過剰骨(副骨) 骨折と間違えやすい足・膝の余分な骨

足をひねってレントゲンを撮ったら「骨折ではなく過剰骨(副骨)です」と言われました。余分な骨があるって大丈夫なのでしょうか?
過剰骨(副骨)は、生まれつきある小さな余分な骨で、健康な人の足でもよく見つかります。多くは症状がなく治療もいりませんが、骨折と見分けることと、まれに痛みの原因になることがポイントです。よく見る場所ごとに整理します。

先に結論:過剰骨(副骨)はよくある「生まれつきの形のちがい」。多くは無症状で、骨折と見分けることが大切

項目 ポイント
何か 骨ができる途中で、小さな骨のかたまりがくっつかずに残ったもの(正常変異)
どのくらい 症状のない健康な成人の足のX線で約半数(49.2%)にみられた報告がある
心配か 多くは無症状。まれに痛みの原因になる
骨折との違い 好発部位にある、縁がなめらかで皮質(骨の外側の硬い層)に囲まれる、左右両側にあることが多い
次にすること 痛む場所と過剰骨の場所が一致するかを整形外科で確認。必要ならMRI

過剰骨(副骨)とは

過剰骨(副骨、accessory ossicle)は、骨が成長してできあがる途中で、本来くっつくはずの小さな骨のかたまり(骨化中心)が別の骨として残ったものです。足と足首には40種類以上が知られ、多くは症状がありません(Stolarz 2024)。

腱の中にできる「種子骨(しゅしこつ)」も、同じように余分な骨に見えるため、まとめて扱われることがよくあります(Nwawka 2013)。

大事なのは、過剰骨を骨折と間違えるのはよくある誤りだという点です。過剰骨の場所や形を知っておくことで、不要な検査を減らせます(Nwawka 2013)。

どのくらいの人にあるか

症状のない健康な韓国人成人448人(896足)の立位X線では、49.2%に何らかの過剰骨がみられました(Lee 2020)。つまり「過剰骨がある」こと自体は、珍しいことではありません。

足・膝のよくある過剰骨まとめ

名前 場所 頻度 注意点
外脛骨(副舟状骨) 足の内側、舟状骨の内側 メタ解析で患者の17.5%、足の12.6%。半数は両側。東アジアで多い(38.4%)(Stolarz 2024)。韓国の健康な成人で34%(Lee 2020) 多くは無症状だが、痛みの原因になることがある(有痛性外脛骨)
三角骨(os trigonum) 足首の後ろ、距骨の後方 健康な成人の5.8%(Lee 2020) 足首の後ろの痛みと関係することがある(詳しくは下の個別記事)
腓骨筋種子骨(os peroneum) 足の外側、立方骨の近くの長腓骨筋腱の中 メタ解析で足の6.6%(約15足に1つ)(Preinl 2026) 足の外側の痛み(os peroneum症候群)の原因になりうる(Preinl 2026)
腓下骨(os subfibulare) 外くるぶしの先端の下 健康な成人の1.7%、多くは片側(Lee 2020) 両側より片側のことが多い(Lee 2020)
ベサリウス骨(os vesalianum) 足の外側、第5中足骨の付け根の近く メタ解析で足の0.6%とまれ(Osiowski 2025) まれに足の外側の痛みの原因。第5中足骨の骨折やIselin病(骨端の痛み)と区別が必要(Osiowski 2025)
二分膝蓋骨(分裂膝蓋骨) 膝のお皿(膝蓋骨)の一部が分かれる 膝MRI 400件で0.7%(Kavanagh 2007) 膝の前の痛みの原因になることがあり、MRIで骨片の骨髄浮腫を見る(Kavanagh 2007)

個別の詳しい解説は、外脛骨(副舟状骨)、三角骨(足首の副骨)、分裂膝蓋骨(二分膝蓋骨)とSaupe分類、腓下骨(os subfibulare)の記事をご覧ください。

骨折とどう見分けるか(X線・CT・MRI)

X線・CT

  • 場所:過剰骨には決まった好発部位があります。場所を知っておくことが誤診を防ぐ第一歩です(Bulut 2014、Nwawka 2013)。
  • 縁の形:過剰骨は縁がなめらかで、周りを皮質(骨の外側の硬い層)に囲まれています。CTではこの「皮質に囲まれたなめらかな骨片」として確認できます(Bulut 2014)。
  • 左右差:外脛骨の半数は両側にあり(Stolarz 2024)、反対側にも同じ骨があれば過剰骨の可能性が高まります。ただし腓下骨のように片側のことが多いものもあります(Lee 2020)。

足首をひねったあとに過剰骨が見つかり、剥離骨折と迷った例では、CTで皮質に囲まれたなめらかな骨片と確認して過剰骨と診断されています。過剰骨のできる場所を知らないと、誤診や不要な手術につながりうると指摘されています(Bulut 2014)。

MRI

過剰骨そのものは無症状のことが多いですが、痛みがある場合はMRIで骨髄浮腫(骨の中のむくみ)があるかを確認します。二分膝蓋骨の53人の報告では、66%で分かれた骨片に骨髄浮腫があり、49%では骨髄浮腫がMRI上で唯一の異常でした(Kavanagh 2007)。

一方で、痛みのある過剰骨・種子骨はまれで、ほかに痛みの原因がないかも探すべきとされています(Nwawka 2013)。二分膝蓋骨でも、骨髄浮腫がない人の72%では別の痛みの原因が見つかりました(Kavanagh 2007)。

症例 30歳代男性 外脛骨(副舟状骨)

外脛骨 足のX線 拡大像
引用:Radiopaedia(Accessory navicular)

足のけがで撮ったX線で、舟状骨の内側に約9mmの小さな骨(外脛骨)が見えます。ふちが丸く、全周が白い皮質で縁取られていて、骨折片のようなギザギザの割れ目ではありません。症例ページでは偶然見つかった2型の外脛骨とされ、骨折はないと記載されています。

心配な場合とそうでない場合

状況 考え方
痛みがなく、別の検査で偶然見つかった 正常変異。治療は不要なことがほとんど
けがのあと、過剰骨の場所とは違う所が痛い 過剰骨とは別に、骨折や靱帯損傷がないかを調べる
過剰骨の場所が押すと痛い、運動で痛む 過剰骨に関係した痛み(有痛性外脛骨、os peroneum症候群、後方インピンジメントなど)の可能性。MRIで骨髄浮腫や腱の状態を確認

気になる症状があれば医療機関を受診してください。

次にすること

  • 受診先:整形外科。スポーツで痛む場合はスポーツ整形外科も選択肢です。
  • 伝えること:痛む場所(指で示せる場所)、けがの有無、痛みが出る動き。
  • 検査:X線(必要に応じて反対側も)、骨折と迷えばCT、痛みの原因を調べるならMRI。

足のけがでは、第5中足骨の骨折(下駄骨折・Jones骨折)が過剰骨と紛らわしい代表です。違いは第5中足骨基部骨折の分類と画像所見|下駄骨折とJones骨折の違いで解説しています。

よくある疑問(Q&A)

Q1. 過剰骨は取ったほうがいいですか?

痛みのない過剰骨は、治療の対象にならないことがほとんどです。痛みが続く場合の治療(安静・装具・手術など)は、症状と画像を合わせて主治医に相談してください。

Q2. 過剰骨は遺伝しますか?親子で同じ場所にありました。

頻度に人種・地域の差があることは報告されています(外脛骨は東アジアで多い)(Stolarz 2024)が、遺伝のしかたについて確かなことは言えません。

Q3. 以前のレントゲンで言われなかったのに、今回言われました。

写す方向や範囲、見る目的によって指摘されるかどうかは変わります。生まれつきのものなので、急にできたわけではないことがほとんどです。

ごろ〜より:過剰骨は「よくある・左右にあることが多い・縁がなめらか」の3点を押さえると、骨折との区別がぐっと楽になります。

あわせて読みたい:過剰筋である副ヒラメ筋(accessory soleus muscle)の画像所見のポイント、子どもの骨で「骨折?」と言われやすい正常

参考文献

  1. Lee JH, Kyung MG, Cho YJ, et al. Prevalence of Accessory Bones and Tarsal Coalitions Based on Radiographic Findings in a Healthy, Asymptomatic Population. Clin Orthop Surg. 2020;12(2):245-251. PubMed
  2. Stolarz K, Osiowski A, Preinl M, et al. The prevalence and anatomy of accessory navicular bone: a meta-analysis. Surg Radiol Anat. 2024;46(10):1731-1743. PubMed
  3. Preinl M, Osiowski A, Osiowski M, et al. Clinical aspects and epidemiology of os peroneum: a meta-analysis. Anat Sci Int. 2026;101(1):80-90. PubMed
  4. Osiowski A, Preinl M, Osiowski M, et al. The prevalence and clinical considerations of Os Vesalianum Pedis: A meta-analysis. Foot Ankle Surg. 2025;31(7):612-618. PubMed
  5. Kavanagh EC, Zoga A, Omar I, et al. MRI findings in bipartite patella. Skeletal Radiol. 2007;36(3):209-14. PubMed
  6. Nwawka OK, Hayashi D, Diaz LE, et al. Sesamoids and accessory ossicles of the foot: anatomical variability and related pathology. Insights Imaging. 2013;4(5):581-93. PubMed
  7. Bulut MD, Yavuz A, Bora A, et al. Three-Dimensional CT Findings of Os Calcaneus Secundarius Mimicking a Fracture. Case Rep Radiol. 2014;2014:537062. PubMed

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