そもそもパーキンソニズム(Parkinsonism)とは?
- Parkinson病に特有の症状をパーキンソニズムという。
- パーキンソニズムとは、①典型的な左右差のある安静時振戦(4-6Hz)、または②歯車様強剛(rigidity)、動作緩慢(akinesia)、姿勢反射障害のうち2つ以上が存在する場合を言う。(厚生労働省:指定難病制度における各疾患診断基準)
パーキンソニズムを呈する疾患の鑑別
パーキンソニズムを呈する疾患は大きく、
- Parkinson病
- 何らかの原因に続発した二次性Parkinson症候群
に分けられる。
頻度は、Parkinson病が6割、薬剤性1割、Parkinson病認知症1割、その他、脳血管障害性・・・・と続く。
二次性Parkinson症候群の鑑別疾患
変性疾患
- 多系統萎縮症(MSA)—線状体黒質変性症(MSA-P)
- びまん性Lewy小体病(Lewy小体病のびまん型)
- 進行性核上性麻痺(PSP)
- 大脳皮質基底核変性症(CBD)
非変性疾患
- 血管性Parkinsonism
- 薬剤性(抗精神病薬、抗うつ薬が最多、制吐薬、胃腸運動調整薬、抗認知症薬など)
- 脳血管性
- 中毒性(マンガン中毒、一酸化炭素中毒後遺症など)
- 感染性、脳炎後
- 腫瘍性
- 特発性正常圧水頭症(iNPH)
遺伝性
- PARK遺伝子
- 脊髄小脳変性症(SCD)
- ハンチントン病
- 伴性劣性ジストニア・パーキンソニズム
- Wilson病
- 脳内鉄沈着を伴う神経変性症(NBIA)
Parkinson病と二次性Parkinson症候群の鑑別はどのように行われる?
- 臨床症状、生活歴、既往歴、身体所見などが重要。
- これに加えてMRIや123I-MIBG心筋シンチグラフィなど神経画像における所見が鑑別診断に有用。
鑑別における画像診断の役割
- パーキンソン病(PD:Parkinson disease)は頭部MRIでほとんど所見を認めない。(SWIやT2*WIで黒質緻密部のニグロソーム1に認められる高信号域が鉄沈着により認められないことがある。ただし、PSPやMSAにおいても同様の所見を認めることがある)
- 一方で、MSAや、PSP、CBDはMRIで診断できることがある。
- つまり、MRIでこれらの疾患を除外することが大事。
- また、近年イオフルパン(123I)ダットスキャンが適応となり、黒質線条体への集積をみることにより、Parkisonismの早期診断に有用となった。
症例 70歳代男性 進行性の運動緩慢、安静時振戦、硬直および姿勢の不安定性があり、右側により深刻な臨床症状
引用:radiopedia
左側の黒質緻密部で認めるのが正常なswallow tail signが消失しています。
(同部(ニグロソーム)は、正常例では背外側黒質内の SWI (感受性強調画像) 高信号領域として識別される。)
Parkinson病に矛盾しない所見です。