頭を打ったあとのCTで「硬膜下水腫」と言われました。手術が必要ですか?
脳の表面と硬膜のあいだに髄液のような水がたまった状態です。症状がなければ様子を見ることが多いですが、経過をCTで確かめますよ。
先に結論:硬膜下水腫とは
- 脳をおおう硬膜の下に、髄液のような水がたまった状態。CTでは脳の表面に三日月の形に写ります
- 頭を打ったあとに見られることが多く、脳が縮んでいる(萎縮)高齢の方にも見られます
- 症状がなければ、自然に吸収されるのを経過観察することが多い
- 一部は慢性硬膜下血腫に変わることがあるため、間をあけてCTで確認します
- 頭痛が強くなる・物忘れ・歩きにくい・手足のまひが出たら、すぐに脳神経外科へ
硬膜下水腫(subdural hygroma)とは?

- 外傷後、硬膜下(厳密には硬膜境界細胞層内)に髄液と等濃度の液体貯留が見られることがある。
- うち、硬膜下水腫(subdural hygroma)はくも膜の断裂によって、脳脊髄液が硬膜下腔(厳密には硬膜境界細胞層内)に漏出することにより生じる。なので、くも膜下腔と交通あり。裂けたくも膜がバルブ様に働くと考えられている。
- 受傷後数日で発生することが多く、多くは経過観察で軽快する。
- くも膜と交通がないものは、被膜によって被包化され、subdural effusionと呼ばれ、慢性硬膜下血腫に移行することがある。19研究・1335例のメタアナリシスでは、外傷性硬膜下水腫が慢性硬膜下血腫へ移行する割合は約25%で、60歳以上、水腫が厚いこと、CT値が高いことが移行の危険因子でした。また192例の外傷性硬膜下水腫をCTで経過観察した報告では、消退型・不変型・増大型・慢性硬膜下血腫への移行型の4型に分けられ、増大型は乳幼児・小児に多く手術を要することが多い一方、移行型では水腫発生後22〜100日で慢性硬膜下血腫となっていました。逆に慢性硬膜下血腫が分解されて、硬膜下水腫となることもある。
- 硬膜下水腫および慢性硬膜下血腫は、しばしば画像での鑑別は困難で、併せて硬膜下液体貯留(subdural fluid collection)と総称して呼ばれることがある。
- 硬膜下水腫は、髄膜炎や低髄液圧症候群で見られることもあり。髄膜炎では、特にインフルエンザ菌による髄膜炎を発症した小児に多い。
硬膜下水腫の画像所見
- 脳表の三日月型液体貯留として認められる。
- 萎縮によるくも膜下腔の拡大との鑑別が困難なことがあるが、血管が内部に走行していれば、くも膜下腔の拡大である。
- 水腫と血腫は、CTでは鑑別困難でもMRIのT1WIやFLAIRでは鑑別できることが多い。
症例 60歳代男性 交通事故

受傷直後のCTでは、左の前頭葉に外傷性のくも膜下出血を生じている。
1ヶ月後のCTでは外傷性のくも膜下出血は消失しているが、両側の硬膜下に水腫が生じており、脳を圧排している。
両側の硬膜下水腫を疑う所見。(ただしCTのみでは血腫との区別は厳密にはできない。下記症例を参照ください。)
※外傷直後のCTがなければ、両側性であり萎縮との鑑別は困難な症例。
参考症例 80歳代 男性 右慢性硬膜下血腫術後

頭部CTで両側慢性硬膜下水腫を疑う低吸収域を認めています。
MRIのT2強調像では特に左側では、内部に血管の走行を認めず、水腫でも問題なさそうです。

しかし、FLAIR像及びCISS像をみてみると、髄液よりもやや信号が高く(CISSの場合は低く)、硬膜下水腫の場合、髄液と等信号になるはずですので、水腫ではなく血腫であることがわかります。
右側にも血腫の残存を認めています。
両側硬膜下血腫を疑う所見です。
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
- Lee KS, Bae WK, Park YT, et al. The pathogenesis and fate of traumatic subdural hygroma. Br J Neurosurg. 1994;8(5):551-558. PubMed
- Lee KS, Bae WK, Bae HG, et al. The fate of traumatic subdural hygroma in serial computed tomographic scans. J Korean Med Sci. 2000;15(5):560-568. PubMed
- Yu J, Tang J, Chen M, et al. Traumatic subdural hygroma and chronic subdural hematoma: A systematic review and meta-analysis. J Clin Neurosci. 2023;107:23-33. PubMed
- Liu Y, Gong J, Li F, et al. Traumatic subdural hydroma: clinical characteristics and classification. Injury. 2009;40(9):968-72. PubMed
- Cheema S, Anderson J, Angus-Leppan H, et al. Multidisciplinary consensus guideline for the diagnosis and management of spontaneous intracranial hypotension. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2023;94(10):835-843. PubMed
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