頭のCTで「脳萎縮があります」と言われました。認知症になるんでしょうか?
脳は年齢とともに少しずつ縮むので、脳萎縮と書かれること自体はよくあります。大切なのは、年齢に比べて強いかどうかと、どの場所が縮んでいるかです。
先に結論:脳萎縮と言われたら
- 脳萎縮とは、脳が縮んで、脳のしわ(脳溝)やすき間(脳室)が広がって見える状態
- 年齢とともに誰にでも起こるもので、「年齢相応」なら心配しすぎなくてよい
- 注意したいのは、年齢に比べて強い・一部だけ強い(海馬など)・物忘れや歩きにくさがある場合
- 原因には加齢のほか、アルツハイマー型などの認知症、脳梗塞の積み重ね、お酒の飲みすぎなどがあり、なかには改善するものもあります
- 気になる症状があれば、脳神経内科・もの忘れ外来で相談を
脳萎縮とは
脳の神経細胞が減ったり小さくなったりすると、脳全体の体積が少しずつ小さくなります。すると頭蓋骨とのあいだのすき間や、脳の表面のしわ(脳溝)、脳の中の水の部屋(脳室)が広く見えるようになります。これをCTやMRIで「脳萎縮」と表現します。
年齢相応の萎縮と、注意したい萎縮
| 年齢相応(加齢) | 注意したい萎縮 | |
|---|---|---|
| 程度 | 同年代と同じくらい | 年齢に比べて強い |
| 場所 | 全体に少しずつ | 一部だけ強い(海馬・前頭葉・側頭葉・小脳など) |
| 症状 | ないことが多い | 物忘れ・性格の変化・歩きにくさ・ふらつき |
| 変化 | ゆっくり | 前回の画像と比べて早く進む |
海馬の萎縮とアルツハイマー型認知症

記憶にかかわる海馬は、アルツハイマー型認知症で早い時期から縮みやすい場所です。MRIでは、海馬の萎縮の程度を同年代と比べて数値で示すソフト(VSRADなど)が使われることもあります(VSRAD advance2とは?)。ただし、画像だけで認知症と決まるわけではなく、物忘れの検査や診察と合わせて判断します。2024年に改訂された米国アルツハイマー病協会の診断・病期分類の基準では、アルツハイマー病は症状ではなく、アミロイドなどのバイオマーカーで生物学的に定義する考え方がとられています。MRIで海馬の萎縮が目立つことは手がかりの一つですが、それだけで診断が決まるわけではありません。
脳萎縮のおもな原因
- 加齢(最も多い)
- 認知症:アルツハイマー型、前頭側頭型、レビー小体型など
- 脳の血管の病気:小さな脳梗塞の積み重ね、大脳白質病変(慢性虚血性変化とは?)
- お酒の飲みすぎ:やめると一部回復することがあります
- そのほか:頭のけが、栄養不足、一部の薬や病気など。原因によっては元に戻ることもあります(可逆性脳萎縮を起こしうる病態)
脳萎縮と言われたら、何をすればいいですか?
症状がなく年齢相応なら、血圧・血糖の管理や運動、お酒を控えるなど、脳の血管を守る生活で十分です。物忘れや歩きにくさがあるときは、早めに脳神経内科やもの忘れ外来で相談してくださいね。
脳萎縮と間違えやすいもの
- 正常圧水頭症:脳室が大きく見えて萎縮と似ますが、髄液がたまる病気で、歩きにくさ・物忘れ・尿もれが特徴。手術で良くなることがあるため、見分けが大切です。日本の特発性正常圧水頭症診療ガイドライン(第3版)では、くも膜下腔が場所によって不釣り合いに広がる「DESH」という画像所見が、診断とシャント手術を検討するうえで重要とされています。
- 硬膜下水腫・慢性硬膜下血腫:脳の表面に水や血がたまる状態(硬膜下水腫とは?)
まとめ
- 脳萎縮は年齢とともに誰にでも起こる
- 年齢に比べて強い・一部だけ強い・症状がある場合は相談を
- 原因には加齢・認知症・血管の病気・お酒などがあり、改善するものもある
- 血圧・血糖の管理、運動、節酒が脳を守る
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
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- Scheltens P, Leys D, Barkhof F, et al. Atrophy of medial temporal lobes on MRI in “probable” Alzheimer’s disease and normal ageing: diagnostic value and neuropsychological correlates. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1992;55(10):967-972. PubMed
- Nakajima M, Yamada S, Miyajima M, et al. Guidelines for Management of Idiopathic Normal Pressure Hydrocephalus (Third Edition): Endorsed by the Japanese Society of Normal Pressure Hydrocephalus. Neurol Med Chir (Tokyo). 2021;61(2):63-97. PubMed
- Jack CR, Andrews JS, Beach TG, et al. Revised criteria for diagnosis and staging of Alzheimer’s disease: Alzheimer’s Association Workgroup. Alzheimers Dement. 2024;20(8):5143-5169. PubMed
- Harper L, Fumagalli GG, Barkhof F, et al. MRI visual rating scales in the diagnosis of dementia: evaluation in 184 post-mortem confirmed cases. Brain. 2016;139(Pt 4):1211-25. PubMed
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