先に結論:血管性認知症の画像

  • 血管性認知症は、大きな梗塞が複数(多発梗塞性)、小血管病(多発ラクナ梗塞・広い白質病変=Binswanger型)、記憶に重要な部位の単一梗塞(戦略的部位)、低灌流・脳出血などで起こります
  • 日本で多いのは小血管病による皮質下性血管性認知症で、意欲低下・動作緩慢・歩行障害が目立ちます
  • 視床・海馬・内包膝部・尾状核などの小さな梗塞でも認知症を起こすことがあります(戦略拠点型、strategic infarct)
  • アルツハイマー病と脳血管障害の合併(混合型)も多く、海馬の萎縮と血管病変の両方を評価します

※もの忘れ・意欲の低下・歩きにくさなどが気になるときは、もの忘れ外来や脳神経内科などの医療機関で相談してください。

血管性認知症(脳血管障害性認知症)の分類

血管性認知症(脳血管障害性認知症)は以下のように分類されます。

①多発梗塞性認知症(multi-infarct dementia)

②皮質下脳血管障害性認知症(subcortical vascular dementia=small vessel dementia)
1)白質病変主体(いわゆるビンズワンガー型認知症。画像所見はSTRIVE-2の用語では「血管性と推定される白質高信号」として記載する)
2)多発ラクナ梗塞(視床、脳弓、尾状核、淡蒼球、内包前脚など)

③単一脳梗塞に起因する認知症=戦略拠点破壊(障害)型血管障害性認知症(戦略拠点型梗塞に伴う認知症)(strategic infarct dementia)
1)皮質(海馬、角回、帯状回)
2)皮質下(視床、脳弓、尾状核など)

④低灌流に起因する認知症(hypoperfusion dementia)

⑤脳出血に起因する認知症(hemorrhagic dementia)

⑥その他

Kalariaらの分類では、これに加えてアルツハイマー病の病理を有する脳血管障害(混合型認知症)という項目が追加されており、アルツハイマー病と脳血管障害の関連性を明記している。近年は国際合意(VICCCS)により、脳血管障害による認知機能低下を「血管性認知障害(VCI)」として軽度(mild)と重度(major)に分け、病型を整理したうえで、神経心理検査と画像評価はNINDS-カナダ脳卒中ネットワークの推奨に沿って標準化することが提案されている。また、小血管病の画像所見の用語と定義は、STRIVE(2013)を改訂したSTRIVE-2(2023)で標準化されています。

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大血管性認知症

・皮質性血管性認知症(多発梗塞性認知症)。

・梗塞巣の容積と認知症の発現に相関。

・容積100mlを超えると頻度が増加。容積50ml以下では稀(Tomlinsonらの剖検研究, 1970)。

小血管性認知症

・皮質下性の血管性認知症。

・白質病変優位型(Binswanger病)とラクナ優位型に分かれる。

・白質病変優位型(Binswanger病)は、10mm以上の側脳室周囲白質病変あるいは、25mm以上の連続する白質病変(Erkinjuntti 2000の皮質下血管性認知症の基準)。

・ラクナ優位型は中心灰白質の5個以上のラクナ梗塞と中等度の白質病変。NINDS-AIRENの画像基準は観察者間の一致率が低く(κ=0.29)、操作的定義を加えても改善は経験のある読影者に限られたと報告されている。

脳出血性血管性認知症

・慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、アミロイドアンギオパチーに起因する血腫などが原因となる。

アルツハイマー病の病理を有する脳血管障害(混合型認知症mixed dementia)

vasculardementia

認知症患者で、アルツハイマー病を疑う所見に加えて、脳梗塞の所見を認めれば、mixed dementiaの可能性あり。

症例 70歳代女性 認知症

Binswanger病 MRI FLAIR像 冠状断像
引用:Radiopaedia(Binswanger disease)

両側の側脳室周囲から深部白質にかけて、左右対称に癒合した高信号域が広がっています。皮質直下のU線維は保たれています。白質病変主体の皮質下血管性認知症(Binswanger型)に相当する所見です。

参考文献

  1. Román GC, Tatemichi TK, Erkinjuntti T, et al. Vascular dementia: diagnostic criteria for research studies. Report of the NINDS-AIREN International Workshop. Neurology. 1993;43(2):250-60. PubMed
  2. Kalaria RN. Neuropathological diagnosis of vascular cognitive impairment and vascular dementia with implications for Alzheimer’s disease. Acta Neuropathol. 2016;131(5):659-85. PubMed
  3. Erkinjuntti T, Inzitari D, Pantoni L, et al. Research criteria for subcortical vascular dementia in clinical trials. J Neural Transm Suppl. 2000;59:23-30. PubMed
  4. van Straaten EC, Scheltens P, Knol DL, et al. Operational definitions for the NINDS-AIREN criteria for vascular dementia: an interobserver study. Stroke. 2003;34(8):1907-12. PubMed
  5. Skrobot OA, Black SE, Chen C, et al. Progress toward standardized diagnosis of vascular cognitive impairment: Guidelines from the Vascular Impairment of Cognition Classification Consensus Study. Alzheimers Dement. 2018;14(3):280-292. PubMed
  6. Duering M, Biessels GJ, Brodtmann A, et al. Neuroimaging standards for research into small vessel disease-advances since 2013. Lancet Neurol. 2023;22(7):602-618. PubMed

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