先に結論:もやもや病のMRI
- もやもや病は、内頸動脈の終わりの部分が少しずつ細くなり詰まっていき、その代わりに細い血管(もやもや血管)が発達する病気で、日本人に多く、子どもと40歳代前後の2つの年代に発症のピークがあります
- 子どもでは泣く・笛を吹く・熱いものを冷ますなど息を強く吐いたときの一時的な手足の脱力(TIA)・脳梗塞、大人では脳出血で発症することが多いです
- MRI/MRAでは内頸動脈終末部・中大脳動脈・前大脳動脈の狭窄・閉塞、基底核の小さなflow void(もやもや血管)、FLAIRで脳表の血管が白く見えるivy signが手がかりです。2021年の診断基準改訂で片側の例ももやもや病に含まれるようになりました
- 2021年の診断基準では、heavy T2強調像(3D-CISSなど)で内頸動脈終末部・中大脳動脈の外径が細くなっていることの確認が、動脈硬化による狭窄との区別に重要とされています
- もやもや病の感受性遺伝子RNF213の変異(p.R4810K)は、もやもや病以外の頭蓋内動脈狭窄・閉塞にも関わることが分かり、RNF213関連血管症としてまとめて考えられるようになっています(Yoshimoto 2025)
※子どもが泣いたあとなどに手足の力が抜ける発作をくり返すときは、脳神経外科・小児科を受診してください。
もやもや病(Willis動脈輪閉塞症、moyamoya disease)
- 両側内頸動脈終末部(眼動脈分岐より遠位部)からWillis動脈輪の動脈閉塞をきたす疾患。
- 成因は不明。2021年の診断基準では、自己免疫疾患(SLE、抗リン脂質抗体症候群、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群など)、髄膜炎、脳腫瘍、Down症候群、神経線維腫症1型(von Recklinghausen病)、頭部放射線照射後の脳血管病変に伴う類似の脳血管病変は除外する(類もやもや病)。以前の基準にあった動脈硬化・頭部外傷・その他は、この一覧から外された(Kuroda 2022)。ただし片側例や動脈硬化を合併する例では、脳血管撮影で他の疾患を除外することが必要とされる。
- 発症年齢は二峰性で(Sato 2019)、北海道の調査では45〜49歳と5〜9歳にピークがみられた(Baba 2008)。日本人を含む東アジアに多く、感受性遺伝子としてRNF213が知られている。
- Willis動脈輪閉塞断端部から脳底槽および基底核穿通動脈に側副血行路である異常血管網、いわゆるもやもや新生血管が発達(脆弱な穿通枝同士が吻合をきたすのが特徴。)するので、もやもや病と称されている。
- 小児では、一過性脳虚血性発作(TIA)型、梗塞型など虚血症状で発症することが多い。激しい啼泣や運動、ハーモニカを吹いた時や熱い食事をしたときの過換気により意識消失や、麻痺様の脱力発作を起こす。※過呼吸→アルカローシス→脳血管収縮→脳虚血症状という機序。
- 成人例では、出血発症もよくみられ、成人発症のおよそ半数が頭蓋内出血を経験するとされる(Miyamoto 2014)。くも膜下出血(SAH)や脳実質内出血をきたす。成人でも梗塞や一過性脳虚血発作で発症することがある。
- 閉塞は、前方循環系とくに、内頸動脈(ICA)末梢から、中大脳動脈(MCA)、前大脳動脈(ACA)に好発する。
- 診断には脳血管造影、TOF MRAで、ICA(C1)からWillis動脈輪のTOF信号消失(2021年改訂の診断基準では片側例も含む)およびもやもや新生血管の増生を認める。
- 他、脳血流シンチグラム、脳血管造影、脳波が行なわれる。小児の脳波では、過呼吸で出た徐波がいったん消えたあと再び現れる「re-build up現象」が知られているが、もやもや病と分かっている子どもでは脳波検査での過呼吸は避けるべきとされる(Dlamini 2009)。
もやもや病確診例以外の類似の状態
(1)片側のみにもやもや病独自の血管撮影像があるが、反対側は全く正常な場合。
→従来は「一側もやもや病」と呼んだが、2021年改訂の診断基準では片側例ももやもや病に含めることになった。
→「もやもや病」に移行することもある。
(2)両側病変で血管撮影像はもやもや病の確診例であるが、除外診断の疾患を合併する場合。
→「類もやもや病」と呼ぶことあり。
画像所見
- MRAにてWillis動脈輪の閉塞、もやもや新生血管がある程度描出される。
- T2強調像にて、大脳谷槽内のMCA(M1)や大脳縦裂内のACA(A1-2)のflow voidの消失も重要な所見。
- 軟膜髄膜吻合を介する側副血流が、造影T1強調像で増強効果を呈し、FLAIRでは高信号に描出されることがある(Ivy sign)。ivy signは前頭葉・頭頂葉に目立ちやすく、MRAで中大脳動脈の皮質枝の描出が乏しい半球ほど強くみられると報告されています(Fujiwara 2005)。
2021年の診断基準でMRI・MRAに求められる所見
MRI・MRAだけで診断する場合は、1.5テスラ以上(3テスラがより有用)の装置で、次のすべてを満たすことが求められます(Kuroda 2022)。
| 撮像法 | 求められる所見 |
|---|---|
| MRA(TOF) | 頭蓋内内頸動脈終末部の狭窄・閉塞 |
| heavy T2強調像(3D-CISSなど) | 内頸動脈終末部と中大脳動脈水平部の外径の縮小 |
| MRA/MRI | 基底核・脳室周囲白質の異常血管網(MRIで片側でも2個以上のflow voidがあれば異常血管網とみなせる) |
もやもや病では血管そのものが細くなり、3D-CISSで測った病変側の内頸動脈終末部・中大脳動脈・前大脳動脈の外径は、健常者や高度の中大脳動脈狭窄の患者さんより有意に小さくなっていました(Kuroda 2015)。
症例 もやもや病(20歳代女性)

T2WIで本来見えるべき、両側中大脳動脈を認めず、微細な血管(もやもや血管)を認めています。
FLAIRでは脳表に沿って、脳溝内に血管内腔の高信号を認めます。これも正常例では認めない所見で、ivy signといいます。
MRAでは両側のMCAおよびACAを認めていません。
もやもや病と診断されました。
▶動画で学ぶもやもや病(20歳代女性)
症例 一側もやもや病(50歳代女性)

MRAで左の中大脳動脈の描出がありません。

元画像で見てみるとその代わりに微細な血管がたくさんあることが分かります。
片側性のもやもや病を疑う所見です。
▶動画で学ぶ一側もやもや病(50歳代女性)
成人のもやもや病は出血と虚血のどちらで見つかる?
成人では、出血で見つかる人も、虚血や無症状で見つかる人もいます。年齢や診断の種類によって傾向が違います。
- 成人発症:およそ半数が頭蓋内出血を経験するとされます(Miyamoto 2014)。北海道の調査では、1年あたりの発症率は、虚血に関わるものが10万人あたり0.53人、出血が0.2人でした(Baba 2008)。
- 60歳以上:もやもや病の56人(100半球)の検討では、無症状が62半球、虚血発症が26半球、出血発症が12半球でした。無症状だった76半球のその後の脳卒中10半球のうち8半球が出血で、前脈絡叢動脈の拡張や脈絡叢の吻合が出血の予測因子でした(Hirano 2024)。
- 出血型の側副血行路:出血発症の成人(JAM Trial)では、虚血発症の成人より、視床の吻合と脈絡叢の吻合が発達している割合が有意に高く、側脳室を越えて広がる脈絡叢の側副血行路が出血に関わる可能性が示されています(Fujimura 2019)。
- 片側のもやもや病:全国調査の203人(平均40.2歳、50歳代にピーク)では、画像上の型は虚血型32.5%、出血型25.9%、正常41.6%で、もやもや血管の発達が軽い人が多くみられました(Hayashi 2014a)。
- 類もやもや病:全国調査の108人(平均30.6歳)では、虚血型63.4%、出血型6.9%で、出血は目立たず、約半数が片側病変でした(Hayashi 2014b)。
画像で見るときは、成人の脳室内出血や基底核・視床の出血では、MRAでウィリス動脈輪とその周囲の細い血管(もやもや血管)を確認し、見つかったときは、片側でも見逃さないことが大切です。
治療
- 脳虚血症状を呈する場合は血行再建術が必要。
- 脳血流SPECTやPETで血行力学的な障害(脳循環予備能の低下など)がある例では、血行再建術のあとに脳血流・代謝の改善が報告されている(Fujimura 2022)。
- 浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(STA-MCA anastomosis)が行なわれる。内頸動脈の閉塞なので、外頸動脈の枝である浅側頭動脈(STA、頭蓋骨外を走行)から中大脳動脈(MCA)に血流を送る(直接血行再建)。筋肉や硬膜などを脳表にのせて新しい血管の発達を促す間接血行再建や、両者の組み合わせもある(Fujimura 2022)。
- 内科的治療としては、虚血型で抗血小板薬が使われることがあるが、成人では出血のリスクに注意が必要とされる(Fujimura 2022)。
もやもや病からの脳出血
- 成人では発達した側副血行から出血が起こる。出血型20例の検討では、大脳基底核の血腫40%、脳室内出血30%、視床出血(脳室穿破を伴う)15%、皮質下出血5%であった(Saeki 1997)。→比較的若年者の脳出血、特に脳室内に広がる場合には、本症を疑う。
- 動脈瘤を合併することがあり、くも膜下出血で発症することもある。出血発症の成人もやもや病80例の無作為化比較試験(JAM Trial)では、再出血が両側直接バイパス術群で年2.7%、保存的治療群で年7.6%と手術群で少なく、直接バイパスの再出血予防効果が示唆された。ただし統計学的には境界的な差でした(Miyamoto 2014)。
もやもや病と間違えやすいTwig-like MCA
- Twig-like MCA(unfused MCA)は、中大脳動脈の水平部(M1)が1本の太い幹にならず、細い血管の網(叢)に置き換わって見える変異です(Onoue 2021)。発生の途中で、前大脳動脈から出る細い枝が融合して1本のMCAになる過程がうまくいかなかったものと考えられてきました(Uchiyama 2017)。
- 脳血管撮影657例のうち3例(0.45%)にみられ、いずれも片側でした。頭痛や拍動性耳鳴で見つかり、梗塞や出血はありませんでした(Onoue 2021)。
- 網状の血管に見えるため、片側のもやもや病や動脈硬化による狭窄・閉塞と間違えやすく、区別することが不要な検査や治療を避けるうえで大切です(Onoue 2021、Uchiyama 2017)。
- ただし、韓国の3施設51例の検討では、正常だったMCAが経過中にtwig-like MCAになった例が3例あり、もやもや病と関連するRNF213遺伝子の変異が調べた15例中7例にみられました。後天的に起こるものもあり、虚血性・出血性脳卒中の原因にもなりうるとされています(Park 2026)。
- 読影のコツ:片側のM1だけが網状の細い血管に置き換わっている場合は、もやもや病や動脈硬化性狭窄と決めつけず、twig-like MCAも鑑別に入れて経過も含めて判断します。
RNF213関連血管症:遺伝子と、もやもや病以外の頭蓋内狭窄
RNF213遺伝子とp.R4810K
- RNF213は、もやもや病の家系の解析から見つかった感受性遺伝子で、東アジアの患者251人と対照707人の比較では、p.R4810Kという変異ともやもや病の関連のオッズ比が111.8と非常に強いものでした(Liu 2011)。
- 一方で、この変異は一般の人にも珍しくありません。京都府宇治市の一般住民519人の調査では、9人(1.73%)がこの変異を1つ持っていました(Cao 2016)。変異を持っていても多くの人はもやもや病を発症しないため、遺伝子だけでは診断できず、あくまで「なりやすさ」の目印です。
もやもや病以外の頭蓋内動脈狭窄にも関わる
- p.R4810Kは、もやもや病の形をとらない頭蓋内動脈の狭窄・閉塞(ICASO)の危険も高めます。メタ解析では、ICASOとの関連のオッズ比は日本で10.71、韓国で28.52、中国で5.59で、もやもや病との関連(日本184.04など)よりは小さいものの、はっきりした関連がみられました(Liao 2017)。
- こうした、もやもや病から頭蓋内動脈狭窄までの幅広い病態はRNF213関連血管症(RNF213-related vasculopathy)と呼ばれ、とくに東アジアの若年発症や原因不明の脳梗塞で多いとされます(Yoshimoto 2025)。
- RNF213関連血管症の患者さんは、高血圧などの従来の危険因子が少なく、プラーク(粥腫)がないのに血管の外径が細くなる(negative remodeling)、病変が進行しやすい、といった特徴があり、通常の動脈硬化とは別の病態と考えられています(Yoshimoto 2025)。
- 日本の脳梗塞・TIA 1267人を追った多施設研究では、もやもや病を除いた患者さんの2.8%がp.R4810Kを持ち、変異を持つ人は脳梗塞・TIAの再発の危険が高くなっていました(調整ハザード比5.58)。変異を持つ人の2.8%が、経過中に新たにもやもや病と診断されています(Yoshimoto 2026)。
画像で見るときのポイント
- 中大脳動脈や内頸動脈終末部の狭窄があり、動脈硬化の危険因子が少ない比較的若い人では、もやもや病の前段階やRNF213関連血管症の可能性も考えます。
- heavy T2強調像(3D-CISSなど)や血管壁イメージングで、プラークの有無と血管の外径を見ることが、動脈硬化との区別の手がかりになります。もやもや病で外径が細くなる所見(Kuroda 2015)と同じ考え方です。
- 前述のtwig-like MCAでもRNF213の変異が見つかっており(Park 2026)、片側の中大脳動脈の狭窄や網状血管は、時間をかけて変化を追うことが大切です。
若年者の脳梗塞の鑑別診断
- 比較的若い人の脳梗塞・TIAでは、動脈硬化以外の原因を探す必要があり、もやもや病はその代表の一つです。MRAで内頸動脈終末部〜中大脳動脈・前大脳動脈の描出を確認します。
- 自己免疫疾患などに伴う類もやもや病もあるため、基礎疾患の有無も確認します(Kuroda 2022)。
- もやもや病の形がそろわない中大脳動脈・内頸動脈の狭窄でも、危険因子の少ない人ではRNF213関連血管症の可能性があります(Yoshimoto 2025)。
もやもや病のMRIでよくある疑問(Q&A)
Q. ivy signとは何ですか?
A. FLAIR像で脳溝に沿って線状の高信号が見える所見で、軟膜の側副血行路の血流を反映します。中等度以上のivy signは54半球中57%にみられました(Fujiwara 2005)。
Q. heavy T2強調像で何が分かりますか?
A. 血管の外径が分かります。もやもや病では内頸動脈終末部や中大脳動脈の外径そのものが細くなり、動脈硬化による狭窄との区別に役立ちます(Kuroda 2015)。
Q. 成人のもやもや病は出血と脳梗塞のどちらが多いですか。
A. 成人発症のおよそ半数が頭蓋内出血を経験します(Miyamoto 2014)。年齢でも違い、60歳以上の検討では、無症状だった半球の後の脳卒中は出血が多くなっていました(Hirano 2024)。
Q. 片側だけでももやもや病ですか。
A. 2021年の診断基準から、片側例ももやもや病に含まれるようになりました(Kuroda 2022)。片側例は全国調査で203人が登録され、平均年齢は40.2歳でした(Hayashi 2014a)。
Q. 自己免疫疾患やDown症候群などに伴うものは?
A. 類もやもや病と呼ばれ、基礎疾患があるため診断基準のもやもや病からは除かれます(Kuroda 2022)。全国調査の108人では虚血型が63.4%を占め、出血は6.9%でした(Hayashi 2014b)。
Q. RNF213の遺伝子変異があると、もやもや病になりますか。
A. なりやすさは高まりますが、変異を持つ人の多くは発症しません。一般の日本人でも約1.7%が持っていました(Cao 2016)。もやもや病だけでなく、もやもや病以外の頭蓋内動脈の狭窄にも関わることが分かっています(Liao 2017)。
子どもが泣いたあとに手足の力が抜ける、急な頭痛や麻痺などがあれば、早めに医療機関に相談してください。
参考)
・よくわかる脳MRI 第3版 青木 茂樹先生
・すぐ役立つ救急のCT・MRI (画像診断別冊KEY BOOKシリーズ) 井田正博先生
参考文献
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- Fujiwara H, Momoshima S, Kuribayashi S. Leptomeningeal high signal intensity (ivy sign) on fluid-attenuated inversion-recovery (FLAIR) MR images in moyamoya disease. Eur J Radiol. 2005;55(2):224-30. PubMed
- Scott RM, Smith ER. Moyamoya disease and moyamoya syndrome. N Engl J Med. 2009;360(12):1226-37. PubMed
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- Liu W, Morito D, Takashima S, et al. Identification of RNF213 as a susceptibility gene for moyamoya disease and its possible role in vascular development. PLoS One. 2011;6(7):e22542. PubMed
- Cao Y, Kobayashi H, Morimoto T, et al. Frequency of RNF213 p.R4810K, a susceptibility variant for moyamoya disease, and health characteristics of carriers in the Japanese population. Environ Health Prev Med. 2016;21(5):387-390. PubMed
- Liao X, Deng J, Dai W, et al. Rare variants of RNF213 and moyamoya/non-moyamoya intracranial artery stenosis/occlusion disease risk: a meta-analysis and systematic review. Environ Health Prev Med. 2017;22(1):75. PubMed
- Yoshimoto T, Okune S, Tanaka S, et al. RNF213-Related Vasculopathy: An Entity with Diverse Phenotypic Expressions. Genes (Basel). 2025;16(8):939. PubMed
- Yoshimoto T, Hattori Y, Ishiyama H, et al. Long-term outcomes in the pre-moyamoya stage of RNF213-related vasculopathy presenting with ischaemic stroke or transient ischaemic attack: insights from the NCVC Genome Registry. Lancet Reg Health West Pac. 2026;70:101863. PubMed
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