肺の過誤腫(pulmonary hamartoma)
- 肺の組織成分が混在する組織奇形。肉眼的にも顕微鏡的にも新生物に類似する巣状の奇形。
- 肺の過誤腫は真の過誤腫かどうか議論があり、現在は良性腫瘍の一種と考えられることが多い。
- 大部分の過誤腫で軟骨を含むことが多く、他に脂肪や嚢胞状の液体貯留を認める。
- 肺の単発性結節の6-8%、肺の良性腫瘍の77%を占める。
- 40〜50歳代に好発し、男女比は2-3:1。小児には稀。
- 通常は無症状だが、気管支内腫瘍による閉塞性肺炎が原因となって、咳嗽、軽度の胸痛、発熱を来すことがある。まれに喀血あり。
過誤腫の画像診断
- 通常単発性結節。稀に多発。肺野末梢に位置することが多い。3-20%は気管支内に発生。
- 通常径4cm以下であるが、10cm程度まで発育することもある。
- 軟骨の成分が多い軟骨性過誤腫が最多。辺縁が類円形か分葉形。
- 石灰化は15〜20%で見られる。小病巣の石灰化はアーチファクトとの鑑別が困難(beam harding artifact)。
- ポップコーン状石灰化を見た場合は過誤腫の可能性が高い。
- 脂肪成分は50%で見られる。CTで内部に脂肪濃度を見つければ診断は容易。(画像(HRCT)では脂肪34%、脂肪と石灰化両方は19%。病巣内の脂肪は最大でも2mm大程度。)
- 造影は辺縁優位の増強>全体の増強>内部のみ部分的に増強。
- 一般に緩徐に増大傾向を示すが、急速に増大する症例も報告されている。
症例 60歳代 男性
左下葉に境界明瞭な球形の結節あり。
内部には脂肪含有を認めており、過誤腫が疑われます。
5年前の画像(非提示)と著変ありませんでした。
症例 60歳代 男性
引用:radiopedia
内部にポップコーン様の石灰化と脂肪組織を有する境界明瞭な結節を認めており、典型的な過誤腫を疑う所見です。