先に結論:肺アミロイドーシスのCT
- アミロイドーシスは、異常な蛋白(アミロイド)が臓器にたまる病気で、肺では①気管・気管支型、②結節型、③肺胞隔壁(びまん)型の3つのパターンがあります
- 結節型は石灰化を伴う結節が多く、肺がんとの区別が問題になります。気管・気管支型は気道の壁の厚み・石灰化で、びまん型は小葉間隔壁の肥厚・粒状影で、多くは全身性アミロイドーシスに伴います
- 多発性骨髄腫・シェーグレン症候群・関節リウマチなどとの関連があり、診断は生検(コンゴーレッド染色)で行います。全身性の場合は心臓・腎臓の病変も確認します
アミロイドーシスとは?
- 細胞外に異常蛋白(アミロイド)および誘導体が蓄積することを特徴とする疾患群をアミロイドーシスという。
- アミロイドは、単一のタンパクではなく、Congo red染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡下でアップルグリーンの複屈折を示すタンパク。
- 沈着するアミロイド蛋白の由来による分類:アミロイドL蛋白(AL)、アミロイドA蛋白(AA)など。
- AL型は形質細胞がつくる免疫グロブリン軽鎖に由来し、多発性骨髄腫やB細胞リンパ腫に伴うことがある。
- AA型はRA、炎症性腸疾患、慢性骨髄炎、気管支拡張症、結核、嚢胞性肺線維症など、慢性の炎症や感染に続発する(Czeyda-Pommersheim 2015)。
- シェーグレン症候群では、肺に石灰化結節や嚢胞を伴う結節性アミロイドーシスがみられることがある(Jin 2025)。
- 肺のアミロイド沈着は、肺に限局するアミロイドーシス(多くはAL型)と、全身性アミロイドーシス(AL型・AA型など)の一部としてのものがある。アミロイドーシス全体では約50%で呼吸器が侵される(Kim 1999)。組織で確定した気道・肺アミロイドーシス67例の内訳は、限局性肺実質型41例、限局性気管気管支型20例、全身性6例だった(Brandelik 2020)。
- 肺アミロイドーシスの沈着様式による分類:①気管気管支型、②結節型、③びまん性肺胞隔壁型。
- 全身性アミロイドーシスは主に③の病型をとり、 限局性アミロイドーシスは主に①、②の病型をとりやすいとされる。組織で確定した気道・肺アミロイドーシス67例のCT解析では、限局性肺実質型の95%に結節(56%は10個以上)、41%に腫瘤様病変がみられた一方、気管気管支型では気管支壁肥厚が全例、気管壁肥厚が70%にみられた。全身性アミロイドーシスの6例中4例は肺胞隔壁型が主体であった。
肺アミロイドーシス3病型の比較
| 病型 | 主なCT所見 | 症状・治療 |
|---|---|---|
| 気管・気管支型 | 気管支壁肥厚(全例)、気管壁肥厚(70%)、石灰化、狭窄の先の無気肺 | 咳(70%)や気管支・肺の感染(55%)が多い |
| 結節型 | 境界明瞭・分葉状の末梢〜胸膜下結節、腫瘤様病変(41%)、石灰化 | 無症状が多い |
| びまん性肺胞隔壁型 | 小葉間隔壁の肥厚、網状影、2〜4mmの胸膜下優位の小結節 | 全身性に伴うことが多い |
(Kim 1999、Brandelik 2020、Milani 2017)
肺アミロイドーシス①気管・気管支型:
- 気管・気管支壁にびまん性~多発性にプラーク状や全周性のアミロイド沈着が見られる。ときに石灰化がみられる。
- 喉頭・気管気管支に肥厚と石灰化が生じ、内腔が狭窄する。
- 咳、喘鳴、血痰、呼吸困難などを生じるが無症状のこともある。
- 鑑別診断(びまん性に気道壁を侵す疾患):再発性多発軟骨炎、気管気管支骨軟骨形成症、多発血管性肉芽腫症(GPA)など(Prince 2002)。内腔の狭窄の評価では気管軟化症も参考になる。
肺アミロイドーシス
②結節型:
- さまざまな大きさの結節を形成し、単発あるいは多発性で、しばしば末梢や胸膜下に境界明瞭な円形~やや分葉状を示す腫瘤として描出される。
- 石灰化を伴うことがあり特徴的である。殆どが無症状。結節型の多くは限局性で、切除で治癒することが多く長期予後は良好です。一方、びまん性肺胞隔壁型は背景の全身性アミロイドーシスに準じて治療されます(Milani 2017)。
- 鑑別診断(石灰化を伴いうる肺結節など):結核腫などの感染性肉芽腫、サルコイドーシス、過誤腫、塵肺、原発性肺癌、転移性肺癌、カルチノイド、多発血管性肉芽腫症(GPA)。
症例 70歳代男性 20年かけてゆっくり悪化する呼吸機能

引用:Radiopaedia(Nodular pulmonary amyloidosis)
造影CT横断像(縦隔条件)で、両肺に大小さまざまな分葉状の結節・腫瘤が多発し、一部の腫瘤内には点状の石灰化を認めます。左には少量の胸水と左下葉の無気肺も見られます。本症例は病理で診断された結節型肺アミロイドーシスで、長年かけて結節が増大・増加しています。
肺アミロイドーシス③肺実質型(びまん性肺胞隔壁型):
- 小葉間隔壁や血管周囲など広義間質肥厚を認める。多数の微細結節を伴うことが多い。 呼吸困難や咳、喀血をきたす。
- 肺胞のガス交換の場が強く侵されると重い呼吸障害を起こすため、臨床的に重要である(Milani 2017)。
- 鑑別診断:リンパ増殖性疾患
※咳や息切れが続くなど気になる症状があれば、医療機関で相談してください。
関連記事:リンパ節腫脹をきたす疾患の鑑別診断まとめ
参考文献
- Czeyda-Pommersheim F, Hwang M, Chen SS, et al. Amyloidosis: Modern Cross-sectional Imaging. Radiographics. 2015;35(5):1381-1392. PubMed
- Milani P, Basset M, Russo F, et al. The lung in amyloidosis. Eur Respir Rev. 2017;26(145):170046. PubMed
- Kim HY, Im JG, Song KS, et al. Localized amyloidosis of the respiratory system: CT features. J Comput Assist Tomogr. 1999;23(4):627-631. PubMed
- Brandelik SC, Heussel CP, Kauczor HU, et al. CT features in amyloidosis of the respiratory system – Comprehensive analysis in a tertiary referral center cohort. Eur J Radiol. 2020;129:109123. PubMed
- Li F, Li J, Li Y, et al. Imaging and Clinical Features of Nodular Pulmonary Amyloidosis. J Thorac Imaging. 2025;40(5). PubMed
- Prince JS, Duhamel DR, Levin DL, et al. Nonneoplastic lesions of the tracheobronchial wall: radiologic findings with bronchoscopic correlation. Radiographics. 2002;22 Spec No:S215-S230. PubMed
- Jin Y, Zhang C, Zhu X, et al. Pulmonary calcified nodules and cysts as the initial presentation of Sjögren’s syndrome secondary nodular pulmonary amyloidosis: a rare case report. BMC Pulm Med. 2025;25(1):427. PubMed
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