先に結論:腓下骨(os subfibulare)と脛下骨(os subtibiale)

  • 腓下骨は腓骨の外果の下端、脛下骨は脛骨の内果の下端にある副骨で、どちらも足関節の遠位にみられる副骨(過剰骨)です
  • 腓下骨は子どもの頃の捻挫で靭帯付着部が剥がれて骨化したものとする説が有力です。脛下骨は偶然見つかる正常変異のことが多いものの、痛みや後脛骨筋腱の障害の原因になることがあります
  • 多くは無症状ですが、使いすぎや再度の捻挫で痛むことがあり、腓下骨は足関節の不安定性と関係することもあります
  • 新しい裂離骨折(外果・内果)との区別が大切で、辺縁がなめらかで丸く、全周に皮質があるなら古い骨片や副骨と考えます

足関節遠位の副骨:腓下骨と脛下骨の違い

腓下骨(os subfibulare) 脛下骨(os subtibiale)
場所 腓骨の外果の下端 脛骨の内果の下端
別名 外果下端副骨 内果下端副骨
まぎらわしいもの 外果の裂離骨折 内果の裂離骨折・内果骨折の偽関節
症状と関係するもの 捻挫をくり返す足関節不安定性 後脛骨筋腱の障害

腓下骨(os subfibulare)

  • 腓骨遠位の下端(外果)に認められるaccessory bone(副骨、過剰骨)。
  • 外果の下端にも相当するため外果下端副骨ともよばれる。
  • 捻挫により靱帯付着部の軟骨が裂離し、成長後に骨化したという説が有力だが、二次骨端核の癒合不全とする説もある。頻度は対象によって大きく異なり、足部X線1651例の検討では0.42%であったのに対し(Candan 2022)、足関節痛のある22歳以下のアスリート1167例では9.9%に認められ、骨端線閉鎖前の例に多かった(Sakoda 2026)。後者では副骨をもつ選手の約1割が有症状で、その7割強が外傷を契機としていた。
  • 時に使いすぎ、外傷により有痛性となる。有痛性の腓下骨は捻挫を繰り返す足関節不安定性と関係し、超音波では外果と骨片の距離が開いていることや、前方引き出しストレスで骨片が動くことが症状と関連すると報告されています(Matsui 2026)。
症例 40歳代男性

引用:Radiopaedia

外果遠位に骨片を認め腓骨と偽関節を形成しています。

偶発的に発見された腓下骨(os subfibulare)です。

脛下骨(os subtibiale)

  • 脛骨遠位の下端(内果)に認められるaccessory bone(副骨、過剰骨)。
  • 内果の下端にも相当するため内果下端副骨ともよばれる。
  • 多くは臨床的に問題にならないが、足関節痛の原因となりうる。後脛骨筋腱障害の原因となることがある(Turan 2017)。
  • 内果骨折との鑑別が難しいことがある。骨の形態と辺縁の性状が診断に役立つ。成人の救急外来由来の足部X線1000例では脛下骨は0.1%とまれで、副骨全体の2.7%が当初は裂離骨折と誤診されていた(Kalbouneh 2021)。一方、足関節痛のある22歳以下のアスリートでは3.2%に認められ、骨端線閉鎖前の例に多いと報告されている(Sakoda 2026)。
  • 受傷から時間が経った例では内果骨折の偽関節との区別も問題になり、辺縁平滑で皮質に覆われた骨片であることが手がかりとなる(Rajnish 2026)。
症例 8歳男児 1日前に足首をひねった。左足首の痛み。

引用:Radiopaedia

小さな十分に皮質化された骨片が、内果の下端に隣接して認められます。

辺縁は整で丸みを帯びており骨折線ではありません。

偶発的に発見された脛下骨(os subtibiale)です。

副骨と裂離骨折の見分け方

  • 副骨:辺縁がなめらかで丸く、全周が皮質に覆われている。本体側(外果・内果)の欠けた部分と形が合わない
  • 新しい裂離骨折:辺縁がギザギザで、皮質のない面がある。本体側に欠けた部分があり、骨片がはまるような形をしている
  • 同じような骨片が反対側にもあれば、副骨を考える手がかりになる

足の副骨(過剰骨)とは・主な種類

副骨(過剰骨)は、本来の骨とは別に小さな骨が余分にある状態で、多くは成長の過程でできる正常の変異です。足部X線1651例の検討では、副骨は26.1%にみられました(Candan 2022)。外傷時のX線で裂離骨折と見間違えないことが大切です。頻度は対象によって大きく異なります。

副骨 場所 足部X線1651例(Candan 2022) 成人の救急由来X線1000例(Kalbouneh 2021) 足関節痛のある22歳以下の選手1167例(Sakoda 2026)
三角骨(os trigonum) 距骨の後ろ 9.8% 15.4% 21.8%
外脛骨(accessory navicular) 舟状骨の内側 7.9% 13.7% –
腓骨筋骨(os peroneum) 立方骨の外側(長腓骨筋腱の中) 5.8% 11.5% –
腓下骨(os subfibulare) 腓骨の外果の下 0.42% 0.6% 9.9%
脛下骨(os subtibiale) 脛骨の内果の下 0.24% 0.1% 3.2%

「-」は調べていない項目です。

関連記事:足の副骨である三角骨とは?三角骨障害とは?

腓下骨・脛下骨でよくある疑問(Q&A)

Q. os subfibulare・os subtibialeの読み方は?
A. os subfibulareは「オス・サブフィブラーレ」、os subtibialeは「オス・サブティビアーレ」と読みます。osはラテン語で「骨」、subは「下」の意味で、それぞれ腓下骨(外果下端副骨)、脛下骨(内果下端副骨)と訳されます。

Q. 腓下骨・脛下骨があると治療が必要ですか?
A. 多くは無症状で、偶然見つかっただけなら治療はいりません。足首の痛みや捻挫のくり返しがあるときは、整形外科を受診してください。

Q. 副骨障害とは?
A. 副骨そのものや周りの組織が痛みの原因になった状態です。足関節痛のある若い選手1167例では、副骨のある人の10.2%に症状があり、その73.0%は外傷がきっかけで、方向転換の多い競技が関連していました(Sakoda 2026)。足首の痛みが続くときは医療機関を受診してください。

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参考文献

  1. Matsui T, Honda K, Kumai T, et al. Comparison of symptomatic factors of os subfibulare using ultrasonography. J Orthop Sci. 2026;31(1):183-186. PubMed
  2. Yagi Y, Nakamura T. Cannulated cancellous screw fixation for symptomatic os subfibulare: a case report. Cureus. 2025;17(1):e77755. PubMed
  3. Sakoda S, Kumagae H, Yokoi O, et al. Developmental Patterns and Clinical Relevance of Os Trigonum, Os Subfibulare, and Os Subtibiale in Young Athletes: A Cross-Sectional Study of 1,167 Athletes. Clin J Sport Med. 2026 (online ahead of print). PubMed
  4. Candan B, Torun E, Dikici R. The Prevalence of Accessory Ossicles, Sesamoid Bones, and Biphalangism of the Foot and Ankle: A Radiographic Study. Foot Ankle Orthop. 2022;7(1):24730114211068792. PubMed
  5. Turan A, Kose O, Acar B, et al. Posterior tibial tendon impingement due to os subtibiale: a case report and up-to-date review. Skeletal Radiol. 2017;46(5):705-714. PubMed
  6. Topal M, Köse A, Dinçer R, et al. Os subtibiale: Mimicking medial malleolar fracture. Am J Emerg Med. 2017;35(6):940.e1-940.e3. PubMed
  7. Rajnish RK, Chandel A, Yadav SK, et al. Symptomatic Accessory Ossicle Near the Medial Malleolus Simulating Fracture Non-union: A Case Report and Literature Review. J Orthop Case Rep. 2026;16(4):252-257. PubMed
  8. Kalbouneh H, Alajoulin O, Shawaqfeh J, et al. Accessory Ossicles in the Region of the Foot and Ankle: An Epidemiologic Survey in a Jordanian Population. Medicina (Kaunas). 2021;57(11):1178. PubMed

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