先に結論:COVID-19肺炎のCT所見
- COVID-19肺炎の典型的なCT所見は両側・胸膜直下・下葉背側優位のすりガラス影で、crazy-paving・コンソリデーションが混ざり、経過とともに索状影(収縮)になります
- 小葉中心性の粒状影・空洞・胸水は通常見られず、あれば細菌性肺炎など他の病気を考えます
- 回復期の索状影は治る過程でよくみられます
- 画像は発症後1〜2週で最も広がり、悪化するとARDS(びまん性肺胞傷害)に進みます。※この記事は主に2020年の流行初期の報告に基づくため、変異株やワクチン普及後は所見が異なることがあります
典型的なCOVID-19肺炎のCT画像所見
- すりガラス影(円形(マリモサイン)、半円形、不整形)
- 両側下葉末梢優位、背側優位の分布
- すりガラス影+網状影、crazy paving pattern
- すりガラス影+コンソリデーション
- 索状影、陰影の収縮(他の感染症では稀)
- びまん性陰影
COVID-19肺炎で通常認めない所見
- 小葉中心性陰影
- 空洞
- 胸水を伴った小葉間隔壁の肥厚
- 胸水(メタ解析で5.88%と少ない: Bao 2020)
※病変に接する胸膜の肥厚は、13研究のメタ解析で52.46%にみられており、まれな所見ではありません(Bao 2020)。
CT所見の報告の仕方(RSNAの4分類)
北米放射線学会(RSNA)などの専門家合意文書では、CT所見を典型的(typical)・判定困難(indeterminate)・非典型的(atypical:区域性のコンソリデーション、空洞、小葉中心性結節など)・肺炎なしの4つに分けて報告することが提案されています。発症早期はCTで所見がないこともあります(Simpson 2020)。
COVID-19肺炎とCT所見の経時的変化
- CT所見は急速に変化し、病期によってさまざまな画像を呈する。
- CT所見の経時的変化を知ることで、CTから病期を推定し、臨床経過を予測することが可能。
- 臨床症状とCTでの肺炎像の重症度は概ね一致するが、症状が先行し、画像所見が数日遅れて現れることが多い。
- CTでの病変範囲は発症から約10日前後でピークに達する(Salehi 2020)。
- 進行する場合、症状発症後10日前後でCT所見が最も進行する。重症例を除いた21例の検討でも、CTでの肺病変の広がりは発症から約10日でピークとなり、その後吸収に向かった。
- ICUに移る最も多い原因は急性呼吸窮迫症候群(ARDS:acute respiratory distress syndrome)であり、主な死因となる。
COVID-19肺炎のCT所見の経過
pure GGO主体
→crazy-paving pattern
→コンソリデーション混在、拡大
【治癒する場合】
→収縮性変化(索状影)
→改善(ただし、陰影が遷延し残ることもある。)
【増悪する場合】(発症10日前後)
→びまん性陰影
→DAD
Q. 治ったあとも索状影が残るのは後遺症ですか?
A. 重症例114例の約6か月後のCTでは38%で所見が消え、35%に索状影などの線維化様変化が残りました(Han 2021)。咳や息切れが続くなら医療機関に相談してください。
COVID-19肺炎の病理:びまん性肺胞傷害(DAD)とCT所見の対応
CTの経過は、肺の中で起きている変化(病理)と対応させると理解しやすくなります。剖検例をまとめた報告では、病初期は浮腫・肺胞上皮の傷害・毛細血管の炎症(血管内皮炎)が中心で、微小血栓を伴うことがあります。呼吸不全が目立つ段階では、硝子膜を伴う滲出期のびまん性肺胞傷害(DAD)になり、さらに器質化・線維化期のDADへ進むことがあります(Bösmüller 2021)。COVID-19肺の病理像で最も多いのはDADとされ、傷害の時期が場所によって異なり、治りかけの部分と新しい傷害が同じ肺に混在することもあります(Borczuk 2021)。これらの所見はCOVID-19に特異的ではなく、ほかのウイルス感染でもみられます(Bösmüller 2021)。
| 病期の目安 | 病理で起きていること | CTのイメージ |
|---|---|---|
| 早期 | 浮腫、肺胞上皮の傷害、血管内皮炎・微小血栓 | 淡いすりガラス影、crazy-paving |
| 極期(重症化) | 滲出期DAD(硝子膜) | びまん性のすりガラス影・コンソリデーション(ARDS) |
| 回復期〜遷延 | 器質化(器質化肺炎・器質化DAD)、一部は線維化 | 索状影、収縮性変化、牽引性気管支拡張 |
陰影が長引くとき:器質化肺炎と線維化
発症から28日以上たった生検・剖検・移植肺などの44検体の検討では、39検体(88.6%)で急性肺傷害の所見があり、主に器質化肺炎とDADでした。線維化の変化も33検体(75%)にみられ、最も多かったのは線維性DAD(22検体)と瘢痕性の器質化肺炎(12検体)でした(Roden 2022)。また、入院したCOVID-19患者のうち、肺炎のあとに器質化肺炎になった153例の12か月の経過観察では、CTで徐々に改善する一方、最大57%で線維化様の変化が残りました。ステロイド治療に反応する器質化肺炎がある一方で、ステロイドの量を増やしても予後がよくなるとは限らないとされています(Cuerpo 2025)。
重症例114例の6か月後のCTでは、初回CTの総スコア(25点満点)が18以上であることが、線維化様変化の独立した予測因子の一つでした(Han 2021)。
Q. COVID-19肺炎のCTは、発症後何日目に最も悪く見えますか?
A. 軽症〜中等症の21例の検討では、肺の病変が最大になるのは発症から約10日でした(Pan 2020)。複数の報告をまとめた総説でも、CT所見が最も強いのは発症後10日前後とされ、改善を示す画像は2週目以降に多くなります(Salehi 2020)。
Q. 病理でDADと言われると、CTではどう見えますか?
A. 病理のDADは特定のCT像と1対1で対応するわけではありませんが、びまん性のすりガラス影とコンソリデーション、ARDSの像として見えることが多く、経過が長いと牽引性気管支拡張や索状影が目立ってきます。画像だけで病期を決めつけず、経過と合わせて評価します。
咳や息切れ、発熱が続くときは、早めに医療機関に相談してください。
COVID-19肺炎の臨床経過と画像所見の変化

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参考文献
- INNERVISION(35・11)2020 P17-33
- Salehi S,et al.AJR Am J Roentgenol 2020;215:87-93
- Wu J, et al. Eur Radiol. 2020;30(10):5455-5462
- Song F, et al.Radiology.2020;295:210-217
- Prokop M,et al.Radiology.2020;296:E97-E104
- Berlin D.et al.NEJM 2020;383:2451-60
- Pan F, Ye T, Sun P, et al. Time Course of Lung Changes at Chest CT during Recovery from Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). Radiology. 2020;295(3):715-721. PubMed
- Simpson S, Kay FU, Abbara S, et al. Radiological Society of North America Expert Consensus Document on Reporting Chest CT Findings Related to COVID-19: Endorsed by the Society of Thoracic Radiology, the American College of Radiology, and RSNA. Radiol Cardiothorac Imaging. 2020;2(2):e200152. PubMed
- Bao C, Liu X, Zhang H, et al. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) CT Findings: A Systematic Review and Meta-analysis. J Am Coll Radiol. 2020;17(6):701-709. PubMed
- Han X, Fan Y, Alwalid O, et al. Six-month Follow-up Chest CT Findings after Severe COVID-19 Pneumonia. Radiology. 2021;299(1):E177-E186. PubMed
- Bösmüller H, Matter M, Fend F, et al. The pulmonary pathology of COVID-19. Virchows Arch. 2021;478(1):137-150. PubMed
- Borczuk AC. Pulmonary pathology of COVID-19: a review of autopsy studies. Curr Opin Pulm Med. 2021;27(3):184-192. PubMed
- Roden AC, Boland JM, Johnson TF, et al. Late Complications of COVID-19. Arch Pathol Lab Med. 2022;146(7):791-804. PubMed
- Cuerpo S, Hernandez-Gonzalez F, Benegas M, et al. Organizing pneumonia in hospitalized COVID-19 patients: risk factors and long-term outcomes. Pneumonia (Nathan). 2025;17(1):18. PubMed
- Salehi S, Abedi A, Balakrishnan S, et al. Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Systematic Review of Imaging Findings in 919 Patients. AJR Am J Roentgenol. 2020;215(1):87-93. PubMed
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頭から抜けていたので解説を見てほぼ初見のようになっていました。ありがとうございました。