先に結論:リンパ節腫大の鑑別
- リンパ節腫大の原因は感染症(ウイルス・細菌・結核など)・悪性腫瘍(リンパ腫・白血病・転移)・自己免疫疾患・薬剤・その他(サルコイドーシス・菊池病・Castleman病など)と幅広いです
- 年齢・部位(局所か全身か)・大きさ・硬さ・痛みの有無・経過が絞り込みの手がかりで、一般に径1cmを超えるリンパ節は異常とされ、硬い・痛くない・増大傾向・鎖骨上窩は悪性を疑います
- 画像では壊死・石灰化・強い造影などの性状と分布を見て、必要なら生検で確定します。悪性を疑う危険因子として、40歳以上、男性、鎖骨上窩のリンパ節、発熱・盗汗・原因不明の体重減少などの全身症状が挙げられます。2領域以上に及ぶ全身性のリンパ節腫脹は全身疾患を示唆します。頸部リンパ節を超音波で評価する場合、異常リンパ節を示唆する所見として、丸い形・リンパ門(hilum)の消失・節内壊死・網状パターン・石灰化・癒合(matting)・周囲軟部組織の浮腫・辺縁優位の血流が挙げられています。
リンパ節腫脹をきたす疾患の鑑別診断まとめ
感染症
- ウイルス-伝染性単核症(Epstein-Barrウイルス,サイトメガロウイルス)、感染性肝炎、単純ヘルペス、ヘルペスウイルス6、水痘帯状疱疹ウイルス、風疹、麻疹、アデノウイルス、 HIV、流行性角結膜炎、ワクシニア、ヘルペスウイルス8
- 細菌-レンサ球菌、ブドウ球菌、ネコ引っかき病、ブルセラ症、野兎病、ペスト、軟性下疳、類鼻疳、鼻疳、結核、非定型マイコバクテリア感染、1期および2期梅毒、ジフテリア、Hansen病
- 真菌-ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症
- クラミジア-性病性リンパ肉芽腫、トラコーマ
- 寄生虫-トキソプラズマ症、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、フィラリア症
- Rickettsia-ツツガ虫病、リケッチア痘
免疫疾患
- 関節リウマチ
- 若年性関節リウマチ
- 混合性結合組織病
- 全身性エリテマトーデス
- 皮膚筋炎
- シェーグレン症候群
- 血清病
- 薬剤過敏症(diphenylhydantoin、hydralazine、allopurinol、 primidone、金製剤、 carbamazepineなど
- 血管免疫芽細胞性リンパ節症
- 原発性胆汁性胆管炎(旧・原発性胆汁性肝硬変)
- 移植片対宿主病
- シリコーン関連
悪性疾患
- 血液疾患-Hodgkinリンパ腫、非Hodgkinリンパ腫、急性または慢性リンパ性白血病、有毛細胞白血病、悪性組織球症、アミロイドーシス
- 転移性
脂質蓄積病
- Gaucher病
- Niemann-Pick病
- Fabry病
- タンジール病
内分泌疾患
- 甲状腺機能亢進症
その他の疾患
- Castleman 病 (巨大なリンパ節過形成)
- サルコイドーシス
- 皮膚病性リンパ節炎
- リンパ腫様肉芽腫症
- 組織球壊死性リンパ節炎(菊池病)
- 塊状リンパ節症を伴う洞組織球症(Rosai-Dorfman病)
- 皮膚粘膜リンパ節症候群(川崎病)
- Langerhans細胞組織球症(旧称ヒスチオサイトーシスX)
- 家族性地中海熱
- 重度高トリグリセリド血症
- リンパ節洞の血管転化
- リンパ節の炎症性偽腫瘍

部位別に考えるリンパ節腫脹の主な原因
局所のリンパ節腫脹は、そのリンパ節に流れ込む領域の病気をまず考えます(Gaddey 2016)。
| 部位 | 主な原因 |
| 頸部 | 上気道感染、伝染性単核症、結核、菊池病、頭頸部癌の転移、リンパ腫 |
| 鎖骨上窩 | 悪性腫瘍の頻度が高い部位(右は縦隔・肺・食道、左は腹部の悪性腫瘍の転移)、リンパ腫 |
| 腋窩 | 上肢の感染、ネコひっかき病、乳癌の転移、リンパ腫、ワクチン接種後の反応性腫大 |
| 鼠径 | 下肢・外陰部の感染、性感染症、骨盤内・下肢の悪性腫瘍の転移、リンパ腫 |
| 全身性(2領域以上) | ウイルス感染(EBV・HIVなど)、SLEなどの自己免疫疾患、薬剤、リンパ腫・白血病 |
リンパ節腫脹の画像(CT・超音波)の見方
- 大きさだけでなく形(丸いか扁平か)と脂肪門の有無を見ます。扁平で脂肪門があれば反応性が多いです。逆に丸い形で門が消えているリンパ節は異常を疑います(Ahuja 2005)。超音波での見方は下の「リンパ節エコー」を参照してください。
- 壊死(中心の低吸収):結核、扁平上皮癌の転移、菊池病などを考えます。
- 石灰化:結核の治った後、甲状腺乳頭癌の転移、治療後のリンパ腫など。
- 強い造影:Castleman病、甲状腺癌や腎細胞癌の転移など。
リンパ節エコー(超音波)の見方:リンパ門と血流
頸部などの表在リンパ節は超音波で評価します。見るのは形、リンパ門(hilum)、内部の性状、血流の入り方、周囲の変化です。リンパ門は、リンパ節の中心にある脂肪を含む部分で、超音波では中心の高エコー帯として見えます。
| 見る点 | 反応性リンパ節に多い所見 | 異常を疑う所見 |
|---|---|---|
| 形 | 扁平・楕円形 | 丸い形(Ahuja 2005) |
| リンパ門 | 中心にリンパ門がある | リンパ門が見えない(Ahuja 2005) |
| 内部 | 均一 | 節内の壊死・網状(reticulation)・石灰化(Ahuja 2005) |
| 血流(カラードプラ) | リンパ門から節内へ入る血流が主 | 辺縁優位の血流(Ahuja 2005) |
| 周囲 | 周囲の脂肪は保たれる | リンパ節どうしの癒合(matting)、周囲軟部組織の浮腫(Ahuja 2005) |
- 門から入る血流は反応性寄り:リンパ門部に血管が走る血流パターンは、反応性リンパ節に特徴的とされています。一方、節の辺縁に血管が分布するパターンや、不規則に枝分かれして血流のない領域がある不規則なパターンは、転移リンパ節で報告されるものです(Bialek 2007)。
- 1つの所見では決められない:100人の触知リンパ節を病理で確認した検討では、Bモード単独の指標は良悪性の区別に十分ではありませんでした。複数の所見と血流を組み合わせると、反応性リンパ節の診断は良好で、Bモードの感度は88%、特異度97.3%、カラードプラの感度は92%、特異度97.3%でした。ただし転移性や結核性のリンパ節の診断には使えず、細胞診・病理が標準とされています(Pattanayak 2018)。
- リンパ腫は反応性に見えることがある:リンパ腫のリンパ節40例の血流を調べた検討では、50%が反応性リンパ節に特徴的とされる血流パターン(縦走する血管、またはリンパ門部の血管)で、37.5%が転移性で報告されるパターンでした。血流の入り方だけで良悪性は断定できません(Bialek 2007)。
- 評価の対象:上記の所見は頸部リンパ節の検討で示されたものです(Ahuja 2005)。部位や原因によって当てはまり方が変わります。
画像で悪性が否定できない場合や、リンパ節が硬い・大きくなる・数が増える場合は、画像だけで判断せず、細胞診や生検で確かめます。気になるしこりが続くときは、医療機関を受診してください。
皮膚病性リンパ節症とは?
慢性の皮膚病に伴う反応性のリンパ節腫大です。42例の検討では皮膚疾患(菌状息肉症・慢性炎症性皮膚疾患など)があったのは52%で、48%は皮膚症状がなく、生検部位は腋窩が最多でした(Garces 2020)。リンパ腫との区別に生検が必要なことがあります。
しこりが続く・大きくなる、発熱や体重減少を伴うなど気になる症状があれば、医療機関を受診してください。
リンパ節腫脹でよくある疑問(Q&A)
Q. リンパ節エコーで「リンパ門がある」とはどういう意味ですか。
A. リンパ節の中心に、血管と脂肪を含む高エコーの帯が見える状態です。リンパ門が見えない丸いリンパ節は、異常を疑う所見の1つとされています(Ahuja 2005)。
Q. 径1cmを超えるリンパ節は、すべて異常ですか。
A. 一般に径1cmを超えるリンパ節は異常とされます(Ferrer 1998)が、大きさだけでは決められません。形、リンパ門、硬さ、部位、経過を合わせて判断します。
Q. エコーで反応性と言われたら、経過をみるだけでよいですか。
A. 超音波は反応性リンパ節の診断に有用ですが、転移やリンパ腫、結核を除外する方法としては限られます(Pattanayak 2018、Bialek 2007)。しこりが続く、大きくなる、発熱や体重減少を伴うときは、再評価や生検が必要になります。
症例 10歳代女性 頸部と腋窩の痛みのない腫れ

引用:Radiopaedia(Hodgkin lymphoma)
両側の鎖骨上窩、特に右側(画像の向かって左側)に、類円形に腫大したリンパ節が多数みられます。この症例では頸部・腋窩・縦隔・肺門・腹部大動脈周囲にもリンパ節腫大と脾腫があり、病理でHodgkinリンパ腫と確定しました。
参考文献
- Ferrer R. Lymphadenopathy: differential diagnosis and evaluation. Am Fam Physician. 1998;58(6):1313-20. PubMed
- Gaddey HL, Riegel AM. Unexplained Lymphadenopathy: Evaluation and Differential Diagnosis. Am Fam Physician. 2016;94(11):896-903. PubMed
- Swerdlow SH, Campo E, Pileri SA, et al. The 2016 revision of the World Health Organization classification of lymphoid neoplasms. Blood. 2016;127(20):2375-90. PubMed
- Ahuja AT, Ying M. Sonographic evaluation of cervical lymph nodes. AJR Am J Roentgenol. 2005;184(5):1691-9. PubMed
- Garces S, Yin CC, Miranda RN, et al. Clinical, histopathologic, and immunoarchitectural features of dermatopathic lymphadenopathy: an update. Mod Pathol. 2020;33(6):1104-1121. PubMed
- Pattanayak S, Chatterjee S, Ravikumar R, et al. Ultrasound evaluation of cervical lymphadenopathy: Can it reduce the need of histopathology/cytopathology? Med J Armed Forces India. 2018;74(3):227-234. PubMed
- Bialek EJ, Jakubowski W, Szczepanik AB, et al. Vascular patterns in superficial lymphomatous lymph nodes: A detailed sonographic analysis. J Ultrasound. 2007;10(3):128-34. PubMed
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