下垂体転移(pituitary metastasis)のMRI画像所見のポイント
- 下垂体転移は珍しく、通常は全身性転移疾患が明らかになるまで、下垂体腺腫と誤診されがち。
- 生存中央値約6か月の予後不良な病態であり、進行癌のオートプシー症例の1~4%にみられることが知られている。
- 下垂体容積が非常に小さい点を考慮すると、下垂体は転移しやすい部位と言える。
- 原発巣は乳癌、肺癌>>甲状腺癌、腎癌、肝癌、大腸癌、悪性黒色腫、前立腺癌など。
- ホルモン機能不全、尿崩症などの症状が現れることがある。これらの症状は、下垂体腺腫では珍しく、下垂体転移の可能性を示唆する。
- 全身血流を直接受ける下垂体後葉に特に多く、そのため尿崩症/arginine vasopressin欠乏を呈しやすい。
- 診断では、CTやMRIが用いられ、特にMRIが下垂体領域の評価に適している。転移は通常、下垂体窩から生じる腫瘤や漏斗病変の形で現れる。
- 下垂体転移はflow voidをしばしば伴い、見つかれば診断の補助となる。
- 鑑別診断には、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、髄膜腫、リンパ球性下垂体炎、リンパ腫などが含まれる。また、漏斗の異常には中枢神経系結核、ランゲルハンス細胞組織球症、サルコイドーシス、リンパ球性下垂体炎が考えられる。
症例 60歳代女性 内分泌障害と左側の眼筋麻痺
引用:radiopedia
トルコ鞍から突出する造影される腫瘤あり、左海綿静脈洞に浸潤があり腫瘍が疑われます。
手術にて乳癌からの下垂体転移と診断されました。
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参考文献:
- 画像診断 vol.43 No.13 2023 P1221
- Pituitary metastasis