先に結論:肺サルコイドーシスのCT

  • サルコイドーシスは、原因不明の小さな炎症のかたまり(肉芽腫)が全身にできる病気で、肺・リンパ節・目(ぶどう膜炎)・皮膚・心臓などに起こります。日本では健診の胸部レントゲンで見つかることが多いです
  • CTでは、左右対称の肺門・縦隔リンパ節の腫れ(BHL)と、リンパ路に沿った分布(気管支血管束・小葉間隔壁・胸膜/葉間に沿う)の小さな粒が特徴で、上〜中肺野に多いです。粒が集まった大きな結節(galaxy sign)を作ることもあります
  • CTで縦隔リンパ節は短径1.0cmを超えると腫大と考えるのが目安です(Glazer 1985)。BHLだけの例(病期I)は経過が最もよく、半数が15か月でレントゲンが正常に戻りました(Hillerdal 1984)
  • 多くは自然によくなりますが、一部は肺の線維化に進みます。心臓の病変(不整脈・心不全)は命にかかわるため、診断時に心臓の検査も行います

※健診で肺門リンパ節の腫れを指摘されたときは、呼吸器内科で相談してください。

サルコイドーシス(sarcoidosis)とは?

  • 非乾酪性肉芽腫形成を特徴とする原因不明の全身性多臓器疾患。
  • 主な罹患部位は、肺門縦隔を中心とする全身のリンパ節、肺、皮膚、眼だが、心臓、肝、腎、神経、筋など全身のあらゆる臓器に見られる。

関連記事)心サルコイドーシスの画像診断・神経サルコイドーシスの画像診断

  • 何らかの抗原(アクネ菌(Cutibacterium acnes)や抗酸菌など)に対する免疫反応による肉芽腫形成と考えられている。
  • 発症・発見年齢は若年にピークがあり、女性では高齢でもう一つの低く幅広いピークがある二峰性を示す(スウェーデンの15年間の研究で、男女とも20〜34歳にピーク)(Hillerdal 1984)。
  • 本邦では、無症状で検診の胸部単純X線でBHLや肺野病変を指摘される症例が多い。
  • 有症状例では、霧視や羞明などの眼症状で発見されることが最も多く、次いで、皮疹、咳嗽、全身倦怠感など。
  • その他重要なキーワード:ぶどう膜炎、心臓の刺激伝導障害(房室ブロックなど)、血清ACE活性高値、ガリウムシンチで著明な集積、気管支肺胞洗浄液でリンパ球増多・CD4/8↑、血清Ca↑、ツベルクリンの陰転。

サルコイドーシスの病理

  • 診断は、①矛盾しない臨床像、②組織での非乾酪性(非壊死性)類上皮細胞肉芽腫の証明、③他の肉芽腫性疾患の除外、の3つにもとづく(組織所見だけでは確定しない)。
  • 病理学的には類上皮細胞性の組織球と多核巨細胞を中心とし、周囲をリンパ球で囲まれた乾酪壊死を伴わない肉芽腫が特徴的。
  • 肉芽腫は顕微鏡レベルの小さなものだが、しばしば融合して肉眼で見える結節を形成する。
  • 肺の肉芽腫の分布は、リンパ管周囲といわれるようにリンパ管の分布する細気管支・血管周囲、小葉間隔壁、胸膜、肺胞壁の一部などに認められる。
  • 肺のサルコイド肉芽腫は自然経過で消失する症例も多い。
  • 約20%は慢性の肺病変から肺線維症に至るとされる(Criado 2010)。HRCTは可逆的な病変と不可逆的な線維化の区別に優れ、予後評価の要となる。肺サルコイドーシスの予後(死亡)予測には、呼吸機能の複合指標(CPI 40)に、HRCTでの線維化範囲20%と肺動脈径/上行大動脈径比を組み合わせた臨床画像的stagingが単独の指標より有用と報告されている。

肺サルコイドーシスのCT画像所見

  • 両側肺門リンパ節腫大(bilateral hilar lymphadenopathy)
  • 腫大リンパ節は融合傾向に乏しく、周囲への浸潤所見に乏しい。
  • 肺野病変:広義間質(リンパ路)に一致する小結節や粒状影。小葉間隔壁や胸膜が数珠状に肥厚したように見える。
  • 肺野病変は上中葉優位に分布。
  • 粒状影は肉芽腫の集簇に対応し、個々の粒状影が境界明瞭な粒として認識される。無数の小さな微小結節が集簇し、大きな結節を形成するgalaxy signを認める。 ただし、これは活動性結核でも認める。小結節の集簇が単発である、下葉S6にある、リンパ節腫大を伴わない、tree-in-budを伴う、といった場合はサルコイドーシスより活動性結核を考えます。
  • 大きな辺縁不整な結節や濃い浸潤影=肉芽腫の融合。
    ※肺野の結節性病変としては小粒状影、小結節、大結節(alveolarあるいはpseudoalveolar sarcoidosisとも呼ばれる)があり、大きいものでは空洞を伴うことがある。
  • すりガラス影=HRCT解像度以下の微細な肉芽腫の集合。
  • 肺野構造の歪み=肉芽の融合や線維化の進行。
  • Reversed halo sign。
  • HRCT所見は多彩で、画像所見が派手なわりに臨床的には無症状であるなど、画像所見と臨床症状に乖離があるのが特徴的。

sarcoidosis

BHLとは?

  • 両側肺門リンパ節腫大(bilateral hilar lymphadenopathyの頭文字をとってBHL)のこと。レントゲンやCTで見られる所見。
  • リンパ節は周辺の炎症を欠くことから周辺肺との境界は比較的鮮明で(Tbだと不鮮明になる)、癒合傾向に乏しく、単純撮影ではいわゆる馬鈴薯様の形態を示し、癒合傾向のある悪性リンパ腫との鑑別点になる。
  • リンパ節はびまん性に濃染されることが多い。

胸部レントゲンの病期分類

病期 胸部レントゲン
0 異常なし
I BHLのみ
II BHL+肺野病変
III 肺野病変のみ(BHLなし)
IV 肺の線維化

病期Iはもっとも経過がよく、半数がレントゲンで正常に戻るまで15か月、病期IIでは36か月かかりました。何年もたってから陰影が消えることもあります(Hillerdal 1984)。

CTで肺門・縦隔リンパ節腫大をどう判断するか

  • CTでは、横断像の短径で測ります。縦隔リンパ節の正常上限は短径1.0cmが目安です(Glazer 1985)。
  • 肺門リンパ節は肺動脈や気管支と重なるため、造影CTや冠状断で血管と区別すると見やすくなります。
  • サルコイドーシスでは、左右対称の肺門リンパ節腫大に、気管分岐部下・右気管傍などの縦隔リンパ節腫大を伴うことが多いです。
  • 左右差が強い、片側だけ、壊死を伴う、周りに広がる、といったときは、悪性リンパ腫・肺癌などのリンパ節転移・結核を考えます。

関連記事:リンパ節腫脹をきたす疾患の鑑別診断まとめ

症例 30歳代女性 サルコイドーシス

sarcoidosis X ray BHL

胸部レントゲンにて両側肺門部のリンパ節腫大を認めています。

BHLと呼ばれる所見です。

sarcoidosis CT findings

胸部CTでは縦隔条件で肺門及び縦隔にリンパ節腫大を認めています。
(レントゲンのBHLに相当する所見です。)

肺野では右上葉に小粒状影の集簇を認めており、いわゆるGalaxy signの所見です。

sarcoidosis Ga scinti

ガリウムシンチでは、縦隔肺門リンパ節腫大に一致した集積を認めています。

これらの所見はサルコイドーシスに合致した所見と言えます。

症例 30歳代女性 サルコイドーシス

sarcoidosis1

胸部CTで葉間胸膜に粒状影・小葉中心性の粒状影・小葉間隔壁の肥厚を認めています。

sarcoidosis

気管支血管束上に粒状影あり。

サルコイドーシスによる肺病変に矛盾しない所見です。

 

サルコイドーシスのCT画像所見を動画でチェックする。

 サルコイドーシスの肺野病変

(小葉間隔壁・葉間裂を含む胸膜下間質・気管支血管束周囲間質に小結節が多発している。)

▶サルコイドーシスによる肺空洞病変:

  • 真の肺サルコイドーシスによる、すなわち微小な線維化を伴ったサルコイドーシスの非乾酪性壊死により形成された空洞はまれである。
  • サルコイド肉芽腫が一塊となった虚血性壊死や虚血性ヒアリン線維織の流出により形成されると考えられている。
  • 多くの空洞は壊死性細菌感染によっても発生する。胸水や気胸、乳び胸はまれである。

鑑別診断

▶サルコイドーシスとTbの鑑別点

サルコイドーシス Tb
2次小葉での分布 小葉中心+小葉辺縁→葉間胸膜までびっしり! 小葉中心→胸膜直下はspare
肺全体での分布 両側 孤立性のことも多い
S1,2,6
Tree-in-bud – +

関連記事:びまん性粒状影の鑑別診断(胸部CT)|粟粒結核・過敏性肺炎・サルコイドーシス・転移と分布の見方

サルコイドーシスのすりガラス影は珍しくない

サルコイドーシスのCTというと、リンパ路に沿った粒状影や気管支血管束の肥厚、galaxy signが有名ですが、すりガラス影もよくみられる所見です。

開胸肺生検や剖検で確かめた8例の検討では、気管支血管束の不整な肥厚が88%、血管に沿った小結節が50%にみられ、すりガラス影は75%にありました。すりガラス影は胞隔炎(肺胞の壁の炎症)とは対応していませんでした(Nishimura 1993)。

101例の検討では、すりガラス影・結節・小葉間隔壁の肥厚・牽引性気管支拡張などは、血清KL-6が高い群で有意に多くみられました(Honda 2011)。

一方、47例のうち典型的でないパターンを示した18例の中で、両側びまん性のすりガラス影が主体だったのは1例だけでした(Cozzi 2018)。

  • 典型的な粒状影や気管支血管束の肥厚に、すりガラス影が重なるのはよくあること
  • すりガラス影がKL-6高値とともに目立つときは、肺の病変が強いことを考える
  • すりガラス影だけが前面に出ている場合は、ほかの間質性肺炎や感染症も考える

サルコイドーシスの画像でよくある疑問(Q&A)

Q. サルコイド反応とは何ですか?

がんの患者さんで、全身性サルコイドーシスの基準は満たさないのに、リンパ節などに非乾酪性肉芽腫ができる状態です。画像ではリンパ節転移と区別しにくいことがあります。生検で確かめた32人の追跡では、サルコイドーシスへの進展はなく、無治療例の85.7%で病変は縮小または不変でした(Huh 2022)。

Q. 健診でBHLを指摘されたらどうすればよいですか?

BHLはサルコイドーシスで最も多い所見ですが(Criado 2010)、悪性リンパ腫や結核なども原因になります。CTや採血、必要に応じて生検で原因を調べるため、呼吸器内科などの医療機関を受診してください。

参考文献

  1. Criado E, Sánchez M, Ramírez J, et al. Pulmonary sarcoidosis: typical and atypical manifestations at high-resolution CT with pathologic correlation. Radiographics. 2010;30(6):1567-1586. PubMed
  2. Nakatsu M, Hatabu H, Morikawa K, et al. Large coalescent parenchymal nodules in pulmonary sarcoidosis: “sarcoid galaxy” sign. AJR Am J Roentgenol. 2002;178(6):1389-1393. PubMed
  3. Heo JN, Choi YW, Jeon SC, et al. Pulmonary tuberculosis: another disease showing clusters of small nodules. AJR Am J Roentgenol. 2005;184(2):639-642. PubMed
  4. Crouser ED, Maier LA, Wilson KC, et al. Diagnosis and Detection of Sarcoidosis. An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2020;201(8):e26-e51. PubMed
  5. Walsh SL, Wells AU, Sverzellati N, et al. An integrated clinicoradiological staging system for pulmonary sarcoidosis: a case-cohort study. Lancet Respir Med. 2014;2(2):123-30. PubMed
  6. Silva M, Nunes H, Valeyre D, et al. Imaging of Sarcoidosis. Clin Rev Allergy Immunol. 2015;49(1):45-53. PubMed
  7. Hillerdal G, Nöu E, Osterman K, et al. Sarcoidosis: epidemiology and prognosis. A 15-year European study. Am Rev Respir Dis. 1984;130(1):29-32. PubMed
  8. Glazer GM, Gross BH, Quint LE, et al. Normal mediastinal lymph nodes: number and size according to American Thoracic Society mapping. AJR Am J Roentgenol. 1985;144(2):261-5. PubMed
  9. Huh JY, Moon DS, Song JW. Sarcoid-like reaction in patients with malignant tumors: Long-term clinical course and outcomes. Front Med (Lausanne). 2022;9:884386. PubMed
  10. Nishimura K, Itoh H, Kitaichi M, et al. Pulmonary sarcoidosis: correlation of CT and histopathologic findings. Radiology. 1993;189(1):105-9. PubMed
  11. Honda K, Okada F, Ando Y, et al. Comparison of pulmonary thin section CT findings and serum KL-6 levels in patients with sarcoidosis. Br J Radiol. 2011;84(999):229-35. PubMed
  12. Cozzi D, Bargagli E, Calabrò AG, et al. Atypical HRCT manifestations of pulmonary sarcoidosis. Radiol Med. 2018;123(3):174-184. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →