脳造影MRIにおいて血管周囲腔に沿った点状、線状の造影効果(punctate and curvilinear Gd enhancement)を認めた場合、
- 血液脳関門(BBB:brain-blood barrier)が破綻した場合
- 血液脳関門(BBB)が破綻していない場合
に大きく分けられる。
血液脳関門(BBB)が破綻していない場合
- 正常の髄質静脈の造影効果(側脳室の長軸に対して垂直に走行)
- もやもや病や静脈血栓症における側副血行路の造影効果
- proliferative angiopathy
などの血管そのものを見ている場合が考えられる。
この場合、造影効果を有する部位やその周辺にFLAIRやT2WIで信号上昇を認めない。
血液脳関門(BBB)が破綻した場合
- 内皮が障害されている場合(血管そのものの障害)
- 血管中心性の細胞浸潤が起こっている場合(リンパ球/炎症細胞浸潤(血管炎を含む)やリンパ増殖性疾患の浸潤など)
に大きく分けられる。
血液脳関門が破綻している場合、造影効果を有する部位やその周辺にFLAIRやT2WIで信号上昇を伴う。
1.血管内皮が障害されている場合
などが鑑別に挙がる。
2.血管中心性の細胞浸潤が起こっている場合
- 血管炎
- 神経サルコイドーシス
- LYGや悪性リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患
- CLIPPERS
- SLIPPERS
- HLH、HLH以外の組織球症
- GFAP astrocytopathy
- ADEM
- 多発性硬化症(MS)
- NMO/NMOSD
- MOG抗体関連疾患
- PML
- Erdheim Chesters病
- 感染症(結核、クリプトコッカス、Lyme病、B型肝炎ウイルスなど)
- GVHD
- ビタミンB12欠乏症
- ナタリズマブ投薬中止後
- IRIS
- 免疫チェックポイント阻害剤に伴う変化
- など
が鑑別に挙がるが中でも
- 感染症
- 自己免疫疾患
- リンパ増殖疾患
がその大半を占める。
症例 40歳代男性 亜急性の頭痛、右顔面の麻痺、顔面の感覚異常(悪性黒色腫をIpilimumab(免疫チェックポイント阻害剤)治療中)
造影のMRIで両側の深部白質や小脳や橋に点状、線状造影効果あり。
両側の三叉神経や顔面神経に造影効果あり。
免疫チェックポイント阻害剤(Ipilimumab)に伴う変化と考えられます。
粒々の造影効果を見たらいつもSALTを鑑別に挙げる
参考文献:
- 画像診断 Vol.43 No.1 2023 P56-7
- Neuroradiology . 2016 Mar;58(3):221-35