
先に結論:肺がんのCT画像
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 初期の見え方 | 淡いすりガラス結節、すりガラスの中に濃い部分がある部分充実結節、全体が濃い充実結節の3タイプ |
| がんの割合 | 検診CTの研究では、悪性の割合は部分充実63%・すりガラス18%・充実7%と、部分充実が最も高かった(Henschke 2002) |
| 良性を考える所見 | 良性パターンの石灰化、脂肪を含む、葉間胸膜に接する平たい小結節、長期間大きさが変わらない |
| がんを考える所見 | 大きい、ふちがギザギザ(スピキュラ)、充実部分が増える、短期間で大きくなる |
| 次にすること | 呼吸器内科で、結節の性質に合わせて経過観察CT・PET-CT・生検のどれにするかを相談 |

肺がんとCT:まず「結節」の言葉を知る
CTで見える肺の丸い影のうち、おおむね3cm以下のものを結節と呼びます。結節そのものの意味や大きさの考え方は 結節影とは?CTで肺に結節を指摘されたら で解説しています。
結節は、CTでの濃さによって3つに分けます(Henschke 2002)。
| タイプ | CTでの見え方 | 考えられるもの |
|---|---|---|
| すりガラス結節(純粋すりガラス) | 淡い影で、中の血管や気管支が透けて見える | 炎症のあと、前がん病変、ごく早期の腺がん |
| 部分充実結節 | すりガラスの中に、向こうが見えない濃い部分(充実部分)がある | 腺がんの割合が比較的高い |
| 充実結節 | 全体が濃く、中が透けて見えない | 肉芽腫・過誤腫・肺内リンパ節などの良性が多いが、がんも含む |
すりガラス影とコンソリデーション(浸潤影)の違いは コンソリデーションとすりガラス影の違い もあわせてどうぞ。
初期の肺腺がんはすりガラスから始まることがある
肺がんで最も多い組織型は腺がんです(Travis 2011)。2011年の国際分類では、小さな腺がんを次のように分けるようになりました(Travis 2011)。
- 上皮内腺がん(AIS):がん細胞が肺胞の壁に沿ってはうだけで、深く入り込んでいない段階
- 微少浸潤性腺がん(MIA):入り込んだ部分が5mm以下
- 浸潤性腺がん:それより入り込んだもの
AISとMIAは、完全に切除すれば病気による死亡がほぼゼロ(100%またはそれに近い生存)とされています(Travis 2011)。CTでは、すりガラスの部分が「はうように広がる部分」に、充実部分が「入り込んだ部分」に対応することが多く、充実部分の大きさが重視されます。詳しくは すりガラス結節(GGN)のCT所見と肺腺癌の分類・新しい肺腺癌の分類と画像診断のポイント・浸潤性肺腺癌のCT画像所見 で解説しています。
良性の結節と肺がんの違い
| 見るところ | 良性を考える | 肺がんを考える |
|---|---|---|
| 大きさ | 小さい(数mm) | 大きいほど可能性が上がる |
| ふち(辺縁) | なめらか | ギザギザ(スピキュラ)、胸膜を引き込む |
| 石灰化 | 全体・中心・層状・ポップコーン状など良性パターン | 石灰化がない、または良性パターンでない |
| 中身 | 脂肪を含む(過誤腫) | 部分充実で充実部分が増える |
| 場所・形 | 葉間胸膜に接する平たい・三角形の小結節 | — |
| 大きくなる速さ | 長く変わらない、または非常に速い(炎症) | 数か月〜1年あまりで大きくなる |
小さな結節では、まずその人のがんのリスク、石灰化の有無、大きさで考え、4〜5mmを超えるものは濃さ・ふち・形、さらに場所・個数・増大を見ていく、という順番が提案されています(van’t Westeinde 2008)。
- 増大速度:体積が2倍になる時間(体積倍加時間)が400日以下を「増大あり」とし、追加の検査を考える目安とされています(van’t Westeinde 2008)
- 葉間胸膜に接する結節:検診CTの研究で全結節の19.7%を占め、悪性はひとつもありませんでした。8.3%は体積倍加時間400日未満で、速く育って見えても良性のことがあります(de Hoop 2012)。これはリンパ節であることが多い結節です(肺内リンパ節のCT画像所見)
石灰化のパターンは 石灰化を伴う肺結節の鑑別診断、脂肪を含む良性腫瘍は 肺過誤腫とは?、ふちや胸膜陥入の見方は 孤立性肺野結節(SPN)の良性・悪性の鑑別 で詳しく扱っています。
症例 60歳代男性 喫煙者、体重減少と咳

引用:Radiopaedia(T2a lung cancer)
左肺の上葉(画像では右側)に、白い塊(腫瘤)があります。縁がなめらかではなく、トゲのように周りへ伸びる線(スピキュラ)が見られ、がんを疑う典型的な形です。この症例は手術で肺腺がんと確認されました(大きさ約4cm)。
見つかった結節のフォロー間隔
別の目的で撮ったCTで偶然見つかった結節は、Fleischnerガイドライン2017で、濃さ・大きさ・個数・リスクに応じてフォロー間隔を決めます。2017年版では、定期フォローを始める最小の大きさが引き上げられ、フォロー間隔に幅を持たせ、充実結節とすりガラス・部分充実結節が1つの表にまとめられました(MacMahon 2017)。表の中身は Fleischnerガイドライン2017とは?、日本のガイドラインに沿ったフォローは 肺結節のCTフォローは何カ月後? をご覧ください。
組織型ごとのCTの特徴
| 組織型 | CTで多い見え方(目安) | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 腺がん | 肺の外側寄り。すりガラス〜部分充実〜充実まで幅広い | 浸潤性肺腺癌 |
| 扁平上皮がん | 太い気管支の近く(中枢側)に多く、空洞をつくることがある。喫煙との関係が深い | 肺扁平上皮癌 |
| 小細胞がん | 肺門・縦隔のリンパ節が大きく腫れて見えることが多い。進行が速い | 肺小細胞癌 |
| 大細胞がん・大細胞神経内分泌がん | 肺の外側の大きな腫瘤 | 大細胞癌 |
組織型の見え方は傾向で、CTだけで組織型は決まりません。確定には生検などの病理診断が必要です。
病期(ステージ):TNM分類第9版
肺がんの広がりはTNM分類で表します。Tは元の腫瘍の大きさや広がり、Nはリンパ節への転移、Mは離れた臓器への転移です。CTは主にTとN、Mの評価に使われます。
2024年に発表された第9版の提案では、次の点が変わりました(Rami-Porta 2024、Fong 2024)。
| 項目 | 第9版での変更 |
|---|---|
| N2 | N2a(同じ側の縦隔リンパ節が1か所)とN2b(複数か所)に分かれた |
| M1c | M1c1(胸の外の1つの臓器系に多発)とM1c2(複数の臓器系)に分かれた |
| 病期 | T1N1はIIA、T1N2aはIIB、T3N2aはIIIA、T2N2bはIIIBへ。M1c1・M1c2はともにIVB |
N2a・N2bの区別には、縦隔リンパ節の番号(部位)を正しく読むことが大切です(肺癌の縦隔リンパ節の番号をCT画像で確認)。T分類を含めた全体の表は 肺癌のTNM分類と病期分類(第9版) にまとめています。
次にすること
- 「結節あり」と言われたら、呼吸器内科(または呼吸器外科)で、CTの画像と結果を持って相談します
- 以前のCTがあれば、比べることがいちばんの手がかりです。前の画像を取り寄せてもらいましょう
- 結節の性質によって、経過観察CT、PET-CT、気管支鏡やCTガイド下生検などが選ばれます
よくある疑問(Q&A)
Q. 肺に結節があると言われたら、がんの可能性は高いですか?
A. 多くは良性です。小さな充実結節や、葉間胸膜に接する平たい結節は良性のことがほとんどです。ただし部分充実結節や、大きくなる結節は詳しく調べます。
Q. フォローのCTで放射線は大丈夫ですか?
A. 経過観察には線量を下げた低線量CTが使われることが多いです。必要以上に撮らないよう、ガイドラインでフォローの間隔が決められています。
Q. 治療後の再発もCTでわかりますか?
A. 治療後の定期CTで、局所の再発やリンパ節・ほかの臓器への転移を確認します。肺癌治療後の局所再発と転移のCT をご覧ください。
この記事は一般的な情報です。個別の診断や治療は、主治医に相談してください。
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参考文献
- Henschke CI, Yankelevitz DF, Mirtcheva R, et al. CT screening for lung cancer: frequency and significance of part-solid and nonsolid nodules. AJR Am J Roentgenol. 2002;178(5):1053-1057. PubMed
- Travis WD, Brambilla E, Noguchi M, et al. International association for the study of lung cancer/american thoracic society/european respiratory society international multidisciplinary classification of lung adenocarcinoma. J Thorac Oncol. 2011;6(2):244-285. PubMed
- van’t Westeinde SC, de Koning HJ, Xu DM, et al. How to deal with incidentally detected pulmonary nodules less than 10mm in size on CT in a healthy person. Lung Cancer. 2008;60(2):151-159. PubMed
- de Hoop B, van Ginneken B, Gietema H, et al. Pulmonary perifissural nodules on CT scans: rapid growth is not a predictor of malignancy. Radiology. 2012;265(2):611-616. PubMed
- MacMahon H, Naidich DP, Goo JM, et al. Guidelines for Management of Incidental Pulmonary Nodules Detected on CT Images: From the Fleischner Society 2017. Radiology. 2017;284(1):228-243. PubMed
- Rami-Porta R, Nishimura KK, Giroux DJ, et al. The International Association for the Study of Lung Cancer Lung Cancer Staging Project: Proposals for Revision of the TNM Stage Groups in the Forthcoming (Ninth) Edition of the TNM Classification for Lung Cancer. J Thorac Oncol. 2024;19(7):1007-1027. PubMed
- Fong KM, Rosenthal A, Giroux DJ, et al. The International Association for the Study of Lung Cancer Staging Project for Lung Cancer: Proposals for the Revision of the M Descriptors in the Forthcoming Ninth Edition of the TNM Classification for Lung Cancer. J Thorac Oncol. 2024;19(5):786-802. PubMed
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