
先に結論:子どもの骨には「骨折に見える正常」と「写らない骨折」の両方がある
| 見え方 | 正体 | ポイント |
|---|---|---|
| 骨の端の黒い帯 | 成長線(骨端線・成長板) | 正常の軟骨の層。ここのけが(骨端線損傷)はSalter-Harris分類で評価 |
| 骨の端近くの白い横線 | Park-Harris線(成長停止線) | 病気や栄養状態の名残。骨折ではない |
| 骨端の割れ目 | 骨端裂(epiphyseal cleft) | 足の親指の付け根に多い。症状がなく自然に閉じる |
| 坐骨と恥骨の境目のふくらみ | 坐骨恥骨軟骨結合 | 骨が癒合する時期の正常。骨髄炎や腫瘍と紛らわしい |
| MRIで足の骨のまだら | 赤色髄(血を作る骨髄)の名残 | 16歳未満の約6割。左右対称で15歳ごろに消える |
| 肘の脂肪のふくらみ(レントゲン) | 写らない骨折のサイン | 後方脂肪体の挙上があれば76%に骨折 |
子どもの骨が大人と違う理由
子どもの長い骨(手足の骨)の両端には、骨が長く伸びるための軟骨の層である成長線(骨端線、成長板、physis)があります。軟骨はレントゲンに写らないため黒い帯として見え、骨の端(骨端)は別の骨のかたまりとして離れて見えます。
子どもの骨折はよくあるけがですが、成長板の発達の途中の形、骨折線のように見える正常の構造、骨の作られ方の変化をきたす代謝の病気など、子どもに特有の「骨折に見えるもの」があり、診断を難しくしています。レントゲンの細かな手がかりで区別できることもありますが、迷うときはMRIが役立ちます(Bixby 2019)。
成長線そのもののけが(骨端線損傷)の分類はソルター・ハリス(Salter-Harris)分類とは?骨端線損傷Ⅰ〜Ⅴ型の違いと覚え方・画像で解説しています。
骨の白い横線:Park-Harris線(成長停止線)
Park-Harris線(Harris lines、growth arrest lines)は、成長板に近い骨幹端に見える横向きの白い線です。成長板での骨づくりが一時的に止まったときにできる、横向きの骨梁の層に相当します。糖尿病の子どもの骨で最初に注目され、その後、代謝・内分泌の病気、感染、腫瘍、けがのあと、薬の影響などさまざまな状況で報告されています。病的なものか、成長の一部として生じる生理的なものかは議論が続いています(Georgiadis 2022)。
いずれにしても骨折線ではなく、線と成長板の距離から成長の経過を読み取ることにも使われます(Georgiadis 2022)。
症例 11歳男児 成長停止線(Park-Harris線)

引用:Radiopaedia(Growth arrest lines)
大腿骨の下の端と脛骨の上の端の骨幹端に、骨端線と平行な白い横線が見えます。症例ページでは成長停止線(Harris線・Park線)とされ、病気などで一時的に骨の伸びが止まった跡と説明されています。
骨端の割れ目:骨端裂(epiphyseal cleft)
成長中の骨端に割れ目(裂け目)のような欠損が見えることがあり、多くは思春期の少し前にみられます。最も多いのは足の親指の基節骨の付け根の骨端で、ほかの骨端にもみられます。骨折を思わせる症状を伴わず、思春期の後半ごろに自然に閉じると考えられています(Harrison 1980)。
11歳の男の子がけがのあとレントゲンで足の親指の骨端線損傷(Salter-Harris 4型)を疑われて手術が検討されたものの、MRIで生理的な骨端裂とわかり、手術を避けられた例も報告されています(van den Bogerd 2025)。
坐骨と恥骨の境目:坐骨恥骨軟骨結合
骨盤の坐骨と恥骨は、子どものうちは軟骨でつながっていて(坐骨恥骨軟骨結合)、癒合するときにふくらんで見えることがよくあります。これは骨の成熟の正常な過程ですが、片側だけにみられると骨髄炎や骨の腫瘍、外傷と紛らわしくなります。オーストラリアでの0〜24歳184人のCTの検討では、癒合は女児で4〜9歳、男児で7〜13歳にみられました(Gregory 2019)。
レントゲンでの見え方は恥骨と坐骨の境界(坐骨恥骨軟骨結合)とは?をご覧ください。
MRIで見える骨髄のまだら:赤色髄の名残
子どもの足や足首のMRIでは、T2強調像などで骨髄の中に高信号(白い)のまだらが見えることがよくあります。1〜18歳の34人41件のMRIの検討では、16歳未満の59%にみられ、場所は踵骨(かかと)54%、距骨35%、舟状骨35%の順でした。左右対称に出ることが多く、15歳を過ぎると消えていたことから、血を作る赤色髄の名残で正常と考えられています(Shabshin 2006)。
けがのあとの骨挫傷(骨の打ち身)と紛らわしいため、左右差や年齢、症状と合わせて判断します。骨髄の年齢による変化は赤色骨髄と黄色骨髄(脂肪髄)とは?違いと年齢による変化、膝の成長線まわりの浮腫は傍骨端線部限局性骨髄浮腫(FOPE)のMRI画像所見で解説しています。
反対に「レントゲンに写らない骨折」もある
子どもの骨折は、レントゲンで骨折線がはっきりしないこともあります。代表的なのが肘です。肘のけがのあと、レントゲンの側面像で後方脂肪体(posterior fat pad)が持ち上がって見えるのに骨折線が見えなかった45人(平均4.5歳)を約3週間後に撮り直すと、34人(76%)に骨折の治る過程の所見がみられました。内訳は上腕骨顆上骨折53%、尺骨近位部26%、外側顆12%、橈骨頸部9%でした(Skaggs 1999)。
| 写らなかった肘の骨折の内訳(Skaggs 1999) | 割合 |
|---|---|
| 上腕骨顆上骨折 | 53% |
| 尺骨近位部の骨折 | 26% |
| 上腕骨外側顆骨折 | 12% |
| 橈骨頸部骨折 | 9% |
このため、肘のけがで後方脂肪体の挙上だけがある場合は、ずれのない骨折として扱う考え方が支持されています(Skaggs 1999)。手首の骨折は小児の橈骨遠位端骨折(若木骨折・隆起骨折)の特徴とレントゲン所見を参考にしてください。
次にすること
- 「正常かもしれない」と言われたら:痛みや腫れの場所と画像の場所が合っているか、左右差があるかを主治医に確認する
- 迷うとき:日をおいての撮り直しやMRIなどが検討される(Skaggs 1999、Bixby 2019)
- レントゲンが正常でも痛みや腫れが強い、使えない、歩けないときは、写らない骨折を考えて整形外科で相談する
気になる症状があれば医療機関を受診してください。
よくある疑問(Q&A)
Q1. 成長線と骨折はどう見分けますか?
成長線は決まった場所にある正常の軟骨の帯です。骨折線に見える正常の構造は子どもに多く、レントゲンの細かな手がかりで区別し、迷うときはMRIが役立ちます(Bixby 2019)。成長線そのもののけがはSalter-Harris分類で評価します。
Q2. レントゲンで骨折がないと言われたのに、ギプス(固定)をすると言われました。
肘のけがで後方脂肪体が持ち上がっていると、骨折線が見えなくても4人に3人ほどで骨折があったという研究があり(Skaggs 1999)、骨折として扱うことがあります。理由は主治医に確認してください。
Q3. 骨の白い横線は病気のサインですか?
Park-Harris線は成長が一時的に止まった跡で、さまざまな病気のあとにみられることもあれば、生理的なものとする考えもあります(Georgiadis 2022)。線だけで病気と決まるものではありません。
参考文献
- Bixby SD. Pitfalls in Pediatric Trauma and Microtrauma. Magn Reson Imaging Clin N Am. 2019;27(4):721-735. PubMed
- Georgiadis AG, Gannon NP. Park-Harris Lines. J Am Acad Orthop Surg. 2022;30(23):e1483-e1494. PubMed
- Harrison RB, Keats TE. Epiphyseal clefts. Skeletal Radiol. 1980;5(1):23-7. PubMed
- van den Bogerd ND, Fidder SAJ, Knops SP. [Trauma of the hallux in an 11-year-old boy]. Ned Tijdschr Geneeskd. 2025;168:D8080. PubMed
- Gregory LS, Jones LV, Amorosi NM. Assessing the fusion of the ischiopubic synchondrosis using predictive modeling. Clin Anat. 2019;32(6):851-859. PubMed
- Shabshin N, Schweitzer ME, Morrison WB, et al. High-signal T2 changes of the bone marrow of the foot and ankle in children: red marrow or traumatic changes? Pediatr Radiol. 2006;36(7):670-6. PubMed
- Skaggs DL, Mirzayan R. The posterior fat pad sign in association with occult fracture of the elbow in children. J Bone Joint Surg Am. 1999;81(10):1429-33. PubMed
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