胆嚢リンパ路の解析とその臨床的意義
背景
1990年代より、Uesakaらによって胆嚢のリンパ路に関する解析が進められました。この解析は、胆嚢がんのリンパ節転移の理解を深める上で重要です。
主なリンパ路のルート
- 右ルート
- リンパ節転移の95%に認められる主流のルートです。
- 経路: 胆嚢壁 → 総胆管周囲のリンパ節 → #13aや門脈周囲のリンパ節 → 大動脈周囲のリンパ節。
- 左ルート
- リンパ節転移の50%に認められます。
- 経路: 胆嚢壁 → 胆嚢三角リンパ節 → 膵頭背側リンパ節 → 肝十二指腸靭帯 → 大動脈周囲リンパ節。
- 門脈ルート
- リンパ節転移の20%に認められます。
- 経路: 胆嚢壁→肝門部リンパ節→直接大動脈周囲リンパ節。
- 領域リンパ節:肝十二指腸間膜内リンパ節(#12h,a,p,b,c)、総冠動脈幹リンパ節(#8a,b)、腹腔動脈周囲リンパ節(#9)、上腸管膜動脈リンパ節(#14p,d)、上膵頭後部リンパ節(#13)が関与します。「胆道癌取扱い規約 第7版」では、#9、#14p,dのリンパ節は状況により郭清しなくてもよいとされています。
CTによる評価
- CT検査では、リンパの流れを念頭に置き、転移しやすいリンパ節を中心に評価します。
リンパ節転移の診断
- 1cm以上のサイズ、内部吸収値の不均一性、増大傾向などがリンパ節転移を疑う所見です。
- 1cm以下のリンパ節転移の診断は難しく、術後早期のリンパ節転移の検出が予後を改善したとの報告はありません。
参考文献:画像診断 Vol.43 No.11 増刊号 2023 P93-4
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