多発性骨髄腫(MM:multiple myeloma)とは?
- 骨髄における形質細胞の単クローン性の腫瘍性増殖を本態とし、50歳以上の中高年に好発。
- 成人になっても造血髄が残存する脊椎、骨盤骨、肋骨、胸骨などの躯幹骨に好発。
- 骨髄腫で見られる骨変化は、腫瘍細胞から分泌される破骨細胞活性化因子(osteoclast activating factor:OAF)による破骨細胞の亢進が大きく関与する。
複数の骨→多発性骨髄腫(MM)
一カ所に局在→単発性形質細胞腫(solitary plasmacytoma)
多発性骨髄腫の画像所見
- 椎体の圧迫骨折が高頻度に見られる。
- 年齢に比し骨皮質の非薄化が強く、骨濃度の低下が目立つ場合は、骨髄腫の可能性を疑う必要がある
- 進行すると、多発性の打抜き像(punched out lesion)、地図状の骨破壊像、膨隆性腫瘤像、骨外軟部腫瘤などの多彩な溶骨性の骨病変が認められる。
- 骨皮質を骨髄側から侵蝕して非薄化させ、病的骨折を起こしやすい。
- 脊椎では、骨転移は椎弓根を好んで侵すが、骨髄腫では赤色髄に乏しい椎弓根が保たれることが多い。
- CTは、単純X線写真では検出できない骨梁や骨皮質の微細な骨病変を鮮明に描出することができ、特に脊椎ではMPR矢状断像が有用である。
- MRIのT1強調像で低信号、T2強調像およびSTIR像で高信号を示す病変として認められる。
症例 60歳代女性 多発性骨髄腫
頭部CTのスカウト画像において頭蓋骨に多数の溶骨性病変あり。
punched out lesionを疑う所見です。
CTでは多数の(→以外の部位にも)溶骨性病変あり。
腹部CTの骨条件です。
椎体及び骨盤骨に多数の溶骨性病変を認めています。
多発性骨髄腫による病変を疑う所見です。
症例 60歳代男性
後頭骨右側に骨の抜けあり。
打抜き像を疑う所見。手術された結果、多発性骨髄腫であった。
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