珪肺とは(silicosis)

  • 塵肺で最も多い。次いで石綿肺が多い。
  • 鉱山労働者や石切作業者に認める。
  • 極めてfibrogenicな遊離珪酸の吸入により起こる。
  • 慢性珪肺、急進珪肺、急性珪肺の3型がある。
  • 通常見られるのは粉塵暴露後20年異常経過して発症する慢性型。
  • Tb、肺癌(扁平上皮癌、小細胞癌)の発生が多い。他、自然気胸、続発性気管支炎などを合併する。

珪肺の画像所見

レントゲン所見

  • 上肺優位の境界明瞭な小粒状影
  • 粒状影に石灰化が見られることあり。
  • 進行すると、上中肺野に大陰影(PMF:progressive massive fibrosis)を形成。
  • 上葉は収縮し、肺門挙上と下肺野に代償性肺気腫を生じる。

CT所見

  • 経気道性に粉塵暴露→小葉中心性結節
  • 粉塵を貪食したMφが移動中のリンパ路で病変が生じる→胸膜下、小葉間隔壁などの広義間質にも結節を認めるようになる。胸膜に接する結節が融合して胸膜プラークに似た像を形成することがあり「偽胸膜プラーク(pseudoplaque)」と呼ばれる。気道性+間質性に病変が及ぶ(小葉中心性+広義リンパ路)ことが重要!!
  • 粒状影や塊状影は左右対称。周囲にbullaや気腫を伴う。粒状影の癒合による1cmを超える大陰影(progressive massive fibrosis:PMF)
  • 上肺が多いが、下肺に認める事もある。さらに、PMFはサイズが増大することがある。また空洞を形成することがある。

※とするとPMFと肺癌の鑑別は?→PMFはMRIのT2WIにて低信号を呈する。
※PMFが空洞を形成するかどうかは内部の成分の違いによる。泥っぽい成分の場合は空洞を作りやすい。

  • 縦隔や肺門には石灰化を伴ったリンパ節(卵殻状石灰化eggshell calcification)あり。

※腹部にもリンパ節石灰化を来す事がある。
※またリンパ節腫大のみのこともある。PETで陽性になることがあり、注意を要する。

症例 78歳男性

スライド08

肺野条件では胸膜下および小葉間隔壁に粒状影を多数認めています。左右対称であり、右肺尖部には大陰影を認めています。

縦隔条件では縦隔に卵殻状石灰化を多数認めています。

珪肺に矛盾しない所見です。


症例 75歳女性

スライド09

両側に大陰影を認めています。陰影内には石灰化あり。

その周囲には広義リンパ路に広がると考えられる粒状影を多数認めています。

縦隔には石灰化リンパ節を認めており、珪肺を疑う所見です。


症例 73歳男性

スライド10

両側に石灰化を伴う大陰影を認めています。

また周囲に粒状影あり。

珪肺を疑う所見です。


症例 70歳代男性

縦隔・肺門リンパ節の石灰化をきたす疾患

関連記事:塵肺の画像診断総論(珪肺、石綿肺、ベリリウム肺など)

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