胸部CTにおける多発肺結節・腫瘤影・浸潤影の鑑別診断
胸部CTにおいて多発肺結節・腫瘤影・浸潤影を呈する疾患は
- 腫瘍性
- 感染性
- 非感染性肉芽腫
- その他
に大きく分けることができます。
それぞれの原因疾患は次の通りです。
腫瘍性
- 転移性肺腫瘍
- 悪性リンパ腫(MALT lymphomaなど)
- 浸潤性粘液性腺癌
- リンパ増殖性疾患(リンパ腫様肉芽腫症:LYG(lymphomatoid granulomatosis)など)
- 過誤腫
- 喉頭乳頭腫
- 転移性平滑筋腫
- 同時多巣性肺腫瘍(細気管支肺胞上皮癌、IVBAT、Kaposi肉腫、カルチノイド)
- 類上皮血管内皮腫
感染性
- 陳旧性(結核性)肉芽腫
- 非結核性抗酸菌症
- 敗血症性塞栓症(多発肺膿瘍)
- 肉芽腫性感染症:肺結核、真菌感染(クリプトコッカスなど)、ヒストプラズマ、ノカルジア
- 寄生虫(包虫症)
- ウイルス感染症(水痘肺炎など)
症例 60歳代男性 発熱・呼吸困難
右上下葉末梢に結節影を2箇所認めています。
上葉のものは空洞形成あり。
敗血症性肺塞栓症と診断され、加療されました。
非感染性肉芽腫症
- リウマチ結節(Caplan症候群)
- サルコイドーシス
- Wegener肉芽腫
- 塵肺(PMF)
- アミロイドーシス
- 肺梗塞
症例 70歳代男性 Wegener肉芽腫(GPA)
両側肺野末梢に多発浸潤影あり。周囲にすりガラス影(halo)あり。
GPAと診断されました。
その他
- 子宮内膜症
- splenosis
- 多発性肺動静脈奇形(Osler-Weber-Rendu症候群)
- アミロイドーシス
- 粘液栓
- 特発性器質化肺炎(多発浸潤影の場合)
- 慢性好酸球性肺炎(多発浸潤影の場合)