肺野の多発嚢胞性病変の鑑別診断
肺の嚢胞とbullaの違い
- 肺に気道以外に嚢胞壁が非可逆性に存在するもの。従って、気管支拡張症やpneumatoceleなどは含まないことが多い。
- 肺嚢胞はbullaを含んだ総称。
- bullaとblebは画像上区別できないので、bullaで総称する。
- bullaとは肺尖部胸膜直下にあることが多く、自然気胸の原因となる。
- 肺気腫の拡張気腔はLAA(low attenuation area)と表現され、嚢胞とは壁がないことで区別される。
- 一方で空洞とは、既存の肺充実性病変の内部が抜けた状態で、1mm以上の壁を認めるもの。
多発性肺嚢胞の鑑別診断
- LAM:びまん性
- ランゲルハンス細胞組織球症(PLCH):上肺優位。肺底部には存在しない。粒状影の随伴。
- LIP:下肺優位。嚢胞以外に斑状のすりガラス影、小結節。Sjogren症候群に合併。
- 強皮症
- MALTリンパ腫(アミロイドーシス)
- 過敏性肺臓炎
- DIP
- 肺気腫
- 蜂巣化を伴う間質性肺炎
- PCP:上肺優位。HIV患者に多い。
- Tb:上肺優位。背側。
- 敗血症肺塞栓症:末梢、下肺優位。
- サルコイドーシス:上肺優位。
- 転移性腫瘍:びまん性。
- 多発血管性肉芽腫症(GPA)
- その他稀な原因(Birt-Hogg-Dube症候群:下肺野内側(縦隔側)、潜水病、Ehlers-Danlos症候群)
定義からは外れるもの
- 嚢胞性気管支拡張症:気管支と連続。
- pneumatocele
症例 70歳代男性 シェーグレン症候群
両側下肺野を中心にびまん性の嚢胞あり。
シェーグレン症候群に伴うLIPを疑う所見です。