肝細胞腺腫/肝腺腫(HCA:hepatocellular adenoma,hepatic adenoma)
- 非硬変肝に発生する良性腫瘍。
- 20-40歳台の女性に好発。
- リスク因子として、糖原病、ステロイド内服、経口避妊薬服用がある。
- サイズが大きいものは出血・発癌(4cm)のリスクあり。
- 肝内門脈血流異常との関連あり。
- 多発した場合は、肝細胞腺腫症(adenomatosis)と言われる。
- 画像上は肝細胞癌との鑑別が難しい。
- 遺伝子的、病理学的、臨床的に4つのsubtypeに分類される。
肝腺腫のサブタイプ
- HNF 1α inactivated HCA(35-50%):びまん性の脂肪化。
- inflammatory HCA(40-55%):SAA(Serum amyloid A)、men、飲酒、腫瘤周囲にT2WIで高信号の被膜様構造(atoll sign)。
- Beta-catenin activated HCA(15-18%):men , malignant transformation、画像上scar(瘢痕)を伴うことが多い。肝細胞相で高信号になることが多い?とも言われる。
- 分類不能
肝腺腫の合併症
合併症としては、
- 腫瘍内出血(20−25%の頻度で認められ、5cm以上のものでリスクが上昇)
- 肝細胞癌への悪性転化(7%の頻度で見られる)
の2つが重要。
肝細胞癌への悪性転化のリスクは、一部の亜型(β-catenin mutated HCA、inflammatory HCA)、男性例、性ホルモンやステロイド服用、糖原病合併が報告されている。
肝腺腫の画像所見
CT,MRI所見
- dynamic studyでは経時的に均一に造影(多血性)。
- MRIでの信号強度はむしろ不均一(FNHと違う)。
- 出血(52-93%)、脂肪(36-77%)でT1WIで病変の一部がしばしば高信号を呈する。
- 被膜はあるときもないときもある。
- EOBの肝細胞相での取り込みもあるときもないときもある。
症例 60歳代女性 USで偶発的に肝腫瘤が見つかる。
背景肝は正常肝(非肝硬変)。
肝S8に早期濃染され、平衡相でwashoutを認めている腫瘤を認めています。
T1WI in-phase→opposed-phaseで肝S8に信号低下を認め脂肪の存在が示唆されます。
引用:radiopedia
肝細胞腺腫/肝腺腫(HCA:hepatocellular adenoma,hepatic adenoma)と診断されました。
参考文献:画像診断 Vol.38 No.10 2018 P1026