分裂膝蓋骨(patella partita)
- 膝蓋骨の他に数個の分離した骨片を認めるもの。
- 繰り返す膝伸展力による骨化異常が原因と考えられている。
- 2個に分離すると二分膝蓋骨(bipartite type)、3個に分離すると三分膝蓋骨(tripartite type)と呼ばれる。
- 4割は両側性。
- 無痛性の場合と有痛性の場合がある。
- 有痛性は男児に多く好発年齢は10-15歳。
- スポーツなどの過度の刺激で疼痛を来すことがあり、有痛性分裂膝蓋骨(painful patella partita)と呼ばれる。
- 運動時、運動後、ダッシュ後に症状が出現する。
- 鑑別は膝蓋骨骨折。
- 有痛性の場合、保存的に加療する。
分裂膝蓋骨の分類:Saupe分類
- Ⅰ型:膝蓋骨下方に分裂骨片をみとめるもの
- Ⅱ型:膝蓋骨外側方に分裂骨片をみとめるもの
- Ⅲ型:膝蓋骨外上方に分裂骨片をみとめるもの(最多)
- Ⅱ、Ⅲ混合型:Ⅱ+Ⅲ型分裂骨片をみとめるもの
分裂膝蓋骨の画像診断
- レントゲンやCTで診断可能だが、有痛性の場合はMRIで裂隙周辺に限局性の骨髄浮腫様の信号異常を認めることが多い。
症例 10歳代男性
CTの横断像および冠状断像で外上側に骨片を認めており、Saupe分類のⅢ型の分裂膝蓋骨と診断できる。
参考文献:
- 膝MRI 第3版 P223−225
- 必ず診療に役立つ スポーツ障害の画像診断 P193-195
- 骨軟部画像診断のここが鑑別ポイント 改訂版 P107