関節リウマチに伴う肺病変のCT所見
気道病変
- 他の膠原病疾患に比べ気道病変の頻度が高い:30-40%合併
- Sjogren症候群とともに気道病変が比較的高頻度。
気管支拡張症
- 下肺野優位。
- 小葉中心性陰影、tree-in-bud appearance
閉塞性細気管支炎
- RAやSjogren症候群に関連したものがよく知られる。
- RAによるもの、治療薬のD−ペニシラミンによるものがある。
濾胞性細気管支炎(FB)
- 小葉中心性の結節、GGO内部にみられることが多い。
びまん性汎細気管支炎
間質性肺炎
- UIP>NSIP>OP
- 50〜60歳代男性により高率。
- NSIPやOPは予後良好。
- 関節症状が先行し、皮下結節を有すること多い。
※膠原病ではNSIPを呈することが比較的多く、逆にNSIP症例において、基礎疾患に膠原病を有することが多い(16%)。
胸膜病変
- 最も頻度の高い合併症であり、剖検では40%〜75%の頻度。
- 臨床的に症状を呈するのは20%程度。
- 40〜50歳代の男性が典型的。
- 活動性の関節症状を有する。
- 皮下結節陽性例に多い。
リウマチ結節(rheumatoid nodule)
- 類壊死性結節(necrobiotic nodule)。
- 皮下結節が最もよく認められる。
- RA患者の0.18-3.0%に肺野に結節ができる。(RA患者の22-25%にRA結節が見られる。)
- 男性、皮下結節陽性例、リウマチ因子高値例に多い。
- 単発あるいは多発結節(73%)。
- 上葉に多く、末梢領域の胸膜に接して出現することが多い。
- 空洞形成を伴うことがある(38%)。
- 通常は数㎜~3㎝。ただし7㎝の報告もある。
- FDG-PETのSUV値は2.5以下 肺癌との鑑別に有用。
- 自然消失や再発もみられる。
Caplan 症候群
- 関節リウマチに塵肺や農夫肺病を合併したもの。
- この場合、多発性の急速進行性の壊死性結節を形成する。
二次性肺病変
- 薬剤性肺炎:抗リウマチ薬、生物学的製剤 MTXによる薬剤性肺炎:1%
- 日和見感染症:PCPや結核。
薬剤性肺障害
MTXによる薬剤性肺障害
- MTXによる薬剤性肺障害はNSIP、OP、DADパターンが報告あり。
- 機序としてはアレルギー性が想定されており、開始後6ヶ月以内の発症が多い。
- 発生頻度はRA患者の全体で1-2%。
- 急性あるいは亜急性に発症する乾性咳嗽、発熱、呼吸困難が見られる。
- CTではすりガラス影が両側に見られる。PCPと判別が困難な場合がある。
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RA関連肺病変の特徴
- リウマチ歴が長く、リウマチ因子高値で、皮下結節を有している人に多い。
- 通常は男性に多いとされる。
- 複数の画像パターンが同一患者に認められることが多い。この点が、IIPにおける間質性肺炎との相違点でもある。
RA患者に対し,MTXと生物製剤を使用する際胸部CTで注意を要する肺病変
- 肺結核→MTXと生物製剤を使用は禁忌。
- 慢性(線維化)間質性肺炎
- COPDなどの慢性肺疾患
- 非結核性抗酸菌症を否定できない陰影を認めた場合には、精査する。