・舌区に92.5%みられた(Polverosi 2010)
- 慢性副鼻腔気管支症候群(SBS):
- 慢性副鼻腔炎に気管支の慢性炎症を伴う病態で、気管支壁肥厚としてみられることがある
読影のポイントとPitfall
- 平行に走る陰影だからといって必ずしも気管支拡張とは限らない
- 血管との鑑別が重要 → 血管は分岐や方向変化で明瞭に区別される
- tram lineだけで診断を確定せず、air bronchogram、signet ring、tree-in-budなど他の所見も併せて判断
tram lineと「tram-track sign」は別の所見のことも
英語の「tram line」「tram-track sign」は胸部以外でも使われます。
| 部位 | 呼び方 | どんな所見か |
|---|---|---|
| 肺(胸部CT・X線) | tram line | 厚くなった気管支壁が平行な2本線に見える(本記事) |
| 眼窩(MRI) | tram-track sign | 視神経鞘髄膜腫で、視神経を包む鞘が厚くなり、横断像で視神経の両側に平行な線として見える(Benyarou 2026) |
| 頭部(CT) | tram-track calcification | Sturge-Weber症候群で、脳表に沿った石灰化が平行な線状に見える(Cheema 2025) |
気管支壁肥厚・tram lineでよくある疑問(Q&A)
Q. 気管支壁肥厚と言われました。病気ですか?
A. 気管支壁肥厚は所見の名前で、病名ではありません。喘息や慢性気管支炎、気管支拡張症、感染症などさまざまな原因でみられ、喘息では気道の狭さが強いほど壁肥厚が多いと報告されています(Park 1997)。原因は症状や他の画像所見とあわせて判断します。咳や痰、息切れが続くときは、医療機関(呼吸器内科など)に相談してください。
まとめ
- tram lineは気管支壁肥厚の基本所見であり、CTとX線どちらでも確認可能
- 慢性気道炎・気管支拡張症・MAC症などに出現
- 他所見との併存・分布・経過で総合判断が必要
参考文献
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- 画像診断 Vol.34 No.8(2014)、Vol.35 No.3(2015)
- Milliron B, Henry TS, Veeraraghavan S, et al. Bronchiectasis: Mechanisms and Imaging Clues of Associated Common and Uncommon Diseases. Radiographics. 2015;35(4):1011-30. PubMed
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- Park CS, Müller NL, Worthy SA, et al. Airway obstruction in asthmatic and healthy individuals: inspiratory and expiratory thin-section CT findings. Radiology. 1997;203(2):361-7. PubMed
- Polverosi R, Guarise A, Balestro E, et al. High-resolution CT of nontuberculous mycobacteria pulmonary infection in immunocompetent, non-HIV-positive patients. Radiol Med. 2010;115(2):191-204. PubMed
- Benyarou K, El Hasnaoui S, Yousfi S, et al. Optic nerve sheath meningioma and optic neuropathy: A clinical and diagnosis crossroad. Radiol Case Rep. 2026;21(6):2461-2466. PubMed
- Cheema ZZ, Jahan A, Siddiq N, et al. Type 3 Sturge-Weber Syndrome Presenting With Concurrent Epilepsy and Migraine. Cureus. 2025;17(11):e96262. PubMed
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