小細胞癌
・肺癌の15-20%、肺野型肺癌の4-12%。喫煙との関連性がある。
・小型の細胞からなる神経内分泌系の悪性上皮性腫瘍。
・90%で中枢気管支に好発する。末梢にも発生。
・気管支上皮を破壊し、粘膜下・気管支周囲へ進展。粘膜下を這うように発育進展する傾向がある。そのため、扁平上皮癌と比べて気管支腔内への進展は弱く、閉塞性肺炎や無気肺はきたしにくい傾向がある。
・悪性度が高く、経過が早く、血行性転移を来しやすい。
・脳、肝、骨、副腎などに転移を来す。
・粘膜下を主体とした腫瘤を形成し、長軸方向へ進展する。
・早期からリンパ路に進展し(リンパ行性増殖)、診断時には、リンパ節転移や遠隔転移を来している事が多い。
・限局型LD(limited disease)は癌が一側肺に限局し、鎖骨上窩リンパ節を越えない(同側肺門、両側縦隔、両側の鎖骨上窩のリンパ節に限局)もの。
・進展型ED(extensive disease)は癌がこの範囲を超えるものと定義される。
・腫瘍マーカーとしては、NSE、Pro-GRPがある。
・またACTH、ADHなどのペプチドホルモン産生により腫瘍随伴症候群をきたすことがある。
小細胞癌の進展形式の分類
Ⅰ型:気管支の長軸に沿って気管支樹の形態をとる型。
Ⅱ型:深達進展が主体で腫瘤を形成する型。
Ⅲ型:Ⅰ型とⅡ型の混合型。
Ⅳ型:末梢肺に腫瘤を形成する型。
画像所見
・肺門型の肺癌が多い。
・肺門・縦隔リンパ節腫大を呈する。主腫瘍が肺門部の転移リンパ節と一塊となってみられることが多い。
・リンパ行性増殖を呈し、気管支血管束の肥厚、気管支内腔の狭窄・閉塞をきたす。
症例 70歳代男性
肺野型小細胞癌
・辺縁明瞭、円形〜軽度分葉。肺小細胞癌の5%。
・圧排性発育、周囲構造圧排性変化。
・間質反応・線維化や壊死は稀。
・内部は均一で、air bronchogramや空洞はまれ。
・周囲すりガラス陰影は稀。
・肺野発声でも高度なリンパ節腫大をきたすことがしばしばある。
・予後は 原発巣のみで、リンパ節転移や、遠隔転移がなければ外科切除+化学療法で良好な予後が期待できる。