CT画像で肝に石灰化を認めた場合の鑑別診断
- 最も頻度が高いのは、陳旧性結核をはじめとする治癒後の肉芽腫。
- 肝の石灰化の鑑別診断には、実質性の病変には、陳旧性肉芽腫(結核やサルコイドーシスなど)、肝細胞腺腫(10%)、肝細胞癌(通常型では稀だが、fibrolamellar carcinomaでは40~70%)、肝内胆管癌(18%)、肝芽腫(50%)、類上皮血管内皮腫(20%)、肝転移などが含まれる。
- 海綿状血管腫でも器質化領域に粗大な石灰化を呈することがある(10~20%)。
- 嚢胞性病変としては、包虫嚢胞(90%)が多く、上皮性嚢胞や嚢胞性腺腫はまれ。
- 動脈壁の石灰化や肝結石も肝内石灰化として見られることがある。
- 肝転移の石灰化は骨肉腫や軟骨肉腫などの転移でもみられるが、粘液産性能のある胃癌・大腸癌や卵巣癌での頻度が高い。
- 通常、治癒後の肉芽腫は境界がはっきりした点状または結節状の石灰化を示す一方で、これらの腺癌の転移は境界が不明瞭な淡い石灰化を示すことが多い。
症例 40歳代男性 S状結腸癌 化学療法中
肝両葉に石灰化を有する多発腫瘤あり。
石灰化を有する多発肝転移を疑う所見です。(化学療法により石灰化はより顕在化(化学療法前非提示))
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参考文献:
- 1)AJR 211:76-86,2018
- 画像診断 Vol.43 No.13 2023 P1255