先に結論:reversed halo sign(逆ハロー徴候)とは
- CTで中心が淡いすりガラス影、そのまわりを濃い浸潤影がリング(三日月)状に囲む所見で、環礁(atoll)に似ていることからatoll signとも呼ばれます
- はじめは器質化肺炎(COP)の所見として知られましたが、真菌症(ムコール症・アスペルギルス症)・結核・肺梗塞・多発血管炎性肉芽腫症・サルコイドーシス・COVID-19などさまざまな病気で見られます
- とくに白血病・移植後など免疫が低下した人では、ムコール症などの侵襲性真菌症を強く疑い、早急な対応が必要です
胸部CTにおけるReversed CT halo signとは?

- 内部が淡いすりガラス影、辺縁が閉じた、または一部が途切れた環状あるいは三日月状の濃厚な浸潤影で構成される円形〜半円形陰影。
- すりガラス影とコンソリデーションの関係がhalo signの逆になるためこのように呼ばれる。
- atoll signと呼ばれることがある。(atollは環礁で、サンゴ礁が環状に島を取り囲んでおり、中央にラグーン(礁湖)がある地形を指す。この形状が「アトールサイン」として、画像診断において中央が淡く周囲が濃い輪状構造を示す病変の形に似ていることから、その名が付けられている。)
- 中心部のすりガラス影→肺胞中隔の炎症や細胞を反映、末梢のコンソリデーション→肺胞内の器質化肺炎を示唆。
- COPのCT画像所見として当初は報告された。生検で確認したCOP31例中6例(19%)にみられ、鑑別対象としたGPAや慢性好酸球性肺炎などの30例ではみられなかった(Kim 2003)。
- しかし実際はCOPだけではなく、真菌症(ヒストプラズマ症、パラコクシジオイデス症、アスペルギルス症、クリプトコッカス症、ムコール症、ニューモシスチス肺炎)、結核、細菌性肺炎、原発性肺癌、転移性肺腫瘍、リンパ増殖性疾患(リンパ腫様肉芽腫症(LYG))、GPA、リポイド肺炎、サルコイドーシス、肺梗塞、肺水腫、COVID-19肺炎などでも認める(Godoy 2012、Marchiori 2012・2021)。免疫不全患者では侵襲性真菌症と器質化肺炎の鑑別が重要である。reversed halo signの内部の網状影(侵襲性真菌症の93%、器質化肺炎では0%)、辺縁のコンソリデーションの厚さ1cm超、胸水の合併は侵襲性真菌症を強く示唆するとされる。
- reversed halo signを示した79例(感染症41例・非感染症38例)の検討では、リングの壁が結節状になる例が26.6%あり、壁やハローの内部に結節があれば結核・サルコイドーシスなどの肉芽腫性疾患を強く示唆するとされた(Marchiori 2012)。
halo signとreversed halo signの違い
| halo sign | reversed halo sign | |
|---|---|---|
| 形 | 結節・腫瘤の周りをすりガラス影が囲む | 中心のすりガラス影を、リング状・三日月状の浸潤影が囲む |
| すりガラス影の正体 | 出血、腫瘍の浸潤、出血を伴わない炎症 | COPでは肺胞中隔の炎症 |
| 代表的な疾患 | 侵襲性肺アスペルギルス症の早期所見として提唱されたが、感染症・腫瘍・炎症でもみられる | COP、侵襲性真菌症、結核、サルコイドーシスなど |
※halo signの内容はLee 2005に基づきます。どちらのサインも単独では診断を決められず、免疫状態や臨床経過とあわせて判断します。
症例 30歳代男性 血痰の再発と咳と発熱

引用:Radiopaedia
左上区にreversed halo signを呈する陰影があり、中葉には末梢にくさび形の、右下葉には結節状の浸潤影を認めています。
結節やくさび形の浸潤影に関連して、すりガラス状の変化(halo sign)を認めています。
C-ANCA(PR3)が344.1 IU/mlと著しく高値(正常値は6.0 IU/ml未満)であり、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)による陰影を示唆しています。
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参考文献:
- 八木文子, 栗原泰之, 山田祥岳, ほか. 胸部(肺)領域―心血管は除く. 臨床放射線 66(2):137-146, 2021(本記事の参照: P138)
- 田中伸幸, 国弘佳枝, 松永尚文. 間質性肺炎. 画像診断 33(5):435-450, 2013(本記事の参照: P446)
- 狩野麻実, 瀧口沙世, 三角茂樹, ほか. 呼吸器感染症のCTサイン. 画像診断 33(12):1321-1329, 2013(本記事の参照: P1323-4)
- Godoy MC, Viswanathan C, Marchiori E, et al. The reversed halo sign: update and differential diagnosis. Br J Radiol. 2012;85(1017):1226-35. PubMed
- Marchiori E, Marom EM, Zanetti G, et al. Reversed halo sign in invasive fungal infections: criteria for differentiation from organizing pneumonia. Chest. 2012;142(6):1469-1473. PubMed
- Kim SJ, Lee KS, Ryu YH, et al. Reversed halo sign on high-resolution CT of cryptogenic organizing pneumonia: diagnostic implications. AJR Am J Roentgenol. 2003;180(5):1251-4. PubMed
- Marchiori E, Zanetti G, Escuissato DL, et al. Reversed halo sign: high-resolution CT scan findings in 79 patients. Chest. 2012;141(5):1260-1266. PubMed
- Marchiori E, Hochhegger B, Zanetti G. The reversed halo sign in COVID-19. J Bras Pneumol. 2021;47(5):e20210407. PubMed
- Lee YR, Choi YW, Lee KJ, et al. CT halo sign: the spectrum of pulmonary diseases. Br J Radiol. 2005;78(933):862-5. PubMed
- Hansell DM, Bankier AA, MacMahon H, et al. Fleischner Society: glossary of terms for thoracic imaging. Radiology. 2008;246(3):697-722. PubMed
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