黄色骨髄(おうしょくこつずい)、赤色骨髄(せきしょくこつずい)とはどう言った骨髄を指すのでしょうか?
実はこの骨髄は人間ドックなどで撮影される椎体(主に腰椎)のMRIで年齢相応の骨髄をしているのかということを診断することができます。
今回は、実際のMRI画像を見ていただき、黄色骨髄(おうしょくこつずい)、赤色骨髄(せきしょくこつずい)の違いを一目瞭然でその違いを理解していただきます。
先に結論:赤色骨髄と黄色骨髄の違い(MRIでの見え方)
| 赤色骨髄(せきしょくこつずい) | 黄色骨髄(おうしょくこつずい) | |
|---|---|---|
| 正体 | 血液をつくる骨髄(造血髄) | 脂肪が多い骨髄(脂肪髄) |
| 多い年代・場所 | 子ども。大人では背骨・骨盤・胸骨などに残る | 年齢とともに増える(手足の先から置きかわる) |
| MRI(T1強調像) | やや黒っぽい(筋肉より少し白い程度) | 白い(脂肪と同じ) |
年齢とともに赤色骨髄は黄色骨髄に置きかわるため、高齢になるほど腰椎のMRIは白っぽく(まだらに)なります。逆に、大人なのに骨髄がT1強調像で椎間板や筋肉より黒い場合は、貧血や骨髄の病気(白血病・骨髄腫・転移など)で骨髄が置きかわっている可能性を考えます。
なお、腰椎の骨髄が「まだら」「ところどころ黒い」と見えても正常のことがあります。正常の椎体骨髄の写り方は年齢だけでなく人によって大きく違いますが、同じ人の中では椎体ごとのパターンはあまり変わりません(Vande Berg 2009)。病変かどうかの見分け方は、下の「病変に見える正常の骨髄」の節にまとめました。
黄色骨髄とは?赤色骨髄とは?
造血髄である骨髄は、年齢を重ねるにつれ、脂肪を多く含む脂肪髄へと変化していきます。これを転換と言います。この転換は小児期から手足の先の骨で始まり、成人になるころまでに成人の分布になります。
造血髄のことを赤色を示すので赤色髄と言います。一方で、脂肪髄のことを黄色を示すので黄色髄と言います。
それぞれの中身は次のように違います。
- 赤色髄(造血髄):血液をつくる細胞が多く、水分と脂肪が混ざっている
- 黄色髄(脂肪髄):大部分が脂肪で、水分や細胞成分は少ない
黄色髄(脂肪髄)の脂肪の多さがMRIの見え方の違いにつながります。
赤色骨髄はどこにある?働きは?
赤色骨髄は、赤血球・白血球・血小板をつくる場所です。生まれたときはほぼ全身の骨髄が赤色骨髄ですが、成長とともに黄色骨髄に置きかわり、大人で赤色骨髄が残るのは主に次の場所です。
| 時期 | 赤色骨髄が多い場所 | 黄色骨髄(脂肪髄)になる場所 |
|---|---|---|
| 新生児 | ほぼ全身の骨 | (ほとんどない) |
| 小児〜思春期 | 体幹の骨と、手足の骨の根元側 | 手足の先の骨から順に。長い骨では骨端(関節側の端)が早く、続いて骨幹(真ん中) |
| 成人 | 背骨(椎体)・骨盤・胸骨・肋骨・頭蓋骨、大腿骨と上腕骨の付け根側 | 手足の骨の大部分 |
つまり「黄色骨髄が加齢で増える」の裏返しで、大人の赤色骨髄は体の中心に近い骨に集まっています。骨髄検査(骨髄穿刺)で骨盤(腸骨)や胸骨から骨髄を採るのはこのためです。成人でも背骨や骨盤には赤色骨髄が残るため、腰椎MRIでは年齢とともに赤色髄と黄色髄がまだらに混ざって見えます(Chiarilli 2021)。
これをどうやってMRIでわかるのでしょうか?
MRIのT1強調画像では、脂肪を含むと高信号、つまり白く見えます。ですので、
- 脂肪を含むほど白くなっていく。
- 年齢を重ねるほど、白くなっていく。
ということです。
実際のMRIの画像を見てみましょう。いずれもT1強調像での画像です。
10歳代の腰椎(骨髄)のMRI画像

真ん中にある四角い構造が椎体です。この中心部は少し白いですが、それ以外はやや黒いのがわかりますよね。
続いて50歳代です。
50歳代の腰椎(骨髄)のMRI画像
先ほどの10歳代の人の椎体に比べてまだらな白い部分が多くなっていますね。白い部分が多いということは脂肪が多くなっているということ、つまり脂肪髄(黄色髄)が進んでいるということです。

では最後に、80歳代の人を見てみましょう。
80歳代の腰椎(骨髄)のMRI画像

先ほどの50歳代の人の椎体よりもさらに白い部分が増えていますね。より脂肪髄(黄色髄)が進んでいるということです。
3枚のMRI画像を並べるとこんな感じになります。

右に行くにつれて白くなっているのが一目瞭然ですね。もちろん個人差はありますが、加齢によりだんだんT1強調像で白くなっていくことには変わりありません。
でも、これでどうやって異常だと判断するのですか?
高齢者なのに、10代や20代のように黒かったらおかしいということです。
つまり、本来年齢を重ねるにつれて、T1強調像で椎体は白くなっていくにもかかわらず、年齢不相応な黒さがあれば、本来の方向とは逆に向かっている可能性があるということです。目安として、T1強調像で骨髄が筋肉や(変性のない)椎間板と同じか、それより低信号であれば正常の赤色髄とは考えません。筋肉と同等以下の病変の98%、椎間板と同等以下の病変の98%が浸潤性病変だったと報告されています(Carroll 1997)。判断に迷うときは、化学シフト画像(in-phase/opposed-phase)でopposed-phaseの信号低下が20%を超えれば非腫瘍性と考える目安も提案されています(Zajick 2005)。
本来は、赤色髄→黄色髄へと加齢により進みますが、 黄色髄→赤色髄へと病的に進むことがあり、これを赤色髄化とか過形成性骨髄とか再転換と言います。
赤色髄化を起こす原因は?

どういったときにそのようなことが起こるのでしょうか?
以下の場合です。
- 慢性の重度貧血
- 慢性心不全
- 高地での生活など低酸素の環境
- エリスロポエチンやG-CSF製剤など、造血を促す因子
- 喫煙(とくに多量の喫煙)
- 肥満
- 長距離走
- 広範囲の放射線照射(照射されていない骨髄で起こる)
- 骨髄に入り込む血液の病気や転移(悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫・骨髄転移など)

以上は総説で整理されている原因です(Vilanova 2024)。喫煙や長距離走をしている人でも起こることがあるんですね。とくに重喫煙者や若い人で再転換がみられやすく、膝のMRIでは正常の範囲の所見として見られることもあると報告されています。
病変に見える正常の骨髄:まだら・不均一さの見分け方
腰椎のMRIで「骨髄がまだら」「T1で一部が黒い」と言われて心配になる人は少なくありません。正常の椎体骨髄は、年齢によってだけでなく、同じ年代の人の間でも写り方に大きな差があります。一方、同じ人の中では椎体ごとの分布や信号のパターンはあまり変わりません。限られた場所の信号の違いは、そこにある脂肪・造血細胞・骨・血管の割合の局所的な違いを反映していることがあります(Vande Berg 2009)。
とくに高齢者では骨髄の不均一さが目立ち、多発性骨髄腫の「まだら型」に似て見えることがあります(Vande Berg 2022)。また、残っている赤色骨髄は日常のMRIでよく見られ、見慣れないパターンだと悪性と誤解されることがあります(Vilanova 2024)。そのため、次の点を順に確かめます。
| 確かめること | 正常の赤色髄・正常変異を考える | 病的な浸潤を疑う |
|---|---|---|
| T1強調像で椎間板・筋肉と比べる | 椎間板や筋肉より高信号(Carroll 1997、Vilanova 2024) | 椎間板や筋肉と同じか低信号(Carroll 1997) |
| 黒い部分の中の脂肪 | T1で低信号の領域の中心に脂肪の高信号がある(bull’s eye sign)と、正常の造血髄の指標として感度95%・特異度99.5%と報告されています(骨盤MRI 47人の研究、Schweitzer 1993) | 中心に脂肪がなく、全体が均一に低信号 |
| T2強調像・STIRでの縁 | 輪のような高信号を伴わない | 病変の周りに輪状の高信号(halo sign)があると、転移の指標として感度75%・特異度99.5%と報告されています(Schweitzer 1993) |
| 化学シフト画像 | opposed-phaseで信号が20%を超えて低下するなら非腫瘍の目安(Zajick 2005) | 信号低下が小さい、またはむしろ上がる(Zajick 2005) |
| 他の椎体・反対側と比べる | 椎体間でパターンが似ている(Vande Berg 2009)。手足では左右対称に分布する(Vilanova 2024) | 1か所だけ違う、境界がはっきりした孤立病変 |
広い範囲で骨髄が一様に変化しているときは、良性の造血髄の過形成と、腫瘍の浸潤との区別がむずかしいことがあります。その場合は、脂肪に敏感な画像と水に敏感な画像を丁寧に見比べ、信号を数値で評価するなど、追加の検討が行われます(Vande Berg 2022)。
やせ・重い慢性疾患で起こる骨髄の漿液性萎縮
高度のやせ(低栄養)や重い慢性疾患では、骨髄の脂肪が失われ、骨髄の漿液性萎縮(serous atrophy of bone marrow)が起こることがあります。体の脂肪の蓄えがなくなることで骨髄の脂肪も分解され、脂肪細胞の萎縮と造血細胞の減少に加え、ゼラチン状の物質が沈着します(Han 2026, Elhaddad 2026)。
MRIでは、黄色骨髄のはずの部分がT1強調像で脂肪抑制をかけたように暗く、脂肪抑制T2強調像(STIR)では脂肪が抑制されていないように明るく見えます(flip-flop)。同じ時期のCTでは、皮下脂肪や内臓脂肪が減り、消えていくことがあります(Han 2026)。
この見え方は、撮像の失敗(脂肪抑制の不良)や、腫瘍の骨髄浸潤と間違えられやすく、不要な追加検査につながることがあります(Toma 2025)。非造影の画像では骨髄炎とも区別しにくいですが、漿液性萎縮は造影されず、骨髄炎は造影される点が区別に役立ちます(Elhaddad 2026)。
- 広い範囲で骨髄がT1で低信号・STIRで高信号なら、まず体格(やせ)と皮下脂肪を確認する
- 漿液性萎縮は、背景に重い全身疾患や低栄養があるサインになる
赤色骨髄・黄色骨髄でよくある疑問(Q&A)
Q1. 黄色骨髄は血液をつくれないのですか?
ふだんはほとんど造血していませんが、重い貧血などで血液がたくさん必要になると、黄色骨髄が再び赤色骨髄に戻ることがあります(再転換)。喫煙者でも再転換がみられると報告されています(Poulton 1993)。
Q2. MRIで「赤色髄が多い」と言われました。病気ですか?
年齢や体格、喫煙、運動習慣などで赤色髄の量には個人差があり、それだけで病気とは限りません。一方、T1強調像で骨髄が筋肉や椎間板より黒い場合は、骨髄の病気を考えて追加の検査が行われます。気になる結果があれば、検査を受けた医療機関で説明を受けてください。
Q3. 腰椎MRIで「骨髄がまだら」と言われました。
年齢とともに赤色髄と黄色髄が混ざるため、高齢の方ではまだらに見えること自体は珍しくありません。椎体ごとに同じようなパターンで、T1強調像で椎間板や筋肉より高信号なら、正常の赤色髄の範囲と考えます(Vande Berg 2009、Carroll 1997)。ただ、腰や背中の痛みが続くときや、体重減少・発熱などがあるときは、結果の見方を含めて受診した医療機関で相談してください。
Q4. 膝のMRIで赤色髄が多いと言われました。貧血でしょうか?
多量に喫煙する人や若い人(とくに肥満の女性の喫煙者)では、貧血がなくても膝の骨髄が赤色髄に戻って見えることがあり、正常の所見のこともあります(Poulton 1993)。一方、膝のMRIで赤色髄化が大腿骨・脛骨・腓骨の骨幹端全体に及ぶ最も強い段階(grade 4)の女性では、貧血の検査が勧められています。この研究では、このパターンの女性24人のうち12人(50%)が貧血でした(Gonzalez 2016)。
最後に
人間ドックなどで受ける椎体のMRIは、腰椎ヘルニアや、圧迫骨折、神経孔が狭くなっていることを確認する他に、椎体の色が年齢相応なのかどうかというところまでわかり、不相応な場合、特に高齢者なのに赤色髄のような椎体の場合は、上に挙げたような病気が隠れている場合があります。
逆に、年齢不相応に白くなる(黄色髄化)こともあり、その代表が、放射線治療を受けた部位が白くなるというものもあります。腰椎に放射線を当てた経過を追った研究では、治療の3〜6週目に骨髄の信号が不均一になり、6週〜14か月後には均一な脂肪置換になるか、周辺に帯状の中間信号が残るパターンがみられました(Stevens 1990)。
MRIの骨の色を見るだけで年齢相応かどうかがある程度わかるというのも面白いですね。
参考)画像診断,32:641-653,2012
あわせて読みたい:再生不良性貧血の骨髄MRI画像所見
参考文献
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- Zajick DC, Morrison WB, Schweitzer ME, et al. Benign and malignant processes: normal values and differentiation with chemical shift MR imaging in vertebral marrow. Radiology. 2005;237(2):590-6. PubMed
- Han Z, Pan JF, Hu L. Serous atrophy of bone marrow manifested as subcutaneous and visceral fat depletion on CT: two case reports. Front Oncol. 2026;16:1750230. PubMed
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- Toma T, Viegas S, Amiras D, et al. Recognising serous atrophy of bone marrow: a review of imaging findings. Skeletal Radiol. 2025;54(12):2597-2606. PubMed
- Vande Berg BC, Lecouvet FE, Galant C, et al. Normal variants of the bone marrow at MR imaging of the spine. Semin Musculoskelet Radiol. 2009;13(2):87-96. PubMed
- Vande Berg BC, Kirchgesner T, Acid S, et al. Diffuse vertebral marrow changes at MRI: Multiple myeloma or normal? Skeletal Radiol. 2022;51(1):89-99. PubMed
- Vilanova C, Martín-Noguerol T, García-Figueiras R, et al. Bone marrow magnetic resonance imaging (MRI): morphological and functional features from reconversion to infiltration. Quant Imaging Med Surg. 2024;14(11):7969-7982. PubMed
- Gonzalez FM, Mitchell J, Monfred E, et al. Knee MRI patterns of bone marrow reconversion and relationship to anemia. Acta Radiol. 2016;57(8):964-70. PubMed
- Stevens SK, Moore SG, Kaplan ID. Early and late bone-marrow changes after irradiation: MR evaluation. AJR Am J Roentgenol. 1990;154(4):745-50. PubMed
- Schweitzer ME, Levine C, Mitchell DG, et al. Bull’s-eyes and halos: useful MR discriminators of osseous metastases. Radiology. 1993;188(1):249-52. PubMed
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inoue様
おっしゃる通りですね(/ _ ; )
正常としてますが、追記しておきます。
ありがとうございます。