脳造影MRIにおいて血管周囲腔に沿った点状、線状の造影効果(punctate and curvilinear Gd enhancement)を認めた場合、

  • 血液脳関門(BBB:brain-blood barrier)が破綻した場合
  • 血液脳関門(BBB)が破綻していない場合

に大きく分けられる。

血液脳関門(BBB)が破綻していない場合

  • 正常の髄質静脈の造影効果(側脳室の長軸に対して垂直に走行)
  • もやもや病や静脈血栓症における側副血行路の造影効果
  • proliferative angiopathy

などの血管そのものを見ている場合が考えられる。

この場合、造影効果を有する部位やその周辺にFLAIRやT2WIで信号上昇を認めない。

血液脳関門(BBB)が破綻した場合

  1. 内皮が障害されている場合(血管そのものの障害)
  2. 血管中心性の細胞浸潤が起こっている場合(リンパ球/炎症細胞浸潤(血管炎を含む)やリンパ増殖性疾患の浸潤など)

に大きく分けられる。

血液脳関門が破綻している場合、造影効果を有する部位やその周辺にFLAIRやT2WIで信号上昇を伴う。

1.血管内皮が障害されている場合

  • PRES
  • Susac症候群
  • 化学放射線治療関連
  • antiangiogenic therapy中のGBM

などが鑑別に挙がる。

2.血管中心性の細胞浸潤が起こっている場合

が鑑別に挙がるが中でも

  • 感染症
  • 自己免疫疾患
  • リンパ増殖疾患

がその大半を占める。

症例 40歳代男性 亜急性の頭痛、右顔面の麻痺、顔面の感覚異常(悪性黒色腫をIpilimumab(免疫チェックポイント阻害剤)治療中)

Ipilimumab Therapy for Melanoma: A Mimic of Leptomeningeal Metastases

AJNR Am J Neuroradiol. 2015 Dec; 36(12): E69–E70.より引用

造影のMRIで両側の深部白質や小脳や橋に点状、線状造影効果あり。

両側の三叉神経や顔面神経に造影効果あり。

免疫チェックポイント阻害剤(Ipilimumab)に伴う変化と考えられます。

粒々の造影効果を見たらいつもSALTを鑑別に挙げる

 

参考文献:

  • 画像診断 Vol.43 No.1 2023 P56-7
  • Neuroradiology . 2016 Mar;58(3):221-35

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