リポイド肺炎(lipoid pneumonia)
- 脂質を貪食したマクロファージが肺胞内腔に出現する特徴をもつ肺炎。
- 内因性と外因性があるが、一般的には外因性。
- 内因性は主に悪性腫瘍によるリンパ管の閉塞により肺組織から逸脱した脂質に伴うもの。
- 外因性は、油脂類の吸引による。流動パラフィンがその原因の75%を占める。他、スプレー缶のエアゾル、料理時に加熱により気化した油の吸引など。
- 診断は、喀痰や肺組織の脂肪染色や脂肪を含有したマクロファージを同定すること。
リポイド肺炎(lipoid pneumonia)の画像所見
- CTではエアゾルの吸引を反映して両側の中・下肺野優位に区域性にすりガラス陰影と淡く境界不明瞭な小葉中心性粒状影として分布する。しばしばcrazy paving appearanceを伴う。
- すりガラス影や小葉中心性粒状影、浸潤影を呈するが、病変部に脂肪が含まれる為、縦隔条件で脂肪濃度を有する浸潤影(CT値で-150~-30HU)を認めると診断可能。
- コンソリデーション部分ではCT angiogram signを認めることがある。
症例 70歳代男性 息切れ、乾いた咳
引用:radiopedia
すべての肺葉に少量間隔壁の肥厚を有する広範なcrazy paving patternを認めています。
両側胸水あり。
便秘のためにパラフィンオイルを摂取していることがわかっており(日本では緩下剤として使われることは少ない)、右下葉から経気管支生検が行われ、脂質を含んだ小さな透明な液胞を含むマクロファージの一部が同定され、外因性のリポイド肺炎と診断されました。
関連記事:crazy-paving pattern/appearanceとは?画像診断、鑑別診断
参考文献:
- 画像診断 Vol.39 No.11 増刊号 2019 P200
- ビギナーのための胸部画像診断 P62
- 新 胸部画像診断の勘ドコロ P177-8
- 画像診断 Vol.42 No.10 2023 P1023-7