慢性塞性肺疾患(COPD)とは?
- 慢性塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)という概念は、慢性気管支炎、肺気腫または両者の併発により惹起される閉塞性換気障害を特徴とする疾患。
- 肺病変としては肺気腫、気道性病変としては末梢気道の炎症性変化、狭窄および中枢気道の炎症性変化。
- 近年は臨床的、あるいは形態的にCOPDは肺気腫優位型(気腫型COPD)、気道優位型(非気腫型COPD)とphenotype分類されるようになってきている。両者が混合することもある。
- 混合している場合、呼吸困難などの症状が強く、呼吸機能も低下しやすい。またCOPDの増悪による入院も多いと報告されている。
- CT画像診断では、気腫の状態、気道病変の状態を評価する。
- COPDでは気道病変+肺気腫病変といった換気障害だけではなく、比較的早期から肺末梢の血管障害が生じる。
- 重度のものでは二次的な肺高血圧を来す。
COPDの肺病変=肺気腫(pulmonary emphysema)のCT所見は?
- 肺気腫は、病理組織学的には肺胞壁の破壊、消失による終末細気管支より末梢の気腔の非可逆的拡張。
- 亜分類として、小葉中心性肺気腫、汎小葉性肺気腫、および傍隔壁型肺気腫の3つがある。
小葉中心性肺気腫
- 呼吸細気管支周囲を主体として肺胞壁破壊が生じ気腔拡大を呈する。
- 上葉内層優位に明瞭な壁を持たない小葉中心部の低吸収域。
- 進行に応じて全肺野に広がる。
- 最も多いタイプ。
- 喫煙と強く関連。
症例 50歳代女性
症例 50歳代女性
汎小葉性肺気腫
- 末梢肺胞レベルのでの破壊が特徴。
- 下葉優位に二次小葉全体が均質に破壊されて低吸収域となる。
- 本邦ではほとんどがα1アンチトリプシン欠損症とは関連しないもの。
症例 70歳代男性
両側下肺野優位に、透過性の亢進を認める。
傍隔壁型肺気腫
- 上葉胸膜直下の肺胞壁の破壊により低吸収域を呈する。
- 小葉中心性肺気腫との併存が多い。
- 他のタイプと比較して、気流制限を来す事は少ない。
- 気胸の原因になりうる。
症例 60歳代男性
▶動画でチェック:正常肺と汎小葉性肺気腫の比較
COPDの気道病変のCT所見は?
- 気管支壁肥厚、および呼気CTでの気管支内腔の狭小化
- 気管支壁の吸収値上昇
- 呼気CTにおけるエア・トラッピング