脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration:SCD)とは?

  • 小脳及び脊髄に異常があり、運動失調を来す疾患。
  • 発症は中年以降に多いが、若年発症もある。
  • 多くの進行は緩徐であり、病悩期間は10-40年と長いものが多い。
  • 3分の1は遺伝性、3分の2は非遺伝性(孤発性)。
  • 遺伝性は、原因遺伝子が40以上解明されている。日本では、SCA-3(Machado-Joseph disease:MJD)、6、31とDRPLAが多い。※SCA=spinocerebellar ataxia(脊髄小脳失調症)
  • 非遺伝性(孤発性)のうち3割は手の震え、尿失禁、失禁などが出ることもある多系統萎縮症が占める。
  • 多系統萎縮症は脊髄小脳変性症の一つであるが、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症は難病法で別々に難病に指定されている。

脊髄小脳変性症の画像所見は?

  • タイプにより画像所見は異なる。画像だけでは鑑別困難なことも多く、確定診断には、発症年齢、家族歴の聴取、出身地の確認や遺伝子診断が必要。
  • いずれの場合も小脳、脳幹の萎縮の評価が重要。
  • 小脳萎縮は小脳溝の開大として認める。正常の小脳溝は小脳上面にわずかに見える程度。これが明瞭化している場合に萎縮を考える。
  • SCA31、6、CCA:純小脳型萎縮。※CCA(cortical cerebellar atrophy):孤発性皮質性小脳変性症(皮質性小脳萎縮症)
  • SCA1、2:MSA類似の小脳、脳幹の萎縮。程度が軽度であることが多い。
  • SCA3:橋被蓋の萎縮、第4脳室前後径の拡大、上小脳脚萎縮。
  • MSA-P,C:いずれの場合も小脳、中小脳脚、脳幹の萎縮を認める。
  • MSA-P:被殻の外側凸な突出が萎縮して直線状に見える。背外側にT2WIで直線状の高信号を認める。
  • MSA-C:小脳橋底部や中小脳脚の萎縮、橋横走線維変性を反映した逆T字状もしくは十字状のT2強調像高信号化(“hot cross bun’’sign)。中小脳脚の高信号化を認める。
萎縮の局在をまず確かめ、小脳虫部上半から半球に限局していれば、頻度を考慮ししつつSCA6,31,CCAの可能性を考慮する。(よくわかる脳MRI(第4版) P575)

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参考:よくわかる脳MRI(第4版)

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